子どものイヤイヤ期対処法、大泣き・わがまま…行動別に専門家がアドバイス!

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子どものイヤイヤ期対処法、大泣き・わがまま…行動別に専門家がアドバイス!

監修:明橋 大二(真生会富山病院心療内科医・NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長)

子どもがわがままを言いだすイヤイヤ期は2~3歳から

2~3歳になると、第一次反抗期、いわゆる“イヤイヤ期”が訪れます。
指示をすると「やだ!」、手を貸そうとすると「自分でやる!」、
これらの反抗は自立のサインなので、自発性が育ってきた証拠です。

子どもの反抗は成長の表れであり、決して悪いことではありません。

むしろ、しっかり向き合わないと子どもの自立心や個性を損なってしまう心配もあります。

自立のために反抗するのは大切なこと

「甘え」と「反抗」を繰り返して、子どもの心は大きくなるといわれています。
「甘え」は「依存」のことで、「反抗」は「自立」のこと。

「自分で歯をみがきたい!」と言ってひとりでやってみたものの、
不安になり、最後は親の元へ「やって」と帰ってくる、といったことがあると思います。

この例の場合、「自分で歯をみがきたい!」が反抗になり、「やって」が甘えです。
子どもはこうした甘えと反抗を行ったり来たりしながら、自立へと向かっていきます。

言うことをきかないイヤイヤ期の子どもへの正しい接し方

言うことをきかない子どもには、どう対応するのがよいのでしょうか。
ただ叱るだけでは、子どもにも伝わりません。

ときに叱り、ときに認め、適切に接していきましょう。

まずは子どもの話をしっかり聞き、認める

子どもは大きくなってくると、自己主張を始めます。

「僕はこうしたい」「こうじゃなきゃやだ」などの言葉を口にするときは、
まずはしっかり聞いてみましょう。
「確かにそうだな」「やらせてもいいんじゃないか」となることが案外多いものです。

子どもは実際、親の顔色などをよく見ています。

たとえ親にとって都合が悪いことでも、
正しいことはしっかり聞いたうえで、認めるべきところは認めましょう。
そうすることで、子どもも自分の感じ方や判断に自信を持てるようになります。

子どもを注意するときに気をつけるべきポイント

子どもを注意するときに気をつけるべきポイントは3つあります。

①人格を否定するようなことは言わない

「なんでこんなこともできないんだ」「本当にダメな子だな」といった言葉は、
子どもの全人格を否定する言葉なので注意しましょう。
「○○するのはよくないんだよ」というように、
人格ではなく、行為を注意するようにします。

(言い方の例)
×→「言うことをきけない子はダメな子だ」
〇→「走り回るのはよくない」

②なぜ注意されているのかわかるように

ただ怒鳴り散らしても、なにを怒っているのか子どもにはわかりません。
なにがいけないのかを具体的に伝えましょう。

(言い方の例)
×→「いいかげんにしなさい!!」
〇→「お友だちのおもちゃは取っちゃダメでしょ?」

③今度からどうしたらよいかを伝える

注意されると、子どもは絶望的な気持ちになり、ふてくされてしまうことがあります。
対処のしかたをわかりやすく教えましょう。

(言い方の例)
×→「何回言ったらわかるの!」
〇→「今度からはほしいものがあったら、ちゃんと言うんだよ」

イヤイヤ期の「子どもの困った行動」へのQ&A

Q. わがまますぎて園に行かせるのが不安…

A. わがままを言うのは大切なこと!

わがままというのは「我が・まま」、つまりマイペースということ。
わがままを言わないことで、お友だちに気をつかいすぎたり、
先生の期待にこたえようとしたりして逆に疲れてしまう場合もあります。
園に通う子どもは、まだまだわがままでいてもいい年齢なので、
自立するまで見守りましょう。
むしろわがままでいてもいい年齢のときにわがままが言えなかった子が、
成長してから調子を崩してしまう、ということもあります。

Q. 「癇癪」にはどう接すればいい?

A. 子どもの気持ちを汲みましょう

1歳半を過ぎると、しだいに喜怒哀楽がしっかりして、癇癪を起こします。
駄々をこねている姿を見ると、「わがまま」と思ってしまいがちですが、
これは成長の過程です。自分の要求ははっきりしてきますが、
まわりの状況までは判断できないため、癇癪を起こしてしまうのです。

