叱るよりも「聞く」が大事!幼児期からの「コーチング」で子どもの”可能性”を引き出す!

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叱るよりも「聞く」が大事!幼児期からの「コーチング」で子どもの”可能性”を引き出す!

「ママ・パパになってから怒ってばかりになってしまった…。」

「いつも同じ口癖で叱ってしまう…。」

そんな悩みの根っこには、「いい親にならなくては」「いい子に育てなくては」という思いがあるはずです。真剣にお子さんを思うほど、悩みが深くなってしまうのです。

でも、子育ての肝になるのは叱るよりも「聞く」こと。子どもの話を「聞く」ことは、子どもをまるごと受け入れることにつながっているのです。

今回は、ママ向けのコーチング講座を多数開催、『叱るより聞くでうまくいく 子どもの心のコーチング』の著者でもある和久田ミカ先生に「聞く」コーチングについてお話を伺いました。

お話/和久田ミカ先生(一般社団法人子どものこころのコーチング協会代表理事)

目次

「思いを引き出して」「自分で考え行動できる力を育む」それが“コーチング”

「コーチング」と聞くと、「指導する」といったイメージを抱く人もいるかもしれませんが、ここでいう「コーチング」は、「その人の考えを引き出す」「思いを引き出す」ということを一番の目的にしています。

「それは悲しかったね」と共感したり、「こんなことがしたかったんだね」と代弁したりして言葉にします。

そして、「思いを引き出す」ことで終わらず、さらに「今度同じようなことがあったらどうしたらよいかな?」と、“未来”のことを聞いたり、“今”なにが起きたのかを考え、「どうしてそうなったのかな?」と、過去のことを振り返ることを通し、自分で考え自分で行動していく力を育てていくことができるのです。

そして、この“コーチング”は、少し意識をするだけで、簡単に日常生活の中に取り入れることができます。

「聞く」ことは、「あなたの全てを受け入れています」を行動で示す一番簡単な方法!

「聞く」がベースのコーチングで、子どもは伸びていく

子どもの話をていねいに聞くことは、子どもを丸ごと受け入れることです。

「あなたのことをよく見ているよ」「あなたに関心があるよ」というメッセージになり、親子の信頼関係や子どもの心の土台を作ることにつながります。

こうして、「聞く」⇒「ほめる、認める、叱る」⇒「質問する、話し合う」という、「聞く」がベースのコーチングを行うことで、子どもの「自己実現」に向かっていくことができるのです。

「聞く」を深める!6つのおすすめコーチングスキル

① 子どもが話す言葉を繰り返す

特に、子どもの「気持ち」を表す言葉をおうちの方が復唱することで、「ちゃんと聞いてくれているんだ」「自分のことを見てくれているんだ」という安心感につながります。

【例】
「ママ、今日はお友だちとけんかして、いやだったの」
母「そっか、いやだったのね」

また、子どもの「気持ち」を表す言葉だけでなく、「語尾」や「キーワード」を拾って話すだけでも、効果は十分ありますよ。

② 子どもの気持ち・欲求に名前をつける

幼児期は、言葉にして表現することがまだ難しく、よくかんしゃくを起こします。わかってほしいのに、うまく伝えられないもどかしさを感じているからです。その気持ち・欲求に名前をつけることで、子どもの気持ちの整理につながります。

【例】
「悲しかったね」
「びっくりしたのかな?」
「いっしょに遊びたかったんだよね」

③ 子どもの気持ち・行動を否定しない

「強い子に育てなきゃ」「子どもを甘やかさないようにしなきゃ」と思うあまり、子どもの気持ちに共感できず、「気にしない、気にしない!」「大丈夫よ!」と知らず知らずに否定していることがあります。そうすると、「気持ちをわかってくれなかった」という不満につながってしまうのです。

④ 受け止めてから、意見を言う

人は、自分の気持ちをいったん受け止められると、わかってもらえたと安心し、「耳が開いた」状態になります。この「耳が開いた」状態で意見を言うと、相手によく伝わりやすくなることがわかっています。

ですから、真っ先にしてほしいことを言うよりも、子どもの気持ちに共感したうえで、意見を伝えるとよいでしょう。

【例】
「たいへんだったよね! でも、~するともっとよくなるよ」

⑤ ほめすぎない

「ほめる」ことは悪いことではないのですが、ほめすぎてしまうと、

「ほめてもらうためにがんばる」ようになり、親の基準でいいことをしなければならない、と思い込んでしまうことがあります。

親の顔色をうかがうようになり、「ほめてもらえないとがんばらない」子になってしまいかねないので、注意が必要です。

⑥ 認める

そこで、「認める」ということが大切になってきます。「認める」ということは、「ほめる」のように評価は入りません。

  • 見たままを実況する

〇「赤い積み木だね」「三角だね」「あっ、3こ積めたんだ」
⇒「あなたのことを見ているよ」が伝わります。
評価が入らないので、自分の好きなことが自由にできます。

×「高く積めてすごいね!」
⇒「高く積むことってすごいんだ」と感じ取り、高く積むことしかしなくなってしまう可能性があります。

  • 以前との違いを伝える

〇「逆上がり、前よりも足が上がったね」、「〇日間も練習を続けているよね」
⇒「あなたのことをずーっと見ているよ」が伝わります。

×「がんばってるね!」「すごいね」
⇒いつもそればかりだと、そのときしか見ていないように伝わってしまいます。

  • がんばっているところ、子どもが認めてほしいところに注目する

〇「“ひとりで”本を読んでいるんだね!」
⇒「ひとりで読めるもん!」という得意気な気持ちに気づいてくれた!と感じます。子どもの「こだわり」を認めることができるのです。

