子どもたちに人気の昆虫のひとつ、カブトムシ。この夏休みにはカブトムシを捕まえて、飼育してみてはいかがでしょうか? 夏休みの自由研究のテーマにもなり、昆虫の生態を学ぶきっかけにもなります。
本記事では、カブトムシを飼育する方法やそのために必要な道具、カブトムシの観察ポイントなどを詳しく解説していきます。
文/マムズラボ
カブトムシを飼育してみよう
カブトムシは「昆虫の王様」とも呼ばれており、子どもたちから人気の昆虫です。飼育も比較的手がかからないので、昆虫飼育の経験がなくても飼いやすいでしょう。
カブトムシはどこで手に入る?
最近では自然に生息するカブトムシを見かけることも少なくなってしまいましたが、デパートや大型スーパー、ペットショップ、夏祭りなどでは販売しているところがあり、手に入れることができます。
お店などで購入するのもひとつの方法ですが、公園や里山の雑木林や河川敷などに行き、子どもといっしょにカブトムシを探すのもオススメです。特にクヌギ・コナラ・ミズナラ・クリの木の樹液が出ている部分や、木の根元部分の枯れ葉や腐葉土が豊富にあるところに隠れていることが多いため、探してみましょう。枝の間の葉が茂っているところや、草むらの中など暗くて涼しい場所にもひそんでいることがあります(※1)。
カブトムシは多くが夜行性のため、日中は見つけづらいことがあります。対象の木の根元を掘り返すか、夕方から夜にかけて、対象の木にバナナや蜂蜜でトラップを作っておき、早朝に捕まえに行くというのも方法のひとつです。ただしシマトネリコに集うカブトムシは昼間も活動することがあるので、樹の種類によって、捕まえる方法を検討するとよさそうです(※2)。
カブトムシの飼育に必要なものは?
カブトムシは、飼育が比較的簡単な昆虫です。100円ショップで手に入るグッズでも飼育することができます。
飼育ケース
2匹程度飼うことを想定して、30cm以上の飼育ケースを購入しましょう。オス・メスは分けて飼育したほうが長生きする可能性があるため、飼育ケースは2つ用意するのがオススメです(※3)。
マット(土)・木の枝
カブトムシを飼育するうえで重要なマット(土)。こちらも100円ショップで購入可能です。カブトムシの餌を入れるためのくぼみがある「餌台」と「餌(昆虫ゼリー)」なども100円ショップで販売されています。餌台は餌を置くだけでなく、転倒したカブトムシが起き上がるサポートにもなります。木の枝なども転倒防止になるので、できれば置いてあげましょう。
カブトムシの飼育中に毎日必要なことは?
カブトムシ飼育で最も重要なことは、安易に野菜やくだものをあげないことです。梨やスイカなど果汁の多い野菜やくだものは土が汚れやすく不衛生なうえ、カブトムシが体調を崩す原因にもなります(※4)。
餌は市販のゼリーを与え、量が減ってきたり、古くなってきたりした場合に新しいものに交換するようにしましょう。翌朝になると完食していることもあるため、1日1回程度は餌の状況を確認してあげてください。
また、飼育環境によっては小バエが出たり、不快な臭いがしたりすることがあります。その場合は昆虫マット(土)を入れ替え、飼育ケース内を掃除しましょう。カブトムシは乾燥に弱いため、マットが乾いてきたら霧吹きスプレーで土を湿らせてくださいね。
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カブトムシを観察してみよう
カブトムシを観察するときには、どのような点に気をつけて見ていくとよいのでしょうか? 自由研究にも役立つ観察ポイントをご紹介します。
1.オスとメスの違いを観察する
カブトムシのオスにはツノがあり、メスにはツノがありません。ツノはオス同士がメスをめぐって戦うためや餌の確保などの際に使用する武器の役割があるといわれています(※5)。もしオスを2匹飼うのであれば、戦う姿を観察するのも面白いでしょう。
オスが2匹いるのに戦わない場合は、片方のオスの体の大きさや、角の長さなどに違いがあり、最初から負けるリスクを負わないようにしているケースもあります。このような性質やそれぞれの個性の違いをじっくり見ると、新たな気づきが得られることもあるかもしれません。
そのほか、羽の数など見た目の観察も忘れてはいけません。実はカブトムシの羽の数は2枚ではないことや(※6)、餌の食べ方なども観察のポイントです。
2.夜の行動を観察する
カブトムシは日中は土に潜っておりほとんど姿を現さないことがあります。ただし夜行性のため、夜になると土の外に出て活動を始めます。飼育ケースの中で、羽を広げて飛んだり、木をかじったりなど、活発に動いているカブトムシを見ることができます。
ただし力が強いので、ケースに蓋をしていても、こじ開けて脱走することもあります。観察が終わったら蓋を閉めるだけでなく、ちょっとした重石などを載せておくほうが安心です。
また夜中の活動音が気になる可能性があるため、寝室からは離れた場所に飼育ケースを置いておくのがオススメです。
3.日中の様子を観察する
日中はじっとしていることや、隠れていることが多いカブトムシですが、気温が高すぎる場合や日中でも活動音が聞こえる場合は、カブトムシの飼育環境がよくない可能性があります。下記のようなことが原因で住み心地がよくない可能性も考えられます。できるだけ長生きさせるためにも、住みやすい環境をつくってあげましょう。
【主なチェックポイント】
・直射日光があたっている
・土が乾いている
・餌が足りていない
・ケースとカブトムシのサイズが合っていない(1匹でも狭い・数匹飼っていて狭いなど)
・カブトムシ同士で喧嘩して興奮している
カブトムシの産卵にもチャレンジしてみよう!
