おうち時間の子どもの危険を回避! 最新事故対策を学ぼう【専門家アドバイス】

更新日: 公開日:

家庭内での子どもの事故は、「まさか」の時に起こります。

危険を知って対策・防止ができるよう、子どもの危険回避研究所の横矢真理先生にお話をうかがいました。

コロナ禍によりおうち時間が増えたことにより、今まで以上に気をつけたいポイントもご紹介します。

お話:横矢 真理

目次

事故の種類と子どもの特性

事故の種類には、

  • 窒息・誤飲
  • 転倒・転落
  • やけど・感電
  • 溺水(できすい)
  • 打撲・挟む・切る

などがあります。

中でも、「窒息・誤飲」「転倒・転落」「溺水」は、幼い子どもは命を落とすこともあり、特に注意が必要です。

事故を避けるには、子どもの体・心の特性を知ることが大切です。

子どもの特性

  • 乳児は手にとった物を口に入れて確かめる
  • 体に対して頭が大きく、転倒・転落しやすい
  • 視野が低く、見える範囲が狭い
  • 判断力が弱いため、危険な行動と知らずにとってしまう
  • 遊びに夢中になると危険を忘れてしまう
  • 大人の真似をしたがる
  • 好奇心から、よじ登る/走る/跳び下りる/小さな穴に指を突っ込む

このようなものが挙げられます。

そのため、大人は「このくらい平気」と考えず、できることから1つずつ、危険な要素を取り除いていくようにしましょう。

部屋別 事故の危険と対策~リビング編~

部屋ごとの絵から、事故が起こる危険性と対策を考えていきましょう。

絵で見る危険

  1. カーテンやブラインド、ロールカーテンのひもが首に引っかかる
  2. 引き出しによじ登って倒れた家具の下敷きに
  3. ソファを登り、出窓から転落
  4. コンセントに針金やピンをさし込んで感電
  5. タバコ・ライターでのやけど
  6. 小さい物・細かい物の誤飲、鼻や耳に詰めてしまう(タバコ、錠剤、ボタン電池、写真やプリントシールの破片など)
  7. 熱い飲み物をひっくり返す
  8. ハサミを触って指などを切る
  9. 床に散らばったビニール袋や雑誌を踏んで滑って転倒
  10. 机の角で顔や体を打撲や切り傷ができる
  11. テレビ台に登ってテレビを倒し下敷きになる、液晶のガラスが粉々になって手や顔などを切る

コロナ禍ではここにも注意!

  • 窓やドアの開け閉めが増えています。転落事故指挟みの危険性を考慮しましょう
  • 空気清浄器を使われるお宅が増えていますが、過去には空気清浄機につかまり立ちをした子が一緒に転倒したケースもあります。もし、倒れた先にとがった物があったら…?
  • オンライン会議がずいぶん浸透しましたね。置きっぱなしにしたイヤホンのパーツの誤飲(イヤーピースなど)に気をつけましょう

対策

窒息・誤飲

  • 直径3.9センチ以下のおもちゃを3歳未満の子どもに与えない
    ※特に、6~20ミリの大きさのおもちゃは、のどに詰まらせやすく窒息のおそれが。3歳以上でも口に入れないように注意を
    ※窒息しそうになったときの対処法を調べておきましょう
  • ラムネ菓子や飲み物と間違えるような錠剤、イヤホン、タバコの吸い殻を入れた缶、飲みかけのアルコール飲料を、子どもの手の届く所に置かない
    ※新型タバコは火を使いませんが、そのままゴミ箱に捨てると誤飲の危険性があるため、油断は禁物です。普段タバコを吸わなくても、来客時に気をつけて。
  • ブラインドは、ひもが付いていない製品か、規定以上の重さがかかるとひものつなぎ目部分が外れる等の安全対策が施された製品を選ぶ。もしくは、クリップなどで子どもの手が届かない位置でひもをまとめる

転倒・転落

  • ベランダや窓、大型家具の近くに踏み台になる物を置かない
  • 家具の角を保護する
  • 空気清浄機など、体重をかけると倒れる可能性がある家具は、触れない場所に置く
  • 窓は10センチだけ開け、補助鍵で動かせないようにロックするなどの工夫を
  • テレビなど倒れる危険性がある家電や家具は、粘着マットや転倒防止ベルト、ネジなどで固定する
    ※地震対策と合わせて考えるのが◎

やけど・感電

  • 使っていないコンセントにカバーをはめる
    ※かわいいデザインは子どもが気になって触ってしまうので、シンプルな物を選ぶ

打撲・挟む・切る

  • テレビや額など、ガラスが入っている物にはガラス飛散防止フィルムを貼る
  • 引き出しにロックをかけておく

など

【注意点】

家具の配置などにより、危険が積み重なって大事故につながる危険性が上がるので、さまざまな状況を想像して配置を考えましょう。

例えば、

  • 届かないはずの出窓に、ソファや机をよじ登ることで届いてしまう
  • テレビが倒れるだけでなく、液晶のガラスが割れて飛散してしまう
  • 滑って転んだ先にとがった物が落ちていたり、何かにぶつけたりする

