きょうだい子育てのお悩みに専門家が答えます!こんな「困った!?」が成長のチャンスに!

更新日: 公開日:

きょうだい子育てのお悩みに専門家が答えます!こんな「困った!?」が成長のチャンスに!

きょうだい子育ての悩みといえば、

・おもちゃやおやつの取り合い

・手のかかる下の子をつい優先して、上の子は我慢…

・上の子の赤ちゃん返り

など、いろいろ。

今回は、そうしたきょうだい子育ての悩み・疑問について、幼児期の子育てにくわしい、田宮由美先生にお答えいただきました。

お話:田宮 由美

目次

お悩みケース1)物の取り合いで大ゲンカ!

 おもちゃや絵本など、1つしかない物を取り合っていつも大ゲンカ。5歳の姉は譲らず、3歳の妹は「ちょうだい!」の一点張り。仕方がないからと、姉に声をかけて譲ってもらうこともあるのですが、譲った姉の方はその後もプンプン怒って手がつけられず…。こういう時はどうしたら?

物の取り合いは「折り合いをつける」ことを学ぶチャンス!

 子どもの世界は、お母さんとの一対一の関わりから始まり、家族、そして幼稚園や保育園へと、その世界を広げていきます。赤ちゃんの時は、何でも思い通りになっていたのに、成長とともに世界が広がれば広がるほど、自分の思い通りにならない状況を体験していくことになります。

そうした場面では、自分の思いと折り合いをつけなければいけないことに気づきます。きょうだいでの物の取り合いは、それを学ぶチャンスでもあります。

それは、自分の意見を一部がまんして、相手も主張を引いて、お互いに納得する一致点を見出すことです。お互いに譲り合うことを経験し、折り合いのつけ方を学んでいきます。

この時、お母さんは、「なぜ、その絵本が読みたいの?」「それは、今でなければならないの?」などと、子どもの気持ちを具体的に尋ねます。聞くことが、譲るためのポイントを探すヒントになります。的確な答えは出せないかもしれませんが、「読みたい」「ちょうだい」の一点張りではなく、お互いに気持ちをクールダウンするのにも効果的。

そこでお母さんから、「順番にしてみたら?」「いっしょに読めば、もっと楽しいよ」などと、サポートする言葉をかけてみましょう。

最初のうちは意見が平行線のままでも、いつかイライラの刀がさやに納まってくると思います。

そして、取り合ってケンカしているより、いっしょに遊ぶ方が楽しいことを体感させ、徐々に譲り合うことを覚えていきます。親自身も、日頃から完璧を求めるのではなく「まぁ、これくらいでいいか」といった姿勢を見せるのもよい方法かもしれません。

食べ物の取り合いは”親の愛情の取り合い”かも?

 また、おやつの大きさや量でケンカになるのも、きょうだい子育てのあるあるですね。例えば次のケース。

姉(6歳)、弟(3歳)、妹(2歳)の3人きょうだいです。食欲旺盛な子どもたちは、おやつやおかずの大きい・小さい、量の多い・少ないで、毎回大騒ぎ。取り合いになって誰かが泣くまで続きます…。

この場合、誰かが泣けば収まる状況だとすると、単に食べ物の分量だけの問題ではないかもしれません。おやつの取り合いというより、親の愛情の取り合いとも考えられます。分量が多かった子は、お母さんの愛情もたくさん注いでもらっている、と感じられるのでしょう。

ですから、体の大きさが違うから分量も違うことを説明したり、大きい方をもらった子には「ありがとう」と言うよう促すようにしたりすれば、分かち合うことの喜びを少しずつ感じることができるようになるでしょう。

時には、一人ひとり個別に「あの時は、譲ってくれてありがとう。お母さんうれしかった」と気持ちを伝えるのもよいでしょう。 

お悩みケース2)どうしても下の子を優先して、上の子に我慢させがちに…

5歳の姉と2歳の妹です。どうしても下の子を優先して、お姉ちゃんとの時間が減っています。時々、お姉ちゃんとワークをしようとすると、妹も「シール貼りたい!」と割り込んできて…。お姉ちゃんに我慢させているのが気がかりですが、下の子がぐずるとつい…。なかなか時間がとれず…悩んでいます。

