この4月から自転車の交通違反に対する制度が変わります。ですが、そもそも自転車の交通安全の規則をきちんと理解している人はどれだけいらっしゃるでしょうか。入学、進級を控えた小学生やその保護者の方が自転車の交通ルールを正しく理解し、事故を防ぐためのポイントを日本自動車連盟(JAF)交通環境部の廣瀬 翔さんに伺いました。
取材・文/FUTAKO企画
小学生の自転車事故・違反の原因は
4月~6月は子どもの交通事故が増える時期です。小学生低学年では歩行中の事故が多いものの、学年が上がるほど自転車乗用中の事故の比率が高くなり、小学5、6年生では全体の5割以上となっています(内閣府「令和7年交通安全白書」より)。
また、2026年4月1日より改正道路交通法が施行され、下記のような自転車の交通違反に対して、いわゆる「青切符」が導入されます。

青切符とは、比較的軽微な交通違反をした際に交付される「交通反則告知書」のこと。書類の色が青いことから「青切符」と呼ばれているものです。今回の改正により、反則内容によって3,000円~1万2,000円程度の反則金を納付することが求められます。
自転車の青切符は16歳以上が対象となるので、「なんだ、子どもは対象外か」と安心する方もいるかもしれません。しかし、免許が不要で誰でも乗れる自転車だけに、きちんとルールを教わった経験がない保護者の方も多いのではないでしょうか。知らずにルール違反をしてしまう可能性もあります。自転車の交通ルールへの注目が高まるこの機会に、ぜひ親子で安全な自転車の乗り方を確認していただけたらと思います。
小学生の自転車事故では「安全不確認」を要因とする事故が多くなっています。「安全不確認」とは、「一時停止や徐行をしていても見落とし等があって接触につながってしまった」という状態を指します。
例えば、「交差点で一度止まって、左を見て発進した際に右側を見ておらずに相手とぶつかった」等が子どもの安全不確認の例として挙げられます。まずはお子さんが交通ルールをきちんと理解しているか、ハンドルやブレーキの操作など安全に運転できる状況かどうかを確認してみましょう。
子どもの自転車の安全で気をつけたいこと
まずは「自転車を乗りこなすことができるか」
自転車での安全を考える際にお伝えしたいのは、交通ルールの理解以前に「子どもが安全に操作できるかどうか確認する」というのが大前提だということです。自転車で公道を走る前に、ちゃんとこげるか、ちゃんとブレーキをかけて止まれるか、そして危ないところがどこかをちゃんと理解しているかどうかをチェックしましょう。そして「この子は大丈夫だ」と保護者の方が確認したうえで公道に出るというステップを踏んでもらうことが、何よりも大切です。
特に一番大事なことは、ブレーキをかけて「自分の思っているところで自転車を止める」という、乗り物を操ることが問題なくできているかどうか。それが怪しい場合、公道で走るのは非常に危険です。
また、自転車がその子の体格に合っているか、大人の目で確かめることも大事です。 ついこの前まで補助輪をつけて走っていた場合、補助輪を外すことで操作性も大きく変わってきますし、新しい自転車に乗り換えた場合は、サドルの高さが適正か、ハンドルがしっかり握れているかなど、子どもの体格に合っているかどうかの確認も必要です。手が小さい子だと、大きい自転車ではうまくブレーキをかけられないことがあります。操作する上で最低限の部分なので、まずここを押さえていただきたいと思います。
自転車の代表的な5つのルール
ここで、自転車を運転する際の基本的なルールを確認しておきましょう。
【自転車安全利用五則】(2022年11月 中央交通安全対策会議交通対策本部決定)
1 車道が原則、左側を通行/歩道は例外、歩行者を優先
2 交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
3 夜間はライトを点灯
4 飲酒運転は禁止
5 ヘルメットを着用
1の車道走行について、自転車は道路交通法上「車両」と位置づけられているため、車道の左側を走るのが原則です。ただし、13歳未満では、例外的に歩道の通行が認められています。とはいえ、あくまで歩道は「歩行者優先」。お子さんが歩道を通るときは、いつでも止まれるように徐行運転をし、歩行者が多い場合や道幅がせまい場所などは自転車を降りて押しながら行くということを教えましょう。
ちなみに、お子さんと一緒の場合でも、保護者の方が自転車で歩道を通ることは認められていません。状況に合わせて「親子ともに車道を行く」「子どもだけ歩道を行く」「親子ともに歩道では自転車を押して行く」など、ルールに則って走行しましょう。
2の安全確認ですが、歩道を走行しているときは歩行者用信号を確認し、車道を走行しているときは車両用の信号を確認すること、一時停止の場所は線の手前で必ず止まって、前後左右の安全を確認することを教えましょう。
