乳幼児期の食事は、授乳から離乳食、幼児食へと大きく変化します。
離乳食にはいろいろな段階があり、手間や時間もかかりますが、お子さんの成長をすぐ近くで実感できてうれしい時間です。
2019年3月に「授乳・離乳の支援ガイド」(厚生労働省)が、約10年ぶりに改訂されました。アレルギーについての科学的知見や育児環境の変化などをふまえて、授乳・離乳の考え方もアップデートされています。
ここでは、お子さまひとりひとりの発達段階を見極めながら、ママやパパも一緒に楽しい食事の時間が過ごせるよう、離乳食の進め方を月齢別に紹介。
アレルギー対応など「今どきの離乳食」Q&Aも、ぜひチェックしてみてください。
離乳食はいつから始めるの?
母乳やミルクを飲むだけの食事から、離乳食を与え始める時期は生後5~6か月頃です。
首がすわりしっかりして寝返りができる、5秒以上すわれるなど月齢相当の発達状況で、親の食べている様子を見てほしそうにしたり、よだれをたらしたりするなど、食事に興味が出てきたら始めどき。
赤ちゃんの成長には個人差がありますので、その子の様子を見ながら離乳食を開始しましょう。
アレルギーには十分注意し、初めての食べ物は家で食べさせて。
ちなみに、離乳食の期間は、およそ5か月~1歳6か月頃で、以下のように分類されます。
- 5、6か月頃:ゴックン期
- 7、8か月頃:モグモグ期
- 9~11か月頃:カミカミ期
- 1~1歳6か月頃:パクパク期
【月齢別】離乳食の進め方
離乳食は、あごや舌、胃腸機能などの発達に合わせての設定です。
月齢はあくまで目安と考え、お子さんに合わせて進めましょう。
5,6か月頃:ゴックン期
食べさせ方の目安
・1日1回1さじずつから始め、お子さんの様子を見ながら進める。
・飲み込むことや舌触りに慣れる段階。
・母乳やミルクは様子を見ながら与える。
調理の状態
なめらかにすりつぶした状態
└まだ舌を上手に動かせないので、なめらかに口の奥に送れるトロトロのポタージュ状に。
咀嚼(そしゃく)の目安
口に入った食べ物を、口を閉じて飲み込むという「反射」が出る位置まで送ることを覚える。
ポイント
食べ物を自分で取り込むのを待つ
└唇で食べ物をこすり取って食べられるように、小さく、浅いスプーンを使います。
ひと口の量をのせたスプーンの先を下唇にあてて、自分で取り込むのを待ちましょう。
舌で食べ物を押し出してしまうことも多いですが、飲み込むときに下唇が内側に入るようになると、口を閉じて飲み込めます。
7,8か月頃:モグモグ期
食べさせ方の目安
・1日2回食で、食事のリズムをつけていく。
・いろいろな風味や舌触りを楽しめるように、食品の種類を増やしていく。
・母乳やミルクは、離乳食の後に与える。ミルクは1日3回程度、母乳は様子を見ながら与える。飲ませすぎないように注意する。
調理の状態
舌でつぶせる固さ
└舌と上あごでつぶして食べられる豆腐状の固さが目安。慣れてきたら、食べ物の形状を残した状態のものを少しずつ加えていきます。
咀嚼(そしゃく)の目安
口の前の方を使って、食べ物を取り込む。食べ物を舌と上あごでつぶすことや、口の中でひとまとめにして飲み込むことを覚える。
ポイント
食べ方をよく見てスプーンを選ぶ
└唇で取り込み、舌でつぶす動きを十分経験できるように。
スプーンの先を下唇にあてて、上唇で食べ物を取り込むのを待ちましょう。
上唇を「ムー」の形にすると取り込みやすいことを教えます。
急がずに、口の中に食べ物がなくなってから、スプーンを運ぶように。
9~11か月頃:カミカミ期
食べさせ方の目安
・1日3回食。1日の生活の中で食事のリズムを付けていく。
・食欲に応じて量を増やす。
・母乳やミルクは、離乳食の後に与える。ミルクは1日2回程度、母乳は様子を見ながら与える。
調理の状態
歯ぐきでつぶせる固さ
└上下の歯ぐきでつぶすことができる、バナナくらいの固さ。徐々に、少し大きめに切ったものも加えていきます。
咀嚼(そしゃく)の目安
