1年のうちで最も昼が長くなる夏至(げし)。今回はその夏至のしくみや風習についてわかりやすく紹介します。
夏至について科学と文化の両面から知ることで、親子で本格的な夏の始まりを楽しむきっかけにしてください。
1年のうち最も昼の時間が長い「夏至」
昼の長さが変わる理由
どうして日本がある北半球では、夏至に最も昼が長くなるのでしょうか。
そのしくみを知るために、まずは地球の自転と公転について考えてみましょう。
地球は北極点と南極点を結ぶ線(地軸)を中心にして、1日に1回転しています。これが自転です。そして、地球は自転しながら、太陽のまわりを1年かけて1回転します。これが公転です。
また、地球が公転する面に対して、地軸は約23.4度傾いています。つまり、地球は少し傾いた状態で自転しながら、太陽のまわりを公転しているのです。

もし、地球が傾いていなければ、ある場所が太陽に照らされる時間は一年中変わりません。このように地球が傾いているので、時期によって太陽に照らされる時間が長くなったり、短くなったりする、つまり、昼が長くなったり短くなったりするのです。
昼が一番長くなる「夏至」
夏至の日、日本がある北半球は太陽の方へと最も傾いた状態になります。下の夏至と地軸の傾きの図を見るとわかりやすいでしょう。この傾きによって北半球では太陽からの光をより正面から、長い時間受けることになります。

夏至の日には、太陽は1年の中で最も北寄りの東から昇り、最も北寄りの西へ沈みます。1日の中で太陽が一番高くなる昼の12時ごろ(南中・なんちゅう)には、その太陽の高さ(南中高度)が1年で最も高くなります。太陽の通り道が長い分、空に太陽が出ている時間(昼)が長くなるのです。

夏至の反対で、1年のうち最も昼が短くなるのが「冬至(とうじ)」です。冬至には、地軸が太陽と反対側に傾くため、北半球は太陽に照らされる時間が少なくなり、昼が短くなります。

2026年の夏至は6月21日、冬至は12月22日です。
どうして暑さのピークにならないか
夏至(6月下旬)が暑さのピークにならないのは、日本では「梅雨」と「大気の温まりにくさ」が理由です。太陽の熱で地面や海がじわじわと温まるには1〜2か月がかかります。そのため、梅雨が明けて地面も空気も完全に温まった7月下旬〜8月上旬に、ようやく暑さのピークを迎えます。
また、北半球が夏至を迎えるころ、南半球では昼が最も短い冬至となり、冬になります。反対に、北半球が冬至を迎えるころには、南半球では夏至となって夏になります。これは、地球が傾いたまま太陽のまわりを公転しているため、北半球と南半球で季節が逆になるからです。
≪関連記事≫【夏休みのおでかけや自由研究にも】鳴門の渦潮(うずしお)のしくみと見どころを解説!〈子どもと読みたい科学のおはなし〉
日本と世界の夏至の風習
「二十四節気」と夏至
夏至は、紀元前の中国で考案された、太陽の動きを基準に1年を24等分し、それぞれに季節の名前を付けた「二十四節気」の一つです。
月の満ち欠けを基準にした旧暦では、実際の季節とのずれが徐々に生じるため、太陽の動きを基準にした二十四節気は、種まきや収穫など農作業の目安として、日本でも用いられてきました。
まず、「立春(りっしゅん)・立夏(りっか)・立秋(りっしゅう)・立冬(りっとう)」の「四立(しりゅう)」が、それぞれの季節の始まりを示します。現在でも、「暦の上では秋ですが……」といった時候の挨拶で使われていますね。
二十四節気の中で、昼の時間が最も長く、本格的な夏の訪れを告げるのが「夏至」です。

日本の夏至の風習
日本では、夏至は田植えで忙しい時期と重なっていました。夏至から約11日後の「半夏生(はんげしょう)」までを田植えの目安とするなど、夏至は農業と深く結びついてきました。暑さの厳しい夏を前に、体を休め、無病息災を願う時期でもありました。
また、夏至の祭りとしては、三重県の二見興玉(ふたみおきたま)神社で行われる「夏至祭」が有名です。夏至の日に夫婦岩の間から昇る朝日を拝み、海に入って禊(みそぎ)で身を清めます。

夏至の食べ物
関西地方のタコ
関西地方では、夏至から半夏生にかけての時期に「タコ」を食べる習慣があります。これは、田植えを終えたこの時期、稲の根がタコの足のように八方に深く張り、しっかりと大地に根付くことを願うという意味が込められています。
関西地方の半夏生餅
奈良県や和歌山県など、関西の一部地域では、夏至から半夏生にかけて「半夏生餅(はげっしょもち)」を食べる伝統があります。これは、つぶした小麦と餅米を混ぜてつき、きな粉をまぶしたお餅です。
田植えを無事に終えたお祝いと、農作業を手伝ってくれた人々への感謝を込めて振る舞われました。

関東地方の新小麦の焼き餅
関東地方の一部では、夏至の時期に収穫されたばかりの新麦を使って「焼き餅」を作り、神様に供えたり家族で食べたりする風習があります。「小麦餅(こむぎもち)」とも呼ばれ、麦の収穫を祝い、農作業の無事を祈る意味があります。
世界の夏至、ミッドサマーの風習
夏至は英語ではSummer solstice(サマー・ソルスティス)と言い、夏至の時期に行われる伝統的な祭りやイベントはMidsummer(ミッドサマー)と呼ばれます。
北欧やヨーロッパ諸国では、冬が長く日照時間が短いため、夏至は「太陽の誕生」を祝う一年で最も重要なイベントの一つです。
特にスウェーデンの「夏至祭(スウェーデン語でMidsommar/ミッドソルマル)」は有名で、草花で飾られた柱(メイポール)の周りで踊ったり、ハーブを摘んだりして盛大に祝います。

また、イギリスのストーンヘンジでは、夏至の日の出の光が遺跡の特定の石を照らすことから、古代から特別な儀式が行われていたと考えられ、現在も夏至祭が祝われています。

今回は夏至について、そのしくみや風習を紹介しました。
地球や太陽の動きに思いをはせながら太陽の高さを感じたり、農耕との結びつきを知って地域に伝わる食べ物を味わったり、世界の夏至について調べたりして、季節の節目を家族で豊かに楽しんでください。
この記事の監修・執筆者
未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!
こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