親にとっては何気ない一言でも、子どもにとってはとても衝撃的で、中には一生忘れられないほど長く引きずってしまうこともあるそうです。
どのような言葉が子どもを深く傷つけてしまうのでしょうか?
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
ある懇親会の席で「親に言われたひどい言葉」が話題になりました。
「だからあんたは嫌われるのよ」
40代女性のAさんは、子どもの頃お母さんに「だからあんたは嫌われるのよ」と言われました。
どんな状況で言われたのかは全然覚えていないけど、この一言はずっと頭に残っているそうです。
生まれて初めて「自分は嫌われているのか」と思ったときのショックは非常に大きく、それから周りの人が信じられなくなってしまいました。
今はそのお母さんとも普通に仲よくしているそうですが、ときどきフラッシュバックのように思い出すそうです。
「やっぱりダメだな、お前は」
30代男性のBさんは、家族旅行のとき財布を落として、お父さんから「やっぱりダメだな、お前は」と言われました。
それまで楽しかった旅行が一気につまらないものになったことを覚えているそうです。
またBさんは、子どもの頃によく弟と比べられながら、「どっちがお兄ちゃんかわからないね」と言われていました。
二才年下の弟が何かと要領が良くて、Bさんは日ごろから悔しい思いをしていました。
大人になった今も弟とは「しっくりしない仲」だそうです。
「あの子の育て方、失敗したわ」
30代女性のCさんは6年生の頃、お母さんが近所の人に「あの子の育て方、失敗したわ」と言っているのを聞いてしまいました。
大人になってからは、あれはご近所同士の軽い気持ちの会話だったんだろうと想像することができるようになりましたが、子どもの頃は「自分はお母さんにそう思われているんだ」と感じてけっこう引きずっていたそうです。
「あんたはそういうところがずるいんだよ」
40代女性のDさんは、お菓子を妹よりちょっと多めに食べたとき、「あんたはそういうところがずるいんだよ」お母さんにと言われました。
「自分はお母さんにずるい子だと思われているんだ」と感じてかなり傷ついたそうです。
それからは、「ずるい」という言葉をトラウマのように引きずるようになり、過敏に反応するようになりました。
「お前はいつもそうだ」
30代女性のEさんは、子どもの頃のある日、縄跳びの練習をしていました。
そこに妹が来て、「お姉ちゃん、私にもやらせて」と言いました。
Eさんが「ちょっと待ってて」と答えたら、それを聞いていたお母さんが「お前はいつもそうだ」と言いました。
Eさんが「だって今、練習中だもん」と言ったら、お母さんが「お前は優しくないんだよ」と言いました。
Eさんは「ガーン」と金槌で殴られたようなショックを感じたそうです。
「お姉ちゃんはかわいいのに…」
30代女性のFさんは、親戚のおじさんに「お姉ちゃんはかわいいのに…」と言われました。
当然、そのおじさんのことは大嫌いになりました。
お姉ちゃんとは子どもの頃からずっと仲がいいのですが、「自分はかわいくないのかも」という思いは消えないそうです。
「お前は口ばっかりだ」
30代男性のGさんは、中学生の頃にお父さんから「お前は口ばっかりだ」と言われました。
もともとお父さんのことが嫌いだったこともあり、それから大学を出る頃までお父さんと口をきかなかったそうです。
こういったひどい言葉は、いずれも親の方は軽い気持ちで言っているのだと思います。
でも、言われた方はそうはいきません。
場合によっては長く引きずって、心の傷・トラウマになることもあります。
人間形成や進路に影響することもあります。
もちろん、親子関係にも大きな影響を及ぼします。
「軽い気持ち」――これが要注意です。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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