2人いっしょか個別か、状況によって対応を

下の子が生まれると、どうしても手のかかる下のお子さんを優先してしまいがちですね。上のお子さんとゆったり過ごしたいと思っても、なかなか時間が取れないこともあるでしょう。

お姉ちゃんとワークをしようと思ったのに…という時は、下のお子さんの年齢に合ったシール貼りやぬりえなどのワークを用意して、いっしょに取り組むのも一つの方法です。

下の子が、早くから学習などに興味を持って取り組むことは、きょうだいのいる大きなメリットです。

2人いっしょだと上のお子さんの気が散ってしまうようなら、下の子が寝ている時間や、休日にお父さんの協力を得て、下の子を見てもらうという手もあります。

下のお子さんとは、お姉ちゃんが幼稚園などに行っている間に十分に関わり、お姉ちゃんと過ごすときには「今はお姉ちゃんとの時間だからね」と伝えても。2歳だとまだわからないと思いますが、根気よく伝えていくことで、少しずつ理解できるようになります。

上の子には、「お母さんが、○○ちゃんをお外に連れて行くから、その間に何ページまでしておいてね」と、妹がいる状況を理解し、そうした中で取り組んでいくことを覚えていくことも大切です。そのあと、2人の時間をとって、できたところをほめてあげてください。

年が近い場合は、“2人いっしょ”の楽しさを伝え、個別対応も!

 また、年が近いきょうだいの場合、「ママを独り占めしたい!」という思いが強くてケンカに発展してしまうケースもあります。

4歳の兄と3歳の妹は、ママを独り占めしたい思いが強く、自分の目の前でどちらかがだっこされるだけで大泣き。2人いっしょにとなだめようとしても、それは「イヤ!」と断固拒否。お兄ちゃんにもう少し大人になってもらいたいと思うのですが…どうしたら?

2人ともお母さんが大好きで独り占めしたいのですね。4歳と3歳だと、まだお母さんにいっぱい関わってほしい時期。そして、それぞれがお母さんの愛情を確かめている状態。それはとても自然なことで、親子関係が順調である証しでもあります。

上のお子さんは、もっとお母さんに甘えて関わってほしい時に、下の子が生まれたことによって、急に「お兄ちゃん」になってしまったのです。それなのに「お兄ちゃんだから…」と言われても、すぐには受け入れ難いでしょう。

ですが、親としては少しでも年齢が上の子に我慢をさせてしまいがち。さらに、上のお子さんへの心のフォローも見落とされがちになります。

2人いっしょにムギュって思いっきり抱っこしてみてはどうでしょう。「今日お母さんは、2人いっしょでないと抱っこできないの」と提案してみるのです。“2人いっしょ”の楽しさや喜びが感じられる機会を作っていきます。

そしてそれぞれ1人の時に、しっかり抱きしめて「お兄ちゃん大好き!」「いつもお母さんを手伝ってくれてありがとう。お母さん、助かるわ」、妹には「○○ちゃん大好き!」「いつもお兄ちゃんと仲よく遊んでいるね。お母さんうれしいわ」などと伝えていきましょう。

お悩みケース3)何でもまねをしたがって、駄々こね&危険なことも!!

もうすぐ3歳になる妹は、6歳のお兄ちゃんと同じことをしたがり、幼稚園に行きたいと駄々をこねたり、兄のまねをして高い所からジャンプしようとしたり…。危なくて目が離せません!

何でもまねをしたがって、駄々こね&危険なことも!!

まねして早く覚えるメリットも! 危険なことは毅然(きぜん)と注意を

2~3歳は、第一反抗期(イヤイヤ期)で、子育てもとても苦労する時期ですね。お兄ちゃん・お姉ちゃんがいる家庭では、何でも上の子のまねをして危険なことも。目を離せず、より大変ですね。

上の子のまねをして何でも早く覚えるのが下の子の特性であり、メリットでもあるのですが、無理を言って駄々をこねられると…困りますね。

幼稚園に行きたいと駄々をこねたら、「お兄ちゃんは幼稚園、○○ちゃんは家でお母さんと幼稚園ごっこして遊ぼうね」「お兄ちゃんも小さい時は、お母さんと家で幼稚園ごっこしていたよ」などと話して、お母さんとの関わりを楽しみましょう。他の楽しさを見つけることで、駄々をこねる機会も減っていくでしょう。

ただし、危険なことに関してははっきりと注意しましょう。できればお兄ちゃんにも、妹がまねをしたがるので、妹の前では高い所から飛び降りることなどはしないように、と話してもいいかもしれません。

お悩みケース4)0歳と2歳が、同時に泣き出してパニック!!