3については、ライト以外にも自転車に乗る前に点検をしておくことはとても大事です。安全に通行するための設備が整っているかどうか、必ず確認する習慣をつけましょう。タイヤの空気が十分入っているか、ブレーキが作動するか、サドルの高さが合っているか、ライトが点灯するか、反射板はついているか、など「乗るときのルーティーン」として、子ども自身にも確認の習慣をつけさせましょう。その他、油も差さないと動きにくくなったりしますので、保護者の方も定期的に一緒に見てあげるとよいですね
5のヘルメットについては、自転車に乗るときは必ず着用してください。警察庁の調査によると「頭部を負傷した死者・重傷者でヘルメットを着用していなかった人の割合は、着用していた方に比べて約1.7倍も高い」というデータがあります。安全が確認されたマーク表示があるヘルメットを使用して、万が一の事故から身を守りましょう。
*参考:自転車の単独・転倒事故の危険性(JAFユーザーテスト)
学年ごとのポイント
小学校低学年で注意したいのは
・一時停止の場所など、交通ルールの理解不足
・身長が低く、遠くまで見通しにくい
・握力が弱くてブレーキを十分に握れない
・車幅感覚が十分ではない
といったことです。ルールの理解不足や身体の発達が十分ではないこと、また、注意力が欠けた状態で運転することで事故につながるケースがあります。
また、高学年になると運転に自信がついてきて、何気なく危険な操作をしてしまいがちなので、こちらも注意が必要です。
・友だちとの並進
・傘を差しながらの運転
・運転中のスマホの操作
・イヤホンで音楽を聴きながらの運転
これらはすべて、青切符の対象となっている危険な行為です。子どもの場合、反則金はありませんが、指導警告が行われます。小学生でもスマホを持つ子は増えているので、走行中に危険な行為をしないよう、保護者の方の声かけがとても大切です。
親子で確認したい安全のためのポイント
「よく行く場所」のルートを親子で確認する
子どもは危険な状況を予測する力が十分ではないため、交通ルールの徹底とともに、「この場所では、こんな危険があるよ」と具体的に教えておくとよいでしょう。
入学直前の新1年生だと、保護者と一緒に通学路を歩く練習をすることも多いと思いますが、自転車の場合も同様に練習をしてみるとよいと思います。
また、高学年でも、学年が上がって塾や習い事に一人で通うなど、お子さんの行動範囲が広がる場合もあるでしょう。お子さんが自転車で行きそうな場所に、親子で自転車を押して行ってみることをおすすめします。
そうすることで、「ここの下り坂はスピードが出やすいから、自転車から降りて押していこうね」「この交差点は見通しが悪いから、いったん止まって少しずつ前に出よう」など、大人から見て危ないポイントに気づき、具体的な注意ができます。そして、危険を避けるルート設定も大事です。可能な限り、一度だけでなく何度か行って確認するとよいでしょう。
子どもに考えさせ、親は模範を示す
交通ルールを教えた場合でも、子どもが一度では覚えられないこともあります。一方的に教えられたことは、記憶に残らないことが多いものです。親子の会話の中で、「ここではどんなふうに乗るのが安全かな?」と聞いてみるなど、お子さん自身に考えさせるこ
とで知識が定着しやすくなるでしょう。
そして、大人が必ず「模範を示す」ということがまず大事です。保護者の方が日常的にルール違反をしていたら、それが危険な行為でも子どもは「やっていいんだ」とまねをしてしまいます。子どもが一人で自転車に乗るときに、そうした危ない行動をして取り返しのつかないことになってしまうということもあり得るので、大人がきちんと模範を示すことが大切です。
子どもに「ヘルメットをかぶりなさい」と言っているのに、「お母さんはいいの」なんて言っていたら、説得力がないですよね。そこはやっぱり家庭で一緒に取り組んでいただく必要があると思っています。
それから、ご家庭でのルール作りも大切になります。「ここまでは行ってもいいけど、ここから先は行かないようにしよう」とか、「○時を過ぎたら暗くなるから、自転車に乗らないようにしよう」など、地域の特性に合わせて安全のためのルールを決めていただくということも必要だと思います。 学年が変わるタイミングで、「習い事に一人で行く」「塾に通う」など、スケジュールや行動が変わることをきっかけに、安全のためのルールについて家族で話してみるとよいですね。
この記事の監修・執筆者
あたらしいモビリティの登場とともに変化している道路交通環境を、より便利で安心・安全なものとして活用していけるように、交通安全に関する各種支援や事故防止に向けた情報提供、課題解決に向けたアドバイス等の活動をおこなっています。子どもたちが安心して道路を利用できるように、保護者や子どもに向けた交通安全の情報発信も積極的に実施していきます。
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