舌が前後だけではなく左右にも動くようになり、上あごでつぶせないものは歯ぐきの上でつぶすことを覚える。
ポイント
口角を見てかみ方を確かめる
└前歯が上下4本そろう頃。やわらかめのものを前歯でかじり取り、前歯を使うこととひと口分を覚えるようにサポートしましょう。
咀嚼(そしゃく)するとき口角が左右に動いていることを確かめます。
手づかみ食べは、遊び食べにならないよう、スティック状のパンや野菜、果物など手に持って食べられるものに。
1~1歳6か月頃:パクパク期
食べさせ方の目安
・1日3回の食事リズムを整える。そのほか1日1~2回の間食で、必要な栄養をほとんどとるようになる。
・母乳やミルクは個別の離乳状況に応じて与える。
・手づかみやスプーンを使って、自分で食べる楽しさを味わう。
調理の状態
歯ぐきでかめる固さ
└上下の歯ぐきでかみつぶせる、肉団子くらいの固さが目安。
咀嚼(そしゃく)の目安
舌とあごが自由に動かせるようになる。かむ力はまだ弱いが、生えてきた奥歯(第一乳臼歯)や歯ぐきでかみつぶして食べる。かむ運動の完成期。
ポイント
手づかみ食べからスプーンへ
└手づかみで口へ詰め込みすぎたり、食べこぼしたりしながら、ひと口の量を覚えていきます。
ママやパパの持っているスプーンを取ろうとしたり、自分で持とうとしたら、スプーンを持たせる目安です。
今どきの離乳食Q & A
宮野孝一先生(みやのこどもクリニック院長)
Q:以前は果汁を与えるのが普通だったが、最近はあまり推奨されていない?
A:昔は母子手帳に「果汁や湯ざましを与える」と書いてあったのですが、今は栄養的には果汁を与える必要は特にないです。
もし与える場合も、薄めたほうがいいですね。甘い味に慣れてしまうと、本当に食べてほしいもののほうにスムーズに進めないということがありますから。
Q:赤ちゃんに経口補水液って与えていい?
A:よく聞かれますが、ふだんお水代わりに飲ませる必要はありません。
暑い日や、病気で下痢、嘔吐があるときなどに補う目的であれば、問題ないでしょう。
Q:離乳食スタートを遅くしたほうが、アレルギーを起こさないと聞いたけど本当?
A:これはまったく反対ですね。家族にアレルギーがあるから心配、と遅らせるのはよくないです。普通通りに進めていいのです。海外の研究でも、ピーナツアレルギーの調査で、遅く与えたほうがアレルギーを起こしやすいという論文も出ています。遅らせるとかえってアレルギーを助長することもあります。
ただ、アトピーがある、アレルギーが出やすいという赤ちゃんであれば、かかりつけの医師に相談しながら進めていくといいいと思います。
Q:今食べさせている量がちょうどいいかどうかわからない。何を目安にしたらいい?
A:目安は体重の増え方ですね。成長曲線に沿って体重が増えているかどうか。あと、赤ちゃんのきげんがいいかどうか、です。成長曲線の範囲外で、体重があまり増えていないようであれば、かかりつけの医師か栄養士の先生に相談したほうがいいでしょう。
あと、最近の乳幼児健診で来られるお母さまがたに見られる傾向なんですが、まだゴックン期なのに、赤ちゃんがほしがるから、と形のあるものを与えてしまうんですね。
実際はまだモグモグ(咀嚼)できていないので、かまずに飲み込むんですが、そうなると、離乳食終了の時点で「よくかめない子」になってしまいます。離乳食を急激に進めすぎているんですね。かめるようになって次の段階に進む、というのは大事なところなので、口の中でモグモグしているかどうか、よく見たほうがいいですね。
いかがでしたでしょうか。
食生活や環境も変わっていく中、離乳食事情も時代とともに変化が見られますね。
赤ちゃんの発育を見極め、楽しい離乳食期を過ごしましょう。
参照:厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)』
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