イヤイヤ期に突入した2歳児、そして0歳児。2人そろって泣き出すともうパニックです! おむつや食事などのタイミングが重なると、どちらかに待ってもらうしかなくて…かわいそうなのですが、どうしたらいいでしょうか?

「待たせて、かわいそう…」→「待つことを学ぶチャンス!」

 2歳児と赤ちゃんの子育てですから、パニックになるのも仕方ない状況ですね。

例えば、排泄が重なった場合、上のお子さんがトイレトレーニングの頃なら、上の子を優先することになりますね。また、食事に関してなら、下のお子さんを優先するなど、状況に合わせて臨機応変な対応が必要ですね。

「待たせてかわいそう…」というお気持ちはわかりますが、そこは逆に「待つことを教えられる」と捉えてみてはいかがでしょうか。

2歳だと、順番を待つことや状況を理解することは、まだ難しいかもしれませんが、それでも「お母さん、今、赤ちゃんのお世話をしているから、ミルクを飲み終わらせるまで、待っててね」などと、具体的に説明をします。

繰り返し、「待つ」ことや「いまはできるか、できないか」を伝えていくことで、子どもの「待つ力」や「我慢する力」が養われていきます。

この時、ただ「待っててね」ではなく、「どれくらい」「いつまで」待てばよいのかを具体的に話し、見通しがもてるように説明することです。

ぜひ、子どもの学びのチャンスと捉えて、対応してみてください。

お悩みケース5)下の子が生まれて、赤ちゃん返り!

妹が生まれてから、お兄ちゃん(3歳)の赤ちゃん返りが…!? それまでは、自分で着替えもできて、トイレトレーニングも成功して、おむつも外れていたのに…。今では何でも「ママやって~」と、自分でしようとしません。どうしたら…?

赤ちゃん返りは防衛反応。受け入れて安心させてあげて

今まで、親の愛情を一身に受けてきたのに、弟や妹が誕生すると、親の関心は急に赤ちゃんに向けられ、お兄ちゃんやお姉ちゃんとの関わりはぐっと減ってしまいます。

このことは、食事や排せつなど生活全般をお世話してもらっている上のお子さんにとって大変な事態です。なぜなら、「親から見放されると、自分は生きていけない」と感じるからです。

そこで上の子は、親の関心を自分に向けようと、気を引こうとしたり、親の愛情を確かめるためにわざと反抗して困らせたりするのです。それは自分が生きていくための「防衛本能」ともいえるでしょう。

「赤ちゃん返り」をするのは、それまで上のお子さんが、親の愛情をしっかり感じていた、そして少々親を困らせても受け入れてくれる、という安心感があるからこその態度です。

つまり、それまでの親子関係がうまくいっていた証拠でもあります。

親は、そうした気持ちを十分に理解して、今は要求を受け入れてあげましょう。赤ちゃん返りをしている時期は、いっときだけです。

この記事の監修・執筆者

家庭教育協会「子育ち親育ち」代表 田宮 由美

小学校教諭・幼稚園教諭・保育士資格を持ち、幼児教室指導者、幼稚園、小学校勤務、小児病棟への慰問や子どもの声を聴くボランティア活動などを通し、多くの親子に関わる。2010年に、「子ども能力開花くらぶ」を開設。執筆活動や講演会、個別教室など、幅広く活躍中。日本子育て学会所属。著書に『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(中経出版)。

All About子育てガイド
https://allabout.co.jp/gm/gp/1662/

家庭教育協会「子育ち親育ち」
https://kosodate-ai.com/

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

関連記事

この記事の監修・執筆者の記事