小さな子どものいる家庭であれば、思ってもいない子どもの行動で
家の中でも「あっ、危ない!」と思った経験があるのでは?
子どもの成長に応じて、さまざまな事故が家庭内で起きています。
重篤なケガに至るほか、命を落とすケースもニュース等で
見たことがあるのではないでしょうか。
今回は、過去の重症度の高い事例をもとに、
事故を未然に防ぐための部屋別のチェックポイントをご紹介します。
監修:危機管理教育研究所代表 国崎 信江さん
よく動くようになる1、2歳の事故が多い!
都内で1日約38人の1歳の子が救急搬送されている!
東京都では、1年間に14040人の子ども(12歳以下)が
自宅から救急車で医療機関に運ばれており、
1日にすると約38人の子どもが救急搬送されていることになります。
特に好奇心旺盛で、思ってもいない行動をする時期の「1~2歳」が多いようです。
全国でも同じような事故が多発しているといいますが、
家庭内で予防策を講じることで、事故を未然に防ぐことはできるのです。
部屋別にみる 起こりがちな子どもの事故と防止策
1.リビングは窒息&誤飲に注意。死に至ることもある!
東京都では毎年1000人もの幼児が、
窒息や誤飲により救急車で運ばれているといいます。
窒息は特に危険度が高く、放置すれば死に至るため注意が必要です。
特に、生後5か月ごろから子どもは
「物をつかむ」→「つかんだら口に入れる」行動がみられます。
なにげなく大人が置いたままにしている物を、
子どもは口にしてしまうことを改めて認識しておきましょう。
Check!窒息・誤飲を防ぐためには
- 乳幼児の手の届く場所に、飲み込めるサイズのものを放置しない
- 子どもの目の高さで、危険なものがないかチェックする
※トイレットペーパーの芯(39mm)を通る大きさの物は、子どもの口に入ってしまうことを認識しましょう。
リビングの事故は、ほかにも! 事例集
・コンセントにヘアピンを差し込んで感電
・テレビによじのぼって倒れ、下敷きに
・飲み残しのジュースの缶にたばこの灰が入っていて誤飲
・ふざけて袋を頭からかぶって呼吸困難
・ドア、引き出しで指をはさむ
2.キッチンは子どものやけどの原因がいっぱい!
東京都では、年間452人の子どもがやけどにより
救急搬送されています(平成29年度)。
その原因として「熱湯」「味噌汁・スープ」「ポット・魔法瓶」が上位に。
いずれもキッチンでの事故がほとんどです。
幼い子どもは皮膚が薄く、やけどが重症化しやすいため注意が必要です
Check!やけどを防ぐためには
- キッチンは、子どもが入れないように柵をする
- 熱い液体を入れた器を、子どもの手の届く場所に置かない
- 電気ポットなどの製品は、チャイルドロックを活用
- 子どもを抱いたままの調理、飲食は厳禁
キッチンでの事故は、ほかにも! 事例集
・置いてあった包丁に手を伸ばして出血
・漂白剤や洗剤で遊び、誤飲
3.風呂場は子どものおぼれ事故 多発現場!!
子どもがおぼれた場所第1位は「自宅の浴槽」です。
親にとっても気を抜きやすい入浴タイムですが、
目を離したときにこそ子どもに危険が及ぶことを認識しましょう。
おぼれ事故の一例
・他の子の世話をしている間に、浴室内にいた別の子が浴槽の底に…
・親が体を洗っている間に、子どもが溺水
・ビニールプールで浅めに水を張って遊ばせていたが、親が目を離したときにプールで溺水
Check!おぼれを防ぐためには
- 乳幼児をお風呂に入れているとき、水遊びをさせているときは、絶対に目を離さない
- 使用していないときも、浴室には子どもだけで入れないように鍵をかける
※とくに防災対策として浴槽に水を張ったままにしている家庭では注意が必要です。
風呂場・洗面所での事故は、ほかにも! 事例集
・棚にあるシャンプーを背伸びしてとろうとしてころび、頭を強打
・滑りやすい床でジャンプをし、転倒
・ドライヤーで遊び、やけど
4.ベランダからの落下事故は、物のチェックで減らせる
子どもがベランダや窓から落下する事故が、後を絶ちません。
子どもは日々成長していて、昨日上れなかったところに、
今日は上れるようになっているものです。
踏み台になるような物は、ベランダや窓のまわりには絶対に置かないようにしましょう。
Check! 落下事故を防ぐためには
- 窓際やベランダに、上がれるようなものを置かない。
※室外機や植木鉢など、大人目線では上らないものにも子どもは上るため注意 - ベランダの出入り口や室内の窓にはチャイルドロックや補助錠をかける
- 網戸がゆるんでいないかチェックする
落下事故は、ほかにも! 事例集
・出窓の網戸から景色を眺めていたら、網戸が破れて落下
・ベビーベッドの柵が下りていて落下
・自宅の階段から誤って落下
・自転車の補助いすに座っていて、親が目を離した際に落下
・抱っこひもがゆるんでいて、親がかがんだ際に落下
まとめ
乳幼児が被害を受ける家庭内の事故は、
保護者が注意を払っていれば起こらないものがほとんとです。
「うっかりしていた」「話し込んでいた」「ちょっと目を離した」では
済ませられない重大な事故につながってしまうこともあります。
保護者は子どもから目を離さない、
目を離さざるを得ないときはベビーゲートや柵の中など
安全な空間のなかで遊ばせる工夫が必要です。
子どもの行動を予測して家庭内の環境を整えることで、
安全で安心な家庭生活は守られます。
家庭内をもう一度確認してみましょう。
参考・引用資料:東京消防庁「STOP!子どもの事故」
この記事の監修・執筆者
くにざき のぶえ/危機管理教育研究所代表、危機管理アドバイザー。20年にわたり第一線で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。行政、企業、マンションなどのリスクマネジメントコンサルを行い、省庁の検討・審査委員や自治体の防災アドバイザーなどを務めている。NHKラジオでは6年間マイあさラジオ「暮らしの危機管理」のコーナーで情報提供するほか、多くのメディアで被災地の支援活動時の経験や防災防犯普及啓発を発信している。防災・防犯の執筆・監修図書多数。
危機管理教育研究所
http://kunizakinobue.com/
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