オスとメスがいる場合、カブトムシを結婚させてみましょう。うまくペアリングでき交尾を終えられるとメスが産卵することがあります。卵から育て、幼虫からカブトムシになるまでの一生を観察できるかもしれません。
カブトムシのペアリングに挑戦
カブトムシの交尾において重要なのが、個体が成熟していることです。屋外で捕まえたり、お店で購入したりしたカブトムシはすでに成熟しているため、タイミングが合えばペアリングにチャレンジすることができます。
カブトムシは8月ごろになると産卵期に入ります。この時期に成熟したオスとメスを同じ飼育ケースで飼うと交尾をし、産卵が確認できたらペアリング成功です。
なお幼虫から育てたカブトムシの場合、羽化したのち、餌を食べ始めて2週間ほど経てば成熟しているといえます。ペアリングを行うときの目安にしてくださいね。
ペアリング成功後は成虫と卵を分けよう
交尾が終わって1〜2週間すると、メスは土の中に30個以上の卵を産みます。土の中に白い米粒のようなものがあれば産卵の成功です。卵を見つけることはそれほど難しくないため、もし卵を見つけたら成虫は別のケースに移してあげましょう。
なお産卵後はメスにストレスがかかり弱ってしまうこともあるため、卵が確認できたら、メスを別の飼育ケースに移すとよいでしょう。産卵したほうのケースは、そのままでも問題ありません。
産卵後、約2週間〜2か月すると幼虫が生まれます。栄養たっぷりの新しい昆虫マットに、古いものを少し混ぜた飼育ケースに移します。このとき、直射日光があたらず、湿度が保たれやすい場所に飼育ケースを置くようにしてください。
そのうちに、飼育ケースには大きな芋虫のような姿の幼虫が見られるようになります。さらに蛹(サナギ)となり、やがて成虫のカブトムシの姿で土の上に出てくるところを観察することができます。
カブトムシの飼育を通して、夏の経験を増やそう!
カブトムシを捕まえたり飼育したりすることは、夏にしかできない体験です。カブトムシとの触れ合いを通じた経験は、きっと子どもにとって思い出となるはず。ぜひ挑戦してみてくださいね。
【引用】
(※1)あきた森づくり活動サポートセンター「森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター 総合情報サイト」
http://www.forest-akita.jp/data/konchu/24-kabuto/kabuto.html
(※2)山口大学「外来植物がカブトムシの活動リズムを変化させる」
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/library/user_data/upload/Image/news/2021/21041604.pdf
(※3)産経新聞「オスはメスのタンパク源! 『交尾後は即別居」 正しいカブトムシとクワガタの飼い方」
https://www.sankei.com/article/20170815-JWNDN2F4BFKYDD464KZ7QXPG7Y/2/
(※4)国立国会図書館 レファレンス協同データベース「レファレンス事例詳細(Detail of reference example)」https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000196855
(※5)東京大学「カブトムシなどの昆虫の武器の大きさが環境に応じて変化するしくみ」
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20161212topics.pdf
(※6)NHK for School「カブトムシのからだのつくり」
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005400087_00000
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