「ハチミツはミツバチがつくる栄養たっぷりの優れた食品です」と教えてくださったのは、食育を推進するNPO「食育暮楽部(くらぶ)」を運営する森野恵子先生です。
ミツバチがどのようにハチミツをつくるのか、ハチミツの栄養や楽しみ方、簡単につくれるレシピも紹介します!
ハチミツができるまで

ハチミツはミツバチの保存食
ミツバチは、花蜜(花の蜜)を集めてハチミツをつくります。日本には、在来種のニホンミツバチと、ハチミツをつくるために導入されたセイヨウミツバチがいます。
ミツバチは花蜜や花粉を食べますが、花の少ない季節や雨の日などに備えて、長く保存できる食料としてハチミツをつくります。
役割分担するミツバチ
ミツバチは巣をつくり、たくさんの仲間と役割分担をしながらくらしています。
女王バチは基本的に巣に1匹だけです。卵を産むのが仕事で、巣の中のミツバチを増やします。新しい女王が生まれるとき、一時的に巣に2匹いることもあります。
ハチミツをつくるのは働きバチで、すべてメスです。働きバチは花蜜を集めたり、幼虫を育てたり、巣を守ったりします。
オスの役割は、春から夏にかけて女王バチと交尾して子どもを残すことです。巣の中でメスから食べ物をもらって過ごし、役目を終えて秋になると巣の外へ出されます。
ミツバチのハチミツづくり
ミツバチは、集めた花蜜からどのようにハチミツをつくるのでしょうか。その行程を紹介します。
[ ハチミツができるまで ]
①花蜜を集めて巣に運ぶ
働きバチは、吸い取った花蜜を蜜胃(みつい)という特別な袋にためて巣に運びます。蜜胃は腹部にあり、食べたものを消化する胃とは別に分かれています。
花蜜はハチミツとは別のもので、主成分はショ糖です。花蜜は水分が多くてサラサラしていますが、蜜胃の中で働きバチの体から出る酵素(こうそ)と混ざり合い、少しずつ変化します。
②花蜜のショ糖が変化する
巣に戻ると、働きバチはほかの働きバチに口移しで花蜜を渡します。この過程で、さらに花蜜に酵素が加わり、ショ糖がブドウ糖と果糖に分解されて、体に吸収されやすくなります。
③花蜜の水分を減らす
花蜜を受け取った働きバチは、巣房(巣の中の六角形の部屋)に詰めこみます。
集めたばかりの花蜜は約70〜80%が水分で、サラサラしています。ミツバチは保存に適した状態にするため、羽を激しく動かして風を送り、水分を飛ばします。
花蜜は水分が減ると糖度が高くなり、腐りにくくなります。
④完熟したハチミツが完成
花蜜の水分がだいたい20%まで減ると、働きバチは巣房に体から分泌した蜜ろうでふたをして貯蔵します。これが完熟したはちみつです。
こうしてできたハチミツを、養蜂家(ようほうか)と呼ばれる人たちが巣から取り出します。養蜂家はミツバチを管理しながら、巣の中のハチミツを集めます。
ハチミツを取り出すには、まず巣から蜜ろうを取りのぞき、遠心分離機(えんしんぶんりき)という機械で回して中のハチミツをしぼり出します。そのあと、ゴミや蜜ろうのかけらをこして取り除き、びんなどに詰めて製品にします。
一匹のミツバチが集めるハチミツの量
働きバチの寿命は平均して40日ほどで、前半の20日ほどは巣の中で掃除をしたり、幼虫を育てたりします。そして、後半の20日ほどは巣の外に出て、3万個以上の花を訪れ、花蜜を集めます。
一匹の働きバチが一生をかけて集めた花蜜からできるハチミツの量は、わずかティースプーン1杯にも満たないと言われています。
栄養たっぷり、のどにもよいハチミツ

速やかに消化吸収されるエネルギー源
ハチミツの成分の約80%は糖分ですが、ブドウ糖と果糖に分かれているので、消化吸収にすぐれています。運動や勉強で体や脳が疲れたときに口にすれば、すばやくエネルギーを補給できます。
さらにハチミツには、ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素も少しずつ含まれています。量は多くありませんが、体の調子を整えるはたらきがあります。
のどにいいハチミツ
「ハチミツは腐らない」と聞いたことがあるかもしれません。これは、ハチミツには糖分が多く、水分が約20%と少ないため、細菌やカビが増えにくいからです。そして、ミツバチが加える酵素のはたらきによって、細菌やカビをおさえる力もあり、正しく保存されたハチミツはとても腐りにくいのです。
このハチミツの性質は、のどにもよいはたらきをします。のどを通ることで、のどのトラブルの原因となる細菌が増えにくくなり、さらに炎症をやわらげるはたらきもあります。
また、トロッとした粘り気がのどの表面をおおって守り、痛みやイガイガをやわらげます。
1歳まではハチミツは避ける
ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには食べさせてはいけません。これは「乳児ボツリヌス症」という病気の危険があるためです。
ハチミツには、まれにボツリヌス菌の芽胞(がほう)が含まれていることがあります。大人や1歳以上の子どもは問題ありませんが、赤ちゃんは腸のはたらきが未熟なため、ボツリヌス菌が増えて毒素を出し、体に悪い影響をあたえることがあります。
この菌は熱に強く、加熱しても死にません。そのため、ハチミツはもちろん、ハチミツを使った料理も1歳未満にはあたえないことが大切です。
ハチミツの楽しみ方