×「すごいね!本が読めるんだ!」
⇒「読みたいから読む」のではなく、「ほめられたいから読む」になってしまいやすいです。

ただ、「認める」ためには、「ほめる」と違って、子どものことをよく観察していなければいけません。だからこそ、「あなたのことを見ているよ」というメッセージが伝わり、子どもの安心感につながっていくのです。

なんでも受容してしまうのは要注意!「不適切な行動にはNG、気持ちにはYES」

しかし、「聞く」ことが大切だからといって、なんでも受容してしまうのはよくありません。

つまり、「これはよい、これは悪い、これはうちではOK」などといった、親としてのルールをしっかりともっておくことが大事になります。なぜなら、このルールがないと「いいこと」と「悪いこと」の区別がつかないままになってしまうからです。

例えば、公園で遊び終えたとき、

子「帰りたくない!」

といった場面では、

親「帰りたくないんだね」(気持ちにはYES)
 「でも、お母さんは帰りますよ」(不適切な行動にはNO)

というように、子どもの中にある思いには寄り添いつつ、行動に関してはしっかりと意見を伝えていくことが必要なのです。

「聞くコーチング」はこう使う! 実践例

言ってしまいがちなその言葉、実は、子どもの成長にとってはNGワードかもしれません。「聞くコーチング」を使うと、どのように言い換えることができるのでしょうか?

幼児期は、発達段階によって声かけも変わってくるので難しいのですが、よくある例をいくつか紹介します。

1 子どもが転んで「痛い!」

×「痛くない、痛くない!お兄ちゃんでしょ?」

〇「痛かったね、大丈夫?」

⇒子(ママは痛いってわかってくれた!)

ポイント

「痛かったね」と共感してから、「自分で立てる?」などと要望を伝えてもよいでしょう。

2 子どもが誤って食器を割ってしまった

×「なにやってるの!? 割れちゃったじゃない!」

〇「けがはない? なにがあったのかな?」

⇒子「ママのお手伝いをしたかったの」
 母「ありがとう。じゃあ、これを手伝ってくれる?」

ポイント

わざとやったのでなければ叱りません。過程をきちんと聞き、今後の対策を立てましょう。

3 子どもがおもちゃを取られて友だちをたたいてしまった

×「謝りなさい! たたいちゃだめでしょ!」

〇「おもちゃを取られて悲しかったね。次はたたかないで、『まだ使ってるよ』って言ってみようか」

⇒子(そう、悲しかったの。「まだ使ってるよ」って言えばいいんだ)

ポイント

「おもちゃをとられて悲しかったね」と、子どもの立場に立って代弁しましょう。友だちがおもちゃを使いたいと言っても、状況をよく見て「NO」と断ってもよいのです。

4 かんしゃくを起こして暴れている

×「いい加減にしなさい! ママは知らないからね」

〇「落ち着いたら、お話ししようね。ママは隣のお部屋にいるよ」

⇒子どもは、かんしゃくを起こしながらも、気持ちに折り合いをつけていきます。

ポイント

子どものかんしゃくが始まったら、言葉で落ち着かせるのは逆効果。穏やかになるまで静かに見守りましょう。落ち着いたら、だっこして話を聞き、子どもの気持ちを言葉にしてあげましょう。

5 着替えをしない

×「赤ちゃんみたい。隣のAちゃんはもう着替えられるよ」

〇「着替えをしたくないんだね。どうしたら着替えたくなるかな?」

⇒子「ママ、やって!」
 母「わかったよ」

ポイント

他の子と比較をしてはいけません。

できる年齢であっても、親が手を出してよいのです。途中まで手を貸して、「ここからはできるかな?」と促すのもOKです。甘えたい欲求がしっかり満たされると、次にかんばる力が生まれます。

和久田先生からのメッセージ

子どもの心の土台は、周りの大人たちのあたたかなまなざしによって作られます。

子どもたちの“心の栄養”は、「ママとパパが見てくれた!」という安心感です。

「あなたのことをこんなに見ているのに、大好きなのに伝わらない」というもどかしい思いを感じられている方もいるのではないでしょうか。その伝わらない理由の一つが、意外にも「話を聞けていない」ということだったりします。

親は、どうしても「解決してあげること」が「聞くこと」だと思いがちです。でも、子どもは自分の話を聞いてもらうことだけでも、十分に心が満たされています。解決してあげようとするよりも、まずは、子どもの話をよく聞いて安心させることをしてほしいと思っています。

「聞く」ことを通して、大切なお子さんに「あなたを見ているよ」ということを伝えてみてくださいね。

この記事の監修・執筆者

一般社団法人子どものこころのコーチング協会代表理事 和久田 ミカ

子育てコーチングの草分け的存在。
15年前から、コーチングの手法をベースにした、講座・ワークショップ・個別相談を全国で行っている。
現在は、より多くのママに講座を届けるため、全国規模で開催できる体制を目指し、協会を設立。
協会認定インストラクターを育成に努める。

著書
『0~6歳までの 叱るより聞くでうまくいく 子どもの心のコーチング』

ブログ:
http://ameblo.jp/heartstrings-mika/

子どものこころのコーチング協会HP:
http://kodomokokoro.jp/

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