秋になると、公園や山に落ちているどんぐり。
遊びに行ったときに、お子さんといっしょにどんぐり拾いをされる方も多いのではないでしょうか。
大きかったり、帽子をかぶっていたりするどんぐりを見つけるのはとても楽しいですよね。
でも、たくさん拾ったそのどんぐり、いつもどうしていますか。
文/マムズラボ
どんぐりを預けられる銀行がある!
「どんぐりさんは公園に置いて帰ろうね」と拾った場所に置いてくる場合もあるでしょうが、子どもに「持って帰る」と言われることも。
置いてきたつもりがポケットの中から出てきてほっこりすることもありますよね。
そんなどんぐりを預けられる銀行があるんです。
しかも、その預けたどんぐりが、山や緑を守る活動に使われているそう。
おもしろい取り組みですよね。
拾ったどんぐりは「どんぐり銀行」に預けてみませんか。
「どんぐり銀行」って何?
「どんぐり銀行」というのは、高知県大川村にある「大川村ふるさとむら公社」の活動のひとつで、拾ったどんぐりを預けられる銀行です。
どんぐり銀行では、預かったどんぐりから苗木を育てていて、未来の森づくりに一役買っています。
銀行と同じような仕組みで、預けたどんぐりを「苗木」として払い戻すことも可能です。
大川村は四国のほぼ真ん中に位置し、「四国の水がめ」といわれる早明浦ダムがあります。
どんぐり銀行の本店は大川村にありますが、郵送でも受けつけており、大事に育ててくれます。
「クヌギ」の苗木を払い戻すことも可能
どんぐり銀行では、本当の銀行のように「払い戻し」もできます。
「払い戻し」でもらえるのは、クヌギの苗木。
希望すれば自宅に送ってもらえるだけではなく、大川村の山に「代理植樹」をして植えてもらうこともできます。
どんなどんぐりを預けたらいいの?
どんぐり銀行に預けられるのは、新鮮などんぐりに限られます。
どんぐりの大きさや種類は関係ありませんが、虫に食べられた跡があったり、割れたりしているどんぐりは預けられません。
どんぐりの選び方と預け方
どんぐりは、自然に落ちた新鮮なものを選んでください。
どんぐりを水に入れて、沈んだどんぐりだけが預けられます。
水に浮いたどんぐりは、中に虫が入っている可能性があるので、注意しましょう。
水で洗って太陽でしっかり乾かしたどんぐりを紙箱や紙袋に入れ、大川村の「どんぐり銀行本店」まで送ってください。
どんぐりの送り先住所
【どんぐり銀行本店】
(社)大川村ふるさとむら公社
〒781-3704 高知県土佐郡大川村朝谷26
※送料はご負担ください
「どんぐり銀行」から送ってもらえる本格派通帳!
どんぐり銀行では、本物の通帳によく似た「どんぐり通帳」を作ることができます。
どんぐりを送るときに、「預けたいどんぐりの総数、名前、住所、電話番号を書いたメモ」をいっしょに送ってください。後日、ご記入された住所まで本格的な通帳が送られてきますよ。
大川村本店に直接郵送の場合を除き、通帳は初回発行時に手数料100円が必要です。
どんぐり1個を預けると「1D(ドングリ)」が記帳されます。楽しみですね。
荒れた森の再生がきっかけ!どんぐり銀行は「水源地を守る」活動のひとつ
どんぐり銀行は、1994(平成6)年に村の早明浦ダムが干上がったことがきっかけで始まりました。
このときは、ダムの貯水率が0%になるという事態に。
スギやヒノキなどの針葉樹ばかりが植えられた山は、木の根が浅いため保水力が弱く、十分な水を蓄えられなくなったことが原因のひとつだったそうです。
土砂崩れが発生する年もあった、植えっぱなしで荒れた山を再生しようと、「水源地を守る活動」のひとつとして大川村に「どんぐり銀行」が開設されました。
森が荒れるとどんな影響があるの?
先に述べたように、森が荒れると、水を貯めることが難しくなります。
林野庁ホームページの「水を育む森林のはなし」によると、森林の働きには以下のようなものがあります。
森林の水源かん養機能は、水資源の貯留、洪水の緩和、水質の浄化といった機能からなり、雨水の川への流出量を平準化したり、あるいは、おいしい水を作り出すといった森林の働きです。
引用元:林野庁ホームページ「 水を育む森林のはなし」https://www.rinya.maff.go.jp/j/suigen/suigen/con_1.html
「かん養」とは、水が自然にしみこむようにゆっくりと養い育てることで、「森林の水源かん養機能」とは、森林が水を蓄えて水源を守る働きのことです。
このように、森が荒れると水不足や土砂崩れ、洪水などの影響があらわれるため、山を整備する必要があるのです。
どんぐり銀行で植樹される「クヌギ」とは?
どんぐりは、「クヌギ」「コナラ」「シラカシ」などの木の実のことをいいます。
これらのどんぐりの木は、根をしっかり張って山を強くする広葉樹の一種です。
どんぐり銀行では、大川村で毎年行われている植樹祭で「クヌギ」を植林しています。
預けたどんぐりが豊かな森を作る
1個預けたどんぐりは「1D(どんぐり)」。
苗木は1本「100D(どんぐり)」で引き出せます。
どんぐり100個で苗木と交換できることになりますね。
20年以上をかけて植林をした結果、ここ10年ほどは土砂崩れや渇水が起きておらず、早明浦ダムの水位量が安定しています。
たとえ1本の苗木でも、豊かな森を作るひとつの要素になると考えると、どんぐりを拾うのも楽しくなりませんか。
持って帰ったどんぐりの中に預けられるどんぐりがあれば、お子さんとお話をして大川村に送ってみてはいかがでしょうか。
どんぐりが未来の自然環境を守るきっかけになる
毎年少しずつどんぐりを貯め、数年かかけて100D(どんぐり)を苗木と交換する。
どんぐり銀行の取り組みは、お子さんも参加しやすい緑化運動で、そんな経験は、お子さんといっしょに自然環境を考えるよいきっかけになります。
お子さんが小さい場合、あまり理解できず、ただどんぐりを集めることだけを楽しむかもしれません。
それでも、「このどんぐりが山に森を作るんだよ」「このどんぐりが作った山は、豊かな自然を生み出して水を蓄えるんだよ」とお話ししてあげましょう。
少しでも興味を持ったなら、お子さんが自然環境を考える絶好のチャンスです。
インターネットや図書館などでいっしょに調べてみましょう。
公園で拾ったどんぐりが、未来の自然環境を守るきっかけになるかもしれません。
<参考>
一般社団法人 大川村ふるさとむら公社 「でぃぐ!大川村」
https://okawafk.or.jp/space/1761/
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