「シール交換」で仲間外れや高額転売も!? 令和のブームに潜むリスクに保護者が気をつけたいこと

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今、子どもたちの間で大流行の「シール集め」や「シール交換」。しかし、ブームが過熱して、トラブルになっているケースもあります。「子どもの発達」が専門の加藤孝士先生に保護者が気をつけたいことをうかがいました。

こそだてまっぷ編集部

目次

物を集める行動は自己実現の一つ

文具店やおもちゃ売り場などでシールを買い集め、シール帳に貼り、友だち同士で見せ合ったり交換したり……そんな遊びが子どもたちの間で流行っています。最近は、ぷっくりと立体感のある、お菓子のドロップのような見た目のシールが大ヒット中。大人も巻き込んだブームになっています。

大人でも、シールに限らず何か特定の物を夢中になってコレクションする経験をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか。好きな物を収集するのは「自己表現」「自分らしく生きる」「理想の自分を目指して成長する」という行動(自己実現)につながるもので、子どもにもよく見られる現象です。シール集め自体は、子どもにとって価値のある経験であり、問題行動ではありません。

シール集めにも学びがある

保護者が与えたおこづかいをやりくりして、1シート数百円程度のシールを買い集めるなら、金銭感覚を身につけられる学びにもなります。また、おこづかいだけでは、欲しい物すべてを入手できるわけではないため、欲しい気持ちを自制する「がまんする力」も育ちます。

友だちとのシール交換で社会性も身につく

友だちとのシール交換は、次に紹介するように、子どもの社会性やコミュニケーション能力の向上にも役立ちます。

1 相手の気持ちを対面で学ぶ

対面で物を交換するので、相手がどんな表情をしているかなどをリアルに感じられます。「相手が持っているあのシールを欲しいけれど、自分が持っているこのシールと交換してもらえるかな」などと、相手の反応を見ながら、相手の気持ちを考えて伝え、行動する学びになります。物を介して、リアルな「やり取りする力」を養えるのは貴重な体験です。

2 友だちと共感する体験ができる

シール交換がうまくいけば、自分もうれしくなり、相手も喜びます。このように、同じ体験をして共に喜び合う「共感力」も子どもが成長する過程で身につけておきたい大事な力です。

3 友だちづくりのきっかけに

自分から声をかけて友だちと親しくなるのが苦手な子どもにとって、シールが仲良くなれるきっかけになる場合もあります。親しくなりたいと思う友だちに「シール帳、見せて」などと話しかければ、会話の糸口として役立つこともあるはずです。

トラブルになることもあるので、注意!

「シール集め」や「シール交換」は、子どもの学びにつながるメリットもある一方、トラブルになることもあります。保護者が気をつけておきたいポイントをご紹介します。

1 人気アイテムは品薄。高額転売も

シールブームが過熱する中、アイテムによっては品薄状態となり、特定のキャラクター物などが入手困難となっています。そのため、フリマサイトなどで高額で出品されている事例もあります。シールに金銭的な付加価値が付いてくると、シール交換も子どもの遊びとして見過ごせない場合がありますので注意しましょう。たとえば、高値で購入する家庭も出てきて、レア物を持っている子どもと、そうでない子どもとの関係性への影響が生じるおそれもあります。

2 子ども同士の関係性が反映される

子ども同士が対等な関係で「そのシールかわいいね。これと交換しない?」と言っている分には、心配はありません。しかし、シール交換には子ども同士の関係性やそれぞれのお子さんの性格が反映されることがあります。たとえば、本当はシールを渡したくないのに、嫌だと言えずに交換を強要されてしまったり、交換に応じなかったために仲間外れにされてしまったりするようなケースです。

また、レアなシールを持っている子が人気者になったり、反対にレア物を持っていることで「あの子は、自慢している」などと誹謗中傷のターゲットになったりすることもあります。

このような状態が継続的に繰り返されると、お子さんが人と関わることに前向きになれなくなってしまう心配があります。

3 シール集めに関心のない子もいる

シールがブームとはいえ、興味がないお子さんもいます。学校では、シール交換に参加しない子どもが、会話に参加できずに仲間外れになってしま場合もあります。トラブル回避のため、学校によっては一定のルールを設けたり、校内でのシール交換を禁止したりするところも出てきました。学校のルールがある場合は守るようにしましょう。

もし、子どもが「Aさんは、シールを集めてないから、友だちになれない」などと悩んでいたら、「じゃあ、Aさんは何をするのが好きなのかな? Aさんに聞いてみたら?」などとアドバイスしてみましょう。別の形でコミュニケーションを取ろうとする意欲につながります。子どもには「人によって多様な価値観がある」ということも伝えておきたいものです。

4 連れ去り犯罪など不審者対策も忘れずに!