など

部屋別 事故の危険と対策~キッチン編~

絵で見る危険

  1. 熱い鍋をひっくり返したりコンロに触れたりしてやけど
  2. 包丁に触れて切る
  3. 稼働中の食器洗浄機の蒸気に触れてやけど
  4. 戸に手を挟む、戸棚の中の危険な物(包丁や洗剤など)に触れて切ったり誤飲したりする
  5. ハイチェアから落下
  6. 椅子から机によじ登って窓から転落
  7. 炊飯器の蒸気でやけど
  8. テーブルクロスに引っかかる、引っ張って机の上の物が落下
  9. ケトルのコードを引っかける、蒸気でのやけど
  10. 冷蔵庫を開けてジュースと間違えてアルコール飲料を誤飲
  11. 食器棚のガラスを割って飛散

コロナ禍ではここにも注意!

  • 熱い蒸気が出るタイプの加湿器(スチーム式)は、蒸気でやけどのおそれが。子どもの皮膚は薄くて弱いので、大きなやけどにつながることがあります。設置は子どもの手の届きにくい場所に
  • ウォーターサーバーは触れると熱湯が出たり、もたれる・ぶつかるなどして倒れたりする危険性があるので、転倒防止の対策を

対策

窒息・誤飲

  • のどに詰まりやすい食品(こんにゃく、白玉、キャンディ形チーズ、ミニトマト、ぶどうなどの丸くて弾力がある物)は幼児には与えないか、4等分に切る
    ※100円ショップなどに、ミニトマトを4等分にカットできる製品もあります
  • のり(のどに張りつきやすい)や、パン(水分がなくパサパサしている物)にも注意
  • 凍らせたカップゼリーを与えない
  • タピオカジュースは、ストローで勢いよく入ってくる危険性が。幼いうちは避けて
  • 食事中に驚かせるようなことをしない
  • 遊びながらや寝転んだ状態で食べない
  • 口の中が空っぽになったことを確認してから、水やお茶を飲ませ、のどを潤す
  • 急かして食べさせない

やけど・感電

  • ベビーゲートを正しく設置して、自由に入れないようにする
  • 蒸気の出る物や触ると熱い物を子どもの手の届く所に置かない
  • テーブルクロスを使用しない(引っ張るとテーブルの上の物が倒れたり落ちたりする)
  • 熱くなる食器洗浄機を動かしている間は、子どもをキッチンに近づけない
  • ウォーターサーバーはチャイルドロックを活用。設置場所に子どもを近づけない

打撲・挟む・切る

  • 刃物を出しっぱなしにしない
  • 戸棚を開けられないようにロックをしておく
  • 食器棚のガラスにガラス飛散防止フィルムを貼る。ガラスを外せる場合は外しておく
    ※こうしておくと、大地震の際も安心です。家具の転倒防止も一緒に

など

【注意点】

可能な限り、安全性が認められている製品を使用するようにしましょう。例えば、チャイルドレジスタンスのライターや、キッズデザイン賞※を受賞している家電・カーテンのひもなどがあります。
※チャイルドレジスタンスは使えてしまう子もいるため、対応製品であっても放置は厳禁
※参考:キッズデザイン協議会 https://kidsdesignaward.jp/ https://kidsdesign.jp/

部屋別 事故の危険と対策~洗面所・お風呂編~

絵で見る危険

  1. ドラム型洗濯機に入り、扉を閉めて窒息。縦型洗濯機によじ登り溺水
  2. ドライヤーの熱でやけど
  3. 洗剤(ジェルボール型洗剤含む)やシャンプーの誤飲
  4. シャワーの湯が出てやけど
  5. 浴槽に落ちて溺水
  6. カミソリで切る
  7. ぬれた床で転倒
  8. 動き回りながら歯磨きをしてのどを突く

コロナ禍ではここにも注意!

  • 買い置きしていた詰め替えの洗剤や手指の消毒剤を低い場所に置いていたところ、子どもが開封! ジュースと間違えて飲む危険があります
    ※中毒症状について専門家から電話でアドバイスを受けられます
    →公益財団法人 日本中毒情報センター 中毒110番
    (大阪) 072-727-2499 365日 24時間対応
    (つくば)029-852-9999 365日 9~21時対応

対策

窒息・誤飲

  • ドラム型洗濯機を新たに購入する場合は、中から開けられる機能がついている物を選ぶ
  • 洗剤などを子どもの手の届く所に収納しない。低い位置に収納しなければならない場合は、扉にロックをかける

溺水

  • お風呂やトイレの扉は必ず閉め、子どもの手が届かない位置にロックを
  • お風呂に入る時以外は浴槽に溜め湯をしない
    ※防災のために溜めておきたい家庭も、子どもが小さいうちは避ける方がベター。溜め水は違う方法で
  • 浴槽は、硬くて丈夫な蓋でふさぐ
  • 洗濯機の蓋を閉める

