【ゲーム依存】「子どもがゲーム依存症かも?」そのとき親ができることとは?

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【ゲーム依存】「子どもがゲーム依存症かも?」そのとき親ができることとは?

今や、子どもの遊びの中心になっているゲーム。

何時間もゲームに集中している姿を見て、「ゲームばかりしちゃダメ!」と頭ごなしに怒ったり、ゲーム機を取り上げたりした経験をお持ちの保護者の方も多いかもしれませんね。
また、勉強が疎かになったり成績が下がったりすると、ゲームのせいにしてしまうこともあるのでは?

「もしかして、うちの子ってゲーム依存症?」と思ったときに、保護者としてどう向き合い、何ができるのかをいっしょに考えてみましょう。

文/マムズラボ

目次

ゲーム依存症は時間では判断できない!?

保護者としては、子どもが長時間ゲームに夢中になっていると、「ゲーム依存症では?」と気になることもあるかと思います。
しかし、依存症や精神疾患など、生きづらさを感じるかたへのサポートを専門にしている一般財団法人ワンネスグループ(ワンネス財団)によると、「○時間以上の実施はゲーム依存である」とは、一概には言えないそうです。

なぜなら、それぞれのご家庭で生活スタイルが異なること、また、ゲームに関する習慣はお子さんによってさまざまだからなのだとか。
ですが、「ゲームをする時間だけで、ゲーム依存症ではないと判断するのも危険だ」とも言っています。

確かに、ゲームをするすべての人が、ゲーム依存症になるわけではありません。
では、ゲームに夢中になっても依存症にはならない人とゲームに依存する人には、どのような違いがあるのでしょうか?

ゲーム依存症とは?

たとえば、宿題や習い事など、ほかにすることがあるのにゲームを続けたり、夜遅くまでゲームをしていて朝起きられないことが続いたり……。
ゲーム依存症は、このようなゲームに対するコントロールが自分でできるかどうか、ゲームを優先してしまい日常生活に支障をきたしている状態にあるかどうかで、決まります。

また、性格的になんらかの原因で抱いたネガティブな感情を自覚することが苦手だったり、人に弱みを見られたくないからと強がってしまったりする傾向がある人ほど、無意識のうちにゲームなどに依存してしまう確率が高くなるとも考えられているようです。

世界保健機関(WHO)が定める「国際疾病分類第11版(ICD-11)」によるゲーム障害(ゲーム依存症)の定義は下記の通りです。

・ゲームのコントロールができない。
・他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを選ぶほど、ゲームを優先。
・問題が起きているがゲームを続ける、または、より多くゲームをする。
・ゲーム行動パターンは重症で、個人、家族、社会、教育、職業やほかの重要な機能分野において著しい障害を引き起こしている。
上記4項目が、12ヵ月以上続く場合に診断する。しかし、4症状が存在し、しかも重症である場合には、それより短くとも診断可能。

引用元:厚生労働省 ゲーム依存症対策関係者会議「ゲーム障害について」(独)国立病院機構久里浜医療センター 依存症対策全国センター 樋口進

お子さんが小学生の場合、ゲームの時間をコントロールできないことが原因で朝起きられなくなることに始まり、学校に遅刻する、学校を休む、生活が昼夜逆転する、自分の部屋に引きこもる、などの問題が起きたら、要注意と言えるでしょう。

保護者にできることは「ゲームとうまく付き合える環境を整えること」

保護者にできることは「ゲームとうまく付き合える環境を整えること」

ゲームは、私たちの生活に深く入り込んでいます。
「ゲーム依存症になるのが怖い」とお子さんからゲーム機を取り上げたとしても、コソコソと隠れて遊ぶ、貸し借りをめぐって友だちとトラブルになるなど、逆効果になる可能性も。

保護者にできることは、子どもたちがゲームとうまく付き合える環境を整え、楽しい時間を過ごせるようにすることではないでしょうか。
そのためにはまず、子どもの思いや考えていることを理解するために、日ごろからコミュニケーションを取り、お子さんの話を聞いてあげることが大切です。

もしかしたら、保護者が知らないところで抱えている悩みやストレスを、ゲームで発散しているのかもしれません。
ゲームの好きなところやゲームをするとどんな気持ちになるのかなど、ゲームにのめり込む理由をていねいに聞きましょう。

また、ゲーム以外に楽しめることも探してみませんか。
たとえば、音楽を聴いてリラックスする時間を作る、ダンスや運動などで体を動かして汗をかくなど、ストレスの発散方法がいろいろあると、ゲームをする時間が自然と減る可能性もあります。

