【専門家監修】まずは親が学びたい! 情報リテラシー

更新日: 公開日:

誰もがSNSを身近なツールとして活用している一方で、SNSに関するトラブルが少なくないのも現状です。現実に、我が子の顔を隠さずに写真をSNSに投稿してしまったことがある保護者の方も多いのではないでしょうか? そこで、SNSを安全に正しく使うための「情報リテラシー」について専門家にうかがいました。

目次

情報リテラシーってなあに?

「情報リテラシー」とは、インターネットなどSNSの普及により、日常的に情報があふれる社会のなかで、嘘や誤情報に騙されず、信頼性のある情報を見極める能力のことを言います。

誰もが発信できる時代だから、中には悪意のあるものや、思い込みだけで発信している情報も紛れています。その1つひとつに翻弄されてしまうと、なにもかもわからなくなってしまいますよね。そうならないために、何が自分に必要な情報なのかを見極めることが大切なのです。

SNSなどのツールを「使いこなす」だけではいけません。SNSにあふれている情報を見極めてこそ「情報リテラシーをもっている」ということなのです。

気をつけて! うっかりやってしまいがちな4選

SNSサイトのアイコンやカバーに我が子の写真を使っている

子どもの写真は、無条件にかわいらしいですから、ついつい使ってしまいますよね。しかし、油断は禁物です。写真はデジタルデータなので、最悪の場合、写真をコピーしていかがわしいサイトなどに悪用されてしまうことも。また、そのSNSに投稿した内容から、生活圏などを特定でき、連れ去りや、ストーカ行為に遭う可能性もあります。子ども自身が成長したとき、自分の写真をSNSに載せられていることをよく思わないことも考えられます。

LINEのグループや、限定公開のSNSを過信して、他の人に聞かれたら問題になる発言をする

限定公開だからといって油断は禁物です。昔も、井戸端会議で「ここだけの話だけど…」と注釈がついて聞いた話が、数日後には他の人も知っている…ということがよくありました(笑)。それと同じです。しかも、SNSで話した「ここだけの話」はスクリーンショットをして他のアカウントに貼りつければ、そのまま流出してしまう可能性もあるのです。このトラブルは子どもの世界でもよくあります。いわゆる「鍵アカウント」で投稿した内容を見た人が、面白半分に他のSNSに投稿してトラブルに発展するケースです。昔の井戸端会議よりさらにリスクが高いのが、限定公開のSNSの内緒話なのです。

SNSで拾った学校の情報や保護者間の情報を子どもの前で話す

それこそ「情報リテラシー」に関わりますが、誰もが自分の価値観で発信できるSNSは、なにが真実かを見極めなくてはいけません。それなのに、SNSで拾った話をそのまま鵜呑みにしてしまうのは軽率です。しかも子どもの前で話してしまうと、子ども自身の学校生活や友だちづきあいに影響することも考えられます。「○○先生って本当は××なんだって」と担任の先生のネガティブな話を聞かされる子どもの気持ちも考えてみてくださいね。

運動会や学芸会などの動画を動画共有サイトに投稿する

運動会や学芸会の感動シーンは、確かに誰かに見てほしくなりますが、これもNG。そこには不特定多数の子どもや大人が映っているはずです。本来なら映っている人全員に承諾を得なくてはいけません。よくあるケースが、「祖父母に見てもらうのに、動画サイトにアップすると手っ取り早い」という理由。しかし、祖父母が気軽に見られるということは、他の人も見られるということ。あとで、「うちの子が映っている動画を見たのだけれど、どうして⁉」といったトラブルに発展しないためにも、控えましょう。

我が子のかわいらしい写真をSNSにアップするときはここをチェック!