花の種類でハチミツを選ぶ「単花蜜」
ハチミツは、ミツバチが蜜を吸い取る花の種類によって、香りや味が大きく変わるのが特徴です。
1種類の花から集めたハチミツを単花蜜(たんかみつ)と言います。代表的なのがアカシアやレンゲです。
アカシアの単花蜜は、クセが少なく、甘みがすっきりしていて、結晶化しにくいので飲み物や料理に取り入れやすいのが特徴です。また、レンゲの単花蜜は、まろやかな香りと甘味で、口当たりがふわっとしています。
アカシアやレンゲのほかにも、ミツバチはいろいろな花から蜜を集めます。
さくら…やさしい香りがする
くり…少し苦みがあり、コクが強い
そば…色がこく、独特の風味がある
みかん(かんきつ類)…さわやかな香りがする
ラベンダー…花の香りが強い
クローバー…やさしく甘い味
いろいろな花蜜が混ざった「百花蜜」
そして、いろいろな花蜜が混ざったハチミツを、百花蜜(ひゃっかみつ)と言います。百花蜜に使用される花の種類は、地域や季節ごとに違います。それぞれの色や香り、味わいなどが楽しめます。
また、ハチミツには「純粋ハチミツ」と表示されたものがあり、これは100%ハチミツであることを表しています。一方で、砂糖や水あめなどを加えたり、加熱して味や色を調整したりした加工ハチミツもあります。買うときは、製品の表示を確認して、純粋ハチミツか、加工ハチミツかを確認しましょう。
いろいろなハチミツを試して、自分の好みのものを探してみてください。
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ハチミツを使った簡単レシピ8点
体によい栄養も含まれているハチミツですが、大さじ1杯(約21g)で約65kcalあります。砂糖は大さじ1杯(約9g)で約36kcalです。甘くておいしいですが、カロリーが高いので食べ過ぎに注意しましょう。
簡単な取り入れ方と、ハチミツの量の目安を紹介します。
定番の使い方
[1] 食パン(1枚)に塗る…ハチミツ小さじ1〜2

[2] ヨーグルト(100g)に入れる…ハチミツ小さじ1〜2

調味料として使う
[3] ぶりの照り焼き(2人分)

材料
ぶり(切り身) 2枚
サラダ油 適量
ハチミツ 大さじ1
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ1
つくり方
①ハチミツ、しょうゆ、みりんを合わせる。
②中火で熱したフライパンにサラダ油を引き、ぶりを両面焼いてふたをし、弱火にして火を通す。
③①をからめながら焼く。
[4] 鶏もも肉のハニーマスタード焼き(2人分)

材料
鶏もも肉 1枚
サラダ油 少々
ハチミツ 大さじ2
粒マスタード 大さじ2
つくり方
①中火で熱したフライパンにサラダ油を引き、鶏もも肉を両面焼いてふたをし、弱火にして火を通す。
②ハチミツ、粒マスタードをあわせて、①にからめる。
③②を2〜3cm幅に切る。
[5] さつまいもとりんごの煮物(2人分)

材料
さつまいも(約200g) 1本
りんご(約300g) 1個
ハチミツ 大さじ2
レモン汁 大さじ1
水 約200mL
つくり方
①さつまいもは一口大に切り、水(分量外)にさらす。りんごは皮をむき一口大に切る。
②さつまいもを水からあげ、鍋にりんごと水とハチミツ、レモン汁とともに入れ、中火にかける。
③煮立ったら弱火にして、20分ほど煮る。
ドリンクに入れる
[6] ハチミツレモン(1人分)

材料
ハチミツ 大さじ1
レモン(スライス) 1〜2枚
炭酸水 200mL
氷 3個
つくり方
①グラスにハチミツとレモン、氷を入れる。
②①に炭酸水を注ぎ、さっと混ぜる。
[7] ハチミツジンジャー(1人分)

材料
ハチミツ 大さじ1
レモン汁 小さじ1
おろししょうが 小さじ1
お湯 150mL
つくり方
①マグカップにハチミツ、レモン汁、おろししょうがを入れる。
②①にお湯を注ぎ、よく混ぜる。
[8] バナナスムージー(1人分)

材料
バナナ 1本
牛乳 100mL
ハチミツ 大さじ1
氷 3個
つくり方
①バナナを一口大に切る。
②ミキサーに①と牛乳、ハチミツ、氷を入れる。
③バナナが滑らかになるまでミキサーにかける。
今回は、ふだんの食卓に取り入れてほしいハチミツについて紹介しました。お子さんもつくりやすいレシピなので、ぜひいっしょにトライしてみてください!
この記事の監修・執筆者
「健康」をテーマに、料理とテーブルコーディネートの教室を行う。企業主催の親子クッキングや、住宅展示でのテーブルコーディネート、セミナー講師、TV番組の撮影、飲食店やホテルでのフードコーディネート、メニュープランニング、雑誌・広告での撮影(料理作成・フードスタイリング)、盛りつけ指導など”食”に関わるものをさまざまな角度からコーディネート。
2004年からは、暮らしを楽しみながら食育を推進する団体「食育暮楽部(くらぶ)」を設立し、地域でできる食育に取り組み中。
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