「自分のことは自分で」ゲームを通して自立を促しましょう

その一方で、「自分のことは自分で責任を持たせる」ということも大切です。
お子さんのやりたいことを保護者がすべて提供し、逆に、やりたくないこと、考えたくないことを保護者が先回りして手助けしてしまうと、それがクセになってしまいます。

朝起きられないから起こしてあげたり、宿題を代わりに考えてあげたりすると、それらが次第に保護者任せになり、自主的に行動できなくなってしまいます。

それが続くと保護者に責任転換するようになって、「嫌な気持ちになるのはお母さんのせい」「自分の人生がうまくいっていないのは親の責任」というような考えになってしまうこともあります。
「自分でやってみよう」「自分で考えてみよう」というスタンスを示し、突き放すのではなく、「そばで応援する」という姿勢で関わっていくと、自然に自立を促すことにつながるでしょう。

ゲームをする際のルールを作りましょう

ゲームをする際のルールを作りましょう

ゲームをいつでも自由にできる状況では、大人でもゲームで遊ぶ時間をコントロールするのが難しいときがありますよね。子どもならなおさらでしょう。
そのため、ゲームをする際のルールを作ることも方法のひとつです。

たとえば、次のようなルールを決めておきたいところです。

・1日の中で、いつどこでどれだけの時間、ゲームをするのか
・課金をしてもよいかどうか、する場合の回数や限度額
・ルールを守れなかったときはどうするのか 

そして、ルールを作る上で、大切にしていただきたいことが、2つあります。

1つは、ルールは保護者が押し付けるのではなく、「お子さんといっしょに考えて決める」ということです。

一方的に決められたルールには反発したくなりますが、どうすればよいかをいっしょに考え自分自身の気持ちもくんでくれたルールなら、「守ろう」という意識が芽生えます。

とはいえ、ルールを無視してゲームをやり続けたとき、厳しく叱ってけんかになったりする経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときは、「1日守れたら◯◯をあげる」「2ヵ月中10日守れなかったらその日から2週間ゲーム禁止」など、ご褒美やペナルティーをいっしょに決めるのもひとつの方法です。
親子のコミュニケーションが大事ですから、ゲームの管理に関しては、叱ったり褒めたりせず、ご褒美やペナルティーだけにすることで、前向きに取り組めることがあります。

そして、大切にしていただきたいことの2つめは「一度決めたルールを途中であやふやにしないこと」です。
あらかじめ「例外は認めない」というルールを付け加えておくと、わかりやすいでしょう。

依存が深まってくると、あの手この手でゲームをしようとするかもしれません。
もし、その手段に根負けして、「仕方がないな」と応じてしまうと、「このようにすれば、思いが通じる」と学習してしまい、ルールに意味がなくなる可能性も考えられます。

反対に、あらゆる手段にも強く反応せず、淡々とルールに沿って実行することで、次第に「うちではルールは守るべき」になっていくでしょう。

保護者の方だけで抱え込まない環境を整えることも大切

お子さんのことで何か不安なことがあると、保護者のかたは「私たちだけでなんとかしなくては」と抱え込んでしまいがちです。

特に、年齢が上がり高学年になっていくと、お子さんの世界が広がり、気持ちもだんだん親元から離れ、少しずつ家族の外に居場所を求めるようになります。
そして、次第に「居場所の中の人物」や「ちょっと先を行っている人」からの影響力が強くなり、保護者の言うことを聞かなくなる場合も。

このような時期には、保護者から伝えるよりも、保護者以外の大人や、信頼できる先生のような影響力のある第三者にお願いした方が素直に聞ける、ということもあるかもしれません。

お子さんによって、成長の速度はさまざま。保護者のかただけでなく、周りにいる人にも協力を仰ぎながら、お子さんへ大切なことを伝えられるといいですね。

心配の原因になっていたゲームが、自立の第一歩やルールを守るなど、これから先の人生にもつながる経験になるとしたら、今まで以上にゲームとうまく付き合えそうな気がしませんか?

<出典>
厚生労働省 ゲーム依存症対策関係者会議「ゲーム障害について」(独)国立病院機構久里浜医療センター 依存症対策全国センター 樋口進
https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000759309.pdf

この記事の監修・執筆者

一般財団法人ワンネスグループ 心理カウンセラー 片桐 淳(かたぎり あつし)

心理カウンセラー歴20年。 クライアント向けのカウンセリング、心理学講座、また一般の方向けにアディクションカウンセラー講座などを担当。
公認心理師。心理療法(臨床心理)だけでなく、他の心理学の分野、脳科学など様々な方面から依存症回復支援のための具体的な方法論を分かりやすく解説する指導が定評。

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