SNSは、自分自身の思い出を振り返るときにも役立ちますから、上手に使えば便利なツールでもあります。では、我が子の写真をアップするときに気をつけることはどんなことでしょうか。

写真の背景に自宅やその付近、学校など生活圏が特定できる情報が映り込んでないか確認する

家の近所や自宅の前などで撮った写真には、たいてい自宅の場所のヒントとなるものが映り込んでいるものです。アップする写真はデジタルデータ。アップしたときにはサイズが小さいからだいじょうぶと思っていても、簡単に拡大できてしまいます。たとえば、電柱にある番地のプレートなど、特にチェックしてください。また、お子さんが通う学校の名前を隠していても、校舎に校章がデザインしてあるとそこから場所が判明してしまうこともあります。自宅近辺での写真は特に注意が必要です。

子どもの写真は極力アップを避けて、目の部分をスタンプなどで加工しておく

我が子のかわいらしい姿を見てほしい!という気持ちはわかりますが、写真は誰が見ているかわからず、お子さんが犯罪に巻き込まれるリスクもあります。目のところにかわいらしいスタンプを貼ったり、フィルターをかけるなどの配慮をして、極力本人が特定できないように心がけましょう。

服装や持ち物で身元がわからないように配慮を

園や学校の制服が特徴的だと、どこに通っているかわかってしまうことも。また、傘や自転車などに名前を書いてある場合も要注意です。

ピンチ!インスタのアカウントが乗っ取られたときの対処法は?

インスタに限らず、SNSのアカウントを知らない誰かに乗っ取られて悪用されるケースもあります。(卑猥な写真を投稿される/勝手に覚えのないことを投稿される/個人情報を盗みとられる/犯罪に悪用されるなど)

そんなときのために、まず大切なのは、アカウントを作る際の自分の情報を控えておくことと、トラブルがあったときはどうしたらよいかを調べておくことです。トラブルが起こってからあわてて調べても、パニックになっていてうまく対処できないものです。ぜひあらかじめシミュレーションしておいてください。

アカウントを作る際、自分のメールアドレスを登録することが多いですが、携帯電話の機種変更などでメールアドレスが変わる際は、その変更前に登録したメールアドレスを変更しておかないと、ログイン出来なくなったり、いざというときにパスワードの変更が出来なくなったりします。

また、セキュリティー強化のために、二段階認証の設定をしておくこともおススメします。

その上でもし、乗っ取られてしまったときのために、以下のポイントをおさえておきましょう。

  • 乗っ取りがわかったけれど、悪意ある第三者にパスワードが変更されていない場合(今までのパスワードでログインできる場合)は、速やかに複雑で類推されにく、他で使っていないパスワードに変更する。
  • パスワードが変更されていてログインできない場合は、ログイン画面の「パスワードを忘れた」などのリンクからパスワードの再設定をする。
  • ヘルプセンターにアクセスし、アカウントの乗っ取りを報告する。
  • アカウントの乗っ取りが深刻な場合(脅迫、犯罪に使われたなど)、警察に報告する。

SNSは上手に使えば、便利で楽しいツール

SNSのデメリットばかりを話題にしましたが、そもそもSNSはとても便利で身近なツールです。家族や友達と簡単にコミュニケーションがとれ、遠くにいる人ともリアルタイムでつながることができるのですから。また、最新のニュースや写真、動画、趣味に関する情報を自分の好みに合わせて見つけることもできます。さらに、特定の趣味や興味に関連するコミュニティに参加し、共通の趣味や興味をもつ人々と交流することも可能です。購入したい商品に関する最新情報や、口コミを入手することもでき、安心して買い物もできるでしょう。

SNSのなかったひと昔前には考えられない、夢のようなツールです。だからこそ、「情報リテラシー」をしっかり身につけ上手に活用してください。

この記事の監修・執筆者

一般社団法人ソーシャルメディア研究会 チーフ技術指導員 竹内義博

大学卒業後、Webエンジニア等を経て、2007年に一般財団法人インターネット協会 インターネット利用アドバイザー、2010年からパソコン教室「ぱそこんる~む123」代表、2023年「株式会社未来教育開発」創設 (代表取締役社長)。娘のネット問題の経験から関心を持ち、一般社団法人 ソーシャルメディア研究会(チーフ技術指導員)にて情報モラル教育を研究中。近年は、e―ネットキャラバン認定講師(総務省等)、京都府警察ネット安心アドバイザー等として、スマートフォンやネットでのトラブル、ネット依存等について、教員、保護者や児童生徒を対象に啓発講演活動を行っている。

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

あわせて読みたい

おすすめ情報

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

関連記事