子どもたちの間で、シール熱がヒートアップすると、公園などで不審者が「レアなシールをあげるよ」などとだまして、付いてくるように仕向ける手口も懸念されます。「知らない人とシール交換をしてはいけない」というルールを徹底して守らせるようにしましょう。また、公園やショッピングモールなどで子ども同士がシール交換をしていると、よからぬ企みを持つ大人に狙われる危険があるため、要注意です。

子どものシール交換に保護者はどう介入する?

プレミアの付いた高額なシールやレア物が登場してきている今、子ども同士はそれほど感じていなくても、大人から見ると「AのシールとBのシールを交換するなんて、レートが釣り合わない」などと不満に感じることもあるかもしれません。そのような場合、保護者同士で不信感を抱き合うきっかけとなり、ときには何らかのトラブルにエスカレートしがちです。程度にもよりますが、子ども自身が嫌な思いをしていなければ、保護者がむやみに口出しをしないように心がけましょう。特に、相手の保護者にクレームを入れるような行動には注意が必要です。

もし、気になるようなことがあったら、相手にクレームと伝わるような言い方は避け、保護者同士が交流するきっかけとしてシフトチェンジしてみるのも一つの方法です。

たとえば、相手の保護者に対して次のような言い方で、コミュニケーションを深めてはいかがでしょう。

「今度、プレミア物が発売されるとき、子どもたちを連れていっしょに買いにいきましょうか?」

シール売り場に集まる親子連れを見てもわかるように、令和のシールブームは、子どもだけでなく保護者も巻き込んだ現象と言えるでしょう。しかしながら、子ども同士の遊びに保護者が過度に介入するのは得策ではありません。保護者同士の交流を深める機会として利用してみるのもよいかもしれませんね。

シール帳を見ながら、楽しく会話を

シール集めやシール交換が節度を越えない限りは、保護者は、子どもを見守りましょう。日常的に親子でシール帳を見て、子どもがどんな交換をしているかを知っておくことがトラブル予防になります

たとえば、次のようなやりとりを楽しくできると理想的。

保護者:「これ、かわいいね! このシールは、だれにもらったの?」

子ども:「Aさんにもらった」

保護者:「Aさんって、どんな子だったっけ?」

子ども:「Aさんっていうのはね……」

このような会話を交わしていくうちに、子どもの交友関係や学校での生活ぶりをさりげなく把握することができます。また、子どもが、シール集めに夢中になり過ぎてないかなども確認できます。

子どもの気持ちに寄り添うことが大切

シール帳を見ながら、お子さんの思いに寄り添う時間も大切です。

たとえば、欲しかったシールを友だちからもらうことができたときのうれしさや、交換してもらえなかったときの残念な気持ちなどを語る子どもの話にじっくりと耳を傾け、「そうだったんだね」などと共感してあげましょう。シール交換を通して、お子さんがどんな気持ちだったのかなど親子で“気持ちの情報交換”ができるとよいですね。

保護者のみなさんの中にも、子どものころにシール交換をして遊んだ経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。親子で同じ物を見て、「これ、かわいいね!」などと共感し合うのは、良い親子関係を築くためにも重要です。大人も巻き込んだ、今、大盛況のシールブーム。ぜひ、お子さんと同じ目線に立ち、友だちとお気に入りを交換したときのわくわく感を、保護者の方もいっしょになって楽しんでみてはいかがでしょう。

この記事の監修・執筆者

長野県立大学 健康発達学部 教授 加藤孝士

専門は、発達心理学、教育心理学、子ども学。子どもや子どもの支援に関わる人物が健康的に生活するための支援方法などを研究。

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