【専門家監修】アートの世界を子どもと楽しむ

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【専門家監修】アートの世界を子どもと楽しむ

AIが身近な存在になりつつある現在、あらためて創造力や感性を育てることの大切さが注目されています。とはいえ、創造力や感性を磨くためには、どうしたらよいのでしょう。子どものうちから「アート鑑賞」の経験を重ねることが必要なのでしょうか…。普段の生活の中で想像力や感性を磨くコツを、「子どもの造形教室 アトリエつくる」主宰のこにしひろこ先生におうかがいました。

目次

「アート」は身近な生活のなかにある

アートに触れる=美術館に行くと思いがちですが、実はそうでもありません。道端に咲く花や、落ちている石の形、空の色などに目を向けてみると、自然の美しさに気づくでしょう。それも立派なアートのひとつあり、むしろそちらのほうが大事にして欲しいのです。なぜなら自然の美しさは、唯一無二であり、人工で作られたものだけをアートと認識するのでは足りないと思うからです。

私自身も子どものころ、植物が好きでした。花の色や葉の形、何もかもが興味深くて、植物ばかり見ていた気がします。今から思うと、それがきっかけで美術を勉強するようになったのかもしれません。

子どもをアートに触れさせようと、意識して美術館などに連れて行く必要はないと思います。一般的な美術館は、大人の目線に合わせて展示されています。子どもには見えにくいし、触ることも、においをかぐこともできない絵画にいきなり興味をもてと言っても難しいもの。むしろ、「静かにして」「走らないで」と注意ばかりされて、美術館が嫌いになってしまうかもしれません。

子どもをアート鑑賞に連れて行くなら、五感を刺激する体験型の美術館や博物館がオススメ。「静かにしなさい」「触っちゃだめ!」と言われなくてもよい場所で、アートの楽しさを体感するとよいと思います。

家でもできるアート鑑賞

手軽にアート鑑賞をする方法として、美術書や図鑑などがあります。最近では、子ども向けに絵画を解説する本もありますし、動物や魚などのすばらしい造形美に出合うこともできます。

これらの本は、子どもがいつも手に取れるところに置いておきましょう。そして、お気に入りの絵画を見つけたら、本物を見に行くとよいでしょう。絵画に興味をもちはじめたら画廊に行ってもよいかもしれません。見るだけなら無料ですし、いろいろな作家の作品も見られます。作家さんと直接お話しできる機会もあるかもしれません。気に入れば購入して家にむかえることもできます。 

アート作品を作って飾ろう

アートに触れることはもちろん、子どもたちが実際に創作してみることも大切です。まずはお気に入りの絵本をまねして描いてみるのもよいと思います。

また、身近な材料である新聞紙を使った制作もオススメです。エリック・カールのまねをして、新聞紙にいろいろな色を塗って乾かし、手でちぎってコラージュすると、とてもおしゃれに仕上がります。色を塗った新聞紙をクシャッと丸め拾ってきた枝をさして「リンゴ」「バナナ」「カキ」などに見立てて飾ってもすてきです。

そして、出来上がった作品は、できるだけたくさんの人の目に触れる場所に飾りましょう。たとえば、玄関にスペースを確保して、そこに子どもの作品ができるたびに飾ると、配達員の方やお客さまなど、さまざまな人の目に触れ、ときにはほめてもらえたり感想を言ってもらえることもあります。

こうした経験が、「次は〇〇を作ってみたい」などと創作意欲にもつながり、想像力や感性を育ててくれます。

「アート」の定義は、とても難しいですが、子どもは何もしなくても、存在そのものがアートです。子ども時代に描いた絵や制作物を大人になってからは再現できないように、子どもには生まれながらにして素晴らしい感性が備わっています。

大人があれこれ考え一方的に与えるよりも、子どもが「おもしろい」と思ったものに寄り添い、いっしょに楽しむことで、子どもの想像力や感性は豊かにはぐくまれていくのではないかと思います。

この記事の監修・執筆者

こにしひろこ

多摩美術大学日本画専攻卒業。ステンドグラスアートスクールプロ養成所研究科修了。「子供の造形教室 アトリエつくる」「大人のお絵描き」主宰。

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