癇癪=「わがままな子」「悪い子」と決めつけず、
「嫌だったんだね」「自分でやりたいんだね」と、
まずは子どもが自己主張できるようになったことを喜び、気持ちを汲みましょう。

Q. 泣きやまなくて思わずイライラ…どうすればいい?

A. 怒鳴ったり、たたいたりせず、受け止めてみる

「泣く」というのは、自分の感情を素直に表現することで、
心の成長のためにはとても大切なことです。

子どもが泣こうとすると、大声で怒鳴ったり、たたいたりして泣かせないようにする
「泣かせない子育て」というものもありますが、
そういう対応では、子どもの喜怒哀楽の表情が失われ、
とても心配な状態になる可能性があります。
逆に、泣く前から要求にすべてこたえてしまうと、
「自分の力で要求をかなえることができた」という自信を育む機会を奪われてしまいます。

子どもが泣きやまないときは、怒鳴ったり、たたいたりせず、
優しく気持ちを受け止めてみましょう。
そうすることで、自分の感情を出してもいいんだ、受け止めてくれるんだ、
と子どもの自己肯定感を育むことになります。

Q. どこまでの要求を許したらいいの?

A. そういう疑問が生じた時点でOK!

家庭の事情や親の方針もあるので、どこで線を引くかはそれぞれです。

むしろ、「どこまで許して、どこまでダメと言うか」という悩みが生じているということは、現時点である程度子どもの主張も受け入れ、度が過ぎた要求にはダメと言っている状態ということ。こういった対応が、子どもの自己コントロール能力を育てます。

(言い方の例)
子:「今日は動物園に行って、お昼はハンバーグを食べたい!」
親:「動物園にはいけないけど、ハンバーグは食べに行こうか」

Q. 甘えさせるのはいいこと?

A. 「区別」することが大切

「甘やかす」「甘えさせる」を区別することが、子育てには重要です。

「甘やかす」→過保護・過干渉になること
(物質的な要求にすべて答える、我慢できることを我慢させない)

「甘えさせる」→スキンシップ(赤ちゃん返りなど)を受け入れる
どうしてもできないことを手伝う

年齢別に具体的な例をあげます。

【3歳】
〇甘えさせる
「お母さんのお膝に座ってお話ししたい!」「おいで」→情緒的な要求(スキンシップ)を受け入れる
×甘やかす
「あれもこれも買ってー!」「しょうがないわね」→物質的な要求(お金やもの)をそのまま受け入れる

【4歳】
〇甘えさせる
「靴ひもがうまく結べない」「どれどれ」→どうしてもできないことを手伝う
×甘やかす
「お母さんが全部やってあげるからね」→できることをさせないで、大人がやってしまう

【5歳】
〇甘えさせる
「お母さん、お腹がすいた」「なにか作るから待っててね」→どうしても我慢できないことを助ける
×甘やかす
「お母さん、ご飯の前にお菓子が食べたい」「いいよ」→我慢できることを我慢させない

実際には、区別するのが難しいことなので、その都度考えていく必要があります。

子どもの性格はさまざま、ポジティブな目線で見つめて

  • 言うことをきかない子→自分の意思をちゃんと持っている
  • 何事も動作が遅い子→じっくり取り組むタイプ
  • やんちゃな子→活発、体力がある
  • おとなしい子→人の気づかないところにも気づく、敏感なところを持っている

上のように、マイナスに思える面も、見方を変えればプラス面になります。

親はあれもダメ、これもダメとついつい言ってしまいがちですが、
そうすると子どもは自分の存在自体がダメなんだと思ってしまうかもしれません。

そんなときは、このようにポジティブな目線で子どもを見てみると、
あんなに不安だった自分の子も、とてもいとおしく、輝いて見えるかもしれません。

この記事の監修・執筆者

真生会富山病院心療内科医・NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長 明橋 大二

子育てカウンセラー・心療内科医。
京都大学医学部卒業後、国立京都病院内科、愛知県立城山病院などをへて、
現在は真生会富山病院心療内科部長、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長、児童相談所嘱託医。主な著書に『子育てハッピーアドバイス』シリーズなどがある

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