やけど・感電

  • ドライヤー、ヘアアイロンなどを出しっぱなしにしない など

注意点

1つの対策を子どもが突破したとしても安全なように、何重にも対策することが大切です。
例えば、子どもはわずか10センチの水で溺れるリスクがあります。お風呂場にはチャイルドロックをかける、浴槽にため湯をしない、硬い蓋をするなど、常に「これを突破した場合の危険は?」を想定しながら対策をしましょう。

他の部屋で考えられる危険と対策

扉・階段

  • 扉のすき間に指を挟んだり、だっこしている子が手を伸ばして大人の後ろ側にある物に触れたりすることを考えて、急に扉が閉まって挟まらないよう、指挟み防止グッズ(100円ショップやDIYのお店で購入できます)を取り付ける。また、子どもの手の位置を確認してから動く
  • 階段、ベランダからの転落を防ぐために、ベビーゲートを正しく設置。階段には滑り止めを付け、スリッパは履かない

寝室

  • うつぶせ寝は窒息の危険があるため、させない。そして、あおむけに寝かせても、途中で寝返りをしてうつぶせ寝になってしまう場合に備えて、柔らかい寝具を使用しない。周囲にぬいぐるみなどを置かない。スタイをしたまま寝かさない。
  • 大人と一緒に寝ているベッドでは壁との隙間に挟まる危険性があるため、ベッドと壁に隙間を作らない
    ※大人用のベッドにベッドガードを使った場合も、ガードとマットの間に挟まれた事故があったので要注意

 どの部屋でも気を付けたいこと

  • 壁に引っ掛けたストラップ類は首が絞まる危険性が。ストラップ類は引っ掛けないか、短くまとめる
  • 洋服のひもに引っ掛かり首が絞まる、転倒するおそれがあるため、フードやひもがついた服はできるだけ着せない。着せる時は、ひもを抜くか、短く結ぶ
    ※帰宅時、マフラーやヘルメットなどをつけたままにしない。ひものついたミトンは使わない

コロナ禍ではここにも注意!

  • 子ども服を手作りしたり、ハンドメイドの服をネットで購入する方が増えているようです。ただ、フードやひも、ひらひらとしたリボンや裾は、ドアに引っかかって首が絞まるなどの危険が。そういった事故を避けるために、市販の子ども服には安全基準(JIS L4129)が採用されているものがあります。服選びにはそんな視点ももってみましょう。もちろんご自分で作る時もご注意を!
    ※政府広報オンラインの参考サイト https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201608/2.html
  • 消毒液は子どもには効果が強すぎる物も。それを頭において、「これは(この量は)大丈夫かな?」と考える習慣をもち、気をつけて使いましょう
  • シュレッダーのあるご家庭も多いでしょう。最近の製品は、入れ口のすき間が2.5ミリになっていますが、古い製品は開口部が広く、過去には子どもが指を入れて切断してしまった事故も…。タイプをチェックし、かつ、子どもの手が届かない位置に設置することが大切です

【注意点】

新しい物を家庭に取り入れる時には、必ずそのリスクを把握したうえで、どのように取り入れれば危険を回避できるかを考慮し、慎重に対策をとるようにしてください。
また、普段注意していても、来客や帰省時の訪問先でうっかり…ということがないよう気をつけられるとよいですね。

横矢先生からのメッセージ

事故を減らすために、たくさんの危険や対策を紹介しましたが、最初からすべてできなくて当然ですし、重荷に感じないでくださいね。

家族で相談して、少しずつ工夫して安全度を上げていきましょう。その際に気をつけたいのは、子どもに注意するだけでは事故は減らないということ。

安全度の高い製品を使用したり、家具の配置を変えたり、事故防止グッズを取り付けて、ハードとソフトの両面で事故対策を。

季節に合った情報を、消費者庁のメールマガジンで読むことも効果的です。お子さんを預かってもらう方にも、見ていただくといいですね。

また、今日できなかったことが明日できるようになるのが子どもです。半年くらい月齢が上のお子さんがいる方にお話を聞くと、危険が予測しやすくなりますよ。

みんなで子どもを守っていきましょう。

子どもの事故防止に参考になる、おすすめのサイトです。

正しい情報をゲットして、子どもの安全度を高めましょう!

この記事の監修・執筆者

子どもの危険回避研究所 所長 横矢 真理

よこや まり/1999年より、「親子で生きる力を養う」ためのサイト「子どもの危険回避研究所」(http://www.kiken-kaihi.org/)を主宰・運営し、子どもに関わる事故・犯罪・災害・虐待・環境問題などの情報を提供。全国各地での講演活動、新聞・雑誌への寄稿など、幅広いフィールドで「生活安全教育」の普及活動を続けている。
東京大学生産技術研究所研究員/消費者庁「消費者安全調査委員会」臨時委員/元東京都港区教育委員会委員

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