夏はホタルを観察しよう! 光るしくみや観賞時期を親子で学ぶ

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夏はホタルを観察しよう! 光るしくみや観賞時期を親子で学ぶ

夏にしか現れない、光る昆虫「ホタル」。たくさんのホタルが光を放って飛び交う様子は幻想的なものです。

都会では自然のホタルを観察することは難しくなっていますが、夏休みのお出かけ先などで見ることができるかもしれません。ホタルの生態や種類、光を放つしくみなどを知っておくと、観察がより楽しくなります。お子さんとともに、ホタルについて学んでみませんか。

文/こそだてまっぷ 編集部

目次

光るホタルは少数派?

ホタルってどんな生き物?

ホタルといえば、「蛍の光、窓の雪」で、苦労して勉強したという中国の故事があります。日本の随筆『枕草子』の「夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ。蛍の多く飛びちがひたる」の一節でもわかるように、ホタルは古くから私たちにとって身近な生き物でした。初夏から夏のさかりにかけて、夜に小さな虫が光を放つさまは、けなげにも不思議にも感じられたかもしれません。

生物学的にいうと、ホタルとは「昆虫の仲間のうち、カブトムシなどと同じ甲虫のグループにふくまれるホタル科の生物」ということになります。

現在知られているホタルは、世界に約2000種、日本に約50種がいます。川や水田などにすむ水生のホタルは世界でもわずか10種ほどで、そのうち3種が日本にいます。日本各地で見られる「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」、南西諸島の久米島にすむ「クメジマボタル」がその3種です。
日本で広く親しまれているホタルは、ゲンジボタルとヘイケボタルで、その名前は、平安時代末期に争った武士の集団、源氏と平家(平氏)から来ているとされます。日本に生息しているこれらのホタルは水生ホタルです。

意外かもしれませんが、陸生ホタルのほとんどは光を放ちません。ホタルの中でも光るホタルは少数派なのです。

葉の上で光るゲンジボタル
葉の上で光るゲンジボタル

ホタルの一生

昆虫は卵から幼虫がかえり、何回か脱皮をくり返して成長します。幼虫からさなぎを経て成虫になるものを完全変態、さなぎの時期がなく、幼虫からすぐに成虫になるものを不完全変態といいます。ホタルはさなぎの時期がある完全変態の昆虫です。

ゲンジボタルのメスは、夏に水辺に近い岩や木の根元などに産卵します。1か月もすると卵から幼虫が顔を出し、卵の殻から出ると川などに飛び込みます。幼虫はずっと水の中で暮らします。

幼虫は主に「カワニナ」という貝を食べて成長し、6回脱皮します。4、5回脱皮したころに冬をむかえ、そのまま越冬します。4月ごろになると最後の脱皮をして、雨が降る日を選んで陸に上がります。上陸した幼虫は土の中にもぐって土のまゆをつくり、その中でさなぎに変身します。さなぎのままじっとして過ごし、6月ごろにいよいよ羽化して成虫になります。

ゲンジボタルの成虫は何も食べず、水だけを飲みます。成虫が生きていられるのはせいぜい1週間ほどです。その間にオスとメスが出会うのです。ヘイケボタルもほぼ同じ一生を過ごしますが、幼虫の脱皮の回数や発生する時期は異なります。

水中にすむホタルの幼虫
水中にすむホタルの幼虫

ホタルの光には不思議がいっぱい!

光るしくみ

ゲンジボタルやヘイケボタルの最大の特徴は、なんといっても光ることです。人間は、電球や蛍光灯などの明かりをつくり出しましたが、光のエネルギーとともに熱のエネルギーも放出してしまい、その分はむだになっています。これに対し、ホタルの発光は腹の先にある発光器の中で化学物質が反応することによって起こり、その光は熱を出しません。
あの小さな虫が、人間がつくる照明器具とは比べものにならないほど効率よくエネルギーを光に変えているかと思うと、自然のたくみさに舌を巻いてしまいますよね。

ホタルが光るわけは?

ゲンジボタルもヘイケボタルも、オス・メスともに光り、この光を合図としてパートナー探しをしています。
ゲンジボタルは、オスが集団で光を点滅させながら飛び、メスを見つけるとその近くに降り、光を出しながら近づきます。オスに気づいたメスは、オスをさそうかのように強い光を放ちます。

ヘイケボタルは、暗くなると次々にオスが飛び立ち、光を出しながら飛び回ります。メスはじっとしたまま光を放ちます。オスがメスの近くに降りて強く発光し、メスがそれに同調して光を点滅させると承諾のしるし。めでたく結婚にいたります。ホタルの光は、コミュニケーションのための言葉のような役割をしているのです。

光るホタルを見られる時期は地域や年によって差がありますが、おおよそ5~10月といってよいでしょう。

ヘイケボタルの交尾
ヘイケボタルの交尾

光り方に“方言”がある!?

ホタルの光に関する研究によると、同じゲンジボタルでも、東日本と西日本とでは光り方がちがうそうです。東日本のゲンジボタルは4秒に1回、西日本のゲンジボタルは2秒おきに光ります。いわば、ホタルの光の方言です。

おもしろいことに、ゲンジボタルもヘイケボタルも、成虫ばかりか卵、幼虫、さなぎも光ります。パートナーを探す必要のない卵などが光る理由はよくわかっていませんが、光ることによって『自分は食べてもおいしくないよ』とアピールしているのだとする説もあります。

ホタルを観察しよう

ホタルが見られるのはどこ?

かつては水田や小川などでよく見られたホタルですが、土地の開発や水路のコンクリート化などによって、急激に数が少なくなってしまいました。
ゲンジボタルは流れのある水辺にすみ、川や用水路などで観察できます。東日本では小さい川に多く、西日本では比較的大きな川で見られます。
一方のヘイケボタルは、流れがゆるやかな水辺や流れのない水辺を好み、水田や用水路、湿地などで観察できます。


また、各地でホタルの保護のために水場のある公園やビオトープ(生物が自然に近い状態でくらせる場所)がつくられているので、都市部でもホタルが見られる場所があるかもしれません。博物館や保護団体などが、ホタルを観察できるように幼虫や飼育容器を貸し出す「ホタルの里親」制度を行っていることもあるので、調べて参加してみるのもよいでしょう。

観察の方法は?

自然のホタルが観察できる場所は水に落ちたり野生動物に出会ったりする危険もあるので、明るいうちに場所のようすをチェックしておくとよいでしょう。また、念のため水に入ってもよいように、長靴などを用意しておくと安心です。

もう少し手軽に観察するなら、保護団体などが主催する観察会に参加することがオススメです。その際は指導者の指示に従ってください。懐中電灯や携帯電話の光で照らしたり、カメラのフラッシュをたいたりしてはいけません。また、水田や畑、あぜ道に入らない、ホタルをはじめ、動物を採取したり、植物を傷つけたりしない、大声を出すなど迷惑になる言動はつつしむ、といったことにも気をつけましょう。

下のようなホタルの写真は、特殊な方法で撮影しています。実際のホタルは、無数の明るい光跡としては見えません。ついライトを当てて明るくしたくなるかもしれませんが、マナーを守って自然本来の姿を楽しみたいものです。
ホタルについて親子で学び、話題にしてみてはいかがでしょうか。

光りながら飛ぶホタル(長時間露光で撮影)
光りながら飛ぶホタル(長時間露光で撮影)

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