【専門家監修】雨の日の自転車を安全に乗る

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梅雨本番。雨の日のお出かけは憂鬱ですが、どうしても出かけなくてはいけないこともありますよね。園の送り迎えなど、雨の日の自転車走行を安全に行うためのポイントを、一般財団法人 日本交通安全教育普及協会の彦坂 誠さんにおうかがいしました。

目次

雨の日は事故リスクがアップ! 

雨の日は、「濡れたくない」という心理から、多くの人(歩行者・自転車・バイクなど)が急いでいます。その一方で、安全確認の際に特に重要な視界は晴れの日よりもはるかに悪くなっています。そのため、雨の日は晴れの日よりも事故のリスクが高くなります。

また雨の日は、路面がぬれているため、自転車も自動車もブレーキがききにくくなります。晴れの日と同じタイミングでブレーキをかけても止まらず、衝突事故につながるほか、横断歩道や停止線の白線、マンホールの上などでハンドルをきってしまい、滑って転倒する事故も多くなります。

だからこそ、雨の日はいつも以上にゆっくりと、意識して安全確認を行う必要があるのです。

改めて確認したい 自転車の交通ルール

忘れてはいけないのは、「自転車も車両の仲間」ということ。免許が必要ないからといって、好き勝手に乗っていいわけではありません。まずは、警察庁が公表している「自転車安全利用五則」にしたがって、正しく自転車を利用できているかを、確認してみましょう。

自転車安全利用五則

①自転車は、車道が原則、歩道は例外

②車道は左側を通行

③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行

④安全ルールを守る

・飲酒運転・二人乗り・並進の禁止

・夜間はライトを点灯

・交差点での信号遵守と一時停止・安全確認

⑤子どもはヘルメットを着用

出典/警察庁HP https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

さらに、子どもを乗せて自転車に乗る保護者が知っておきたいことがあります。

「子乗せ自転車」には、運転者の年齢制限と人数制限がある

交通ルールでは「16歳以上の運転者が幼児用座席に子ども(小学校就学始期に達するまで)を乗車できる」(各都道府県の道路交通規則より)となっています。

「子乗せ自転車」はそもそも「幼児二人同乗用自転車」といって、「保護者+子ども2人」用に強度をあげて作った自転車です。そのため「保護者+前後の幼児用座席に子ども2人+おんぶ」というような4人乗りはできません。

「歩道通行」できる道路も「安全」ではない

軽車両にあたる自転車は、車道を通行するのが原則ですが、例外として歩道通行可能の道路もあります。しかし、歩道が必ずしも安全とはかぎりません。段差やスロープ、歩行者、駐車場に出入りする自動車など、衝突や転倒のリスクは歩道にもあります。

傘さし運転は禁止

傘さし運転は、現在すべての都道府県で禁止されています(都道府県道路交通規則)。ハンドルに固定具を取り付けても、傘をさした時点で積載範囲を超えるのでNG。風にあおられる危険もあります。

前に抱っこはNG

万が一衝突などがおこったとき、人は反射的に前方に転倒してしまいます。そうすると前に抱っこしている子どもがエアバッグ代わりになりかねません。まだチャイルドシートに座れない1歳未満の子どもは、背中におんぶが鉄則です。

子どもには必ずヘルメットを

自転車安全利用五則にもありますが、保護者の自転車に同乗する場合も必ず着用します。自転車乗用中死者の損傷主部位は、頭部で全体の約58%。ヘルメットを嫌がる子も多いのですが、自転車に乗るときは必ずかぶり、万が一に備えましょう。

上記をふまえたうえで、子乗せ自転車を使う際は、以下の点も忘れずに。

・乗せ降ろしは平たんで安定した場所にスタンドを立てて行う。

・二人の子どもを乗せるときは、体の大きな子を後ろ、小さな子を前にして、後ろの席から先に乗せる。降ろすときは不安定な前の席から降ろす。

・着席したらシートベルトを締める

・後ろの席に子どもをよじ登らせて乗せない。

※チャイルドシートの足載せはステップではありません。破損の危険があるので、必ず保護者が抱いて乗せ降ろしを。

・前後に子どもを乗せたら、どんなことがあっても手を離さない。

・駐車状態にある自転車でも、子どもを乗せていたら絶対に手を離さない。

※転倒リスクは走行中だけではありません。駐車状態にある自転車は「前輪+後ろのスタンドの左右両端」の3点で支えられています。特に、前輪位置にある前席に子どもを乗せた場合は大変不安定で、子どもが身をよじっただけでも転倒する可能性があります。

※駐輪場でまわりの自転車を倒してしまったときなども、いったん落ち着いて子どもを降ろしてから対処しましょう。

電動アシスト自転車も十分なリスク管理を

子どもができてから、電動アシスト自転車デビューする方も少なくありません。ただ、自転車重量+自分や子どもの体重+荷物の重さを合わせると、「子どもの命を乗せ100㎏を超える車両を運転している」ことをつねに意識し、速度を抑えて運転するようにしましょう。雨の日はもちろん、晴れの日も周囲に配慮した運転を心がけてください。信号待ちでは両足を着地させ、前後のブレーキをしっかりかけましょう。ペダルに足を乗せたままにしておくと、思わぬ急発進の恐れも。雨のなか早く帰りたいという気持ちがあっても、ゆっくりと落ち着いて停止・発進します。サドルにまたがらずに発進する、いわゆる「ケンケン乗り」は問題外です。

【まとめ】雨の日の子乗せ自転車を安全に利用するために

最後に、あらためて雨の日における自転車運転の注意点をおさらいしましょう。

●雨の日は路面が滑りやすく、ブレーキがききにくい。いつもよりゆっくりと、慎重に。滑りにくい靴の着用も忘れずに。

●雨の日は視界が悪いうえに、先を急ぐ傾向に。「お先にどうぞ」という意識で、心に余裕を持って走行しましょう。安全確認は「念には念を」。レインコートなどの着衣は明るい色合いのものを。

●湿度が高くなると、ハンドルが滑りやすいので、しっかりと握ることを心がけて。眼鏡も曇りやすくなるので、あらかじめ曇りどめを塗るなどで予防を。

雨の日の運転は危険だとわかっていても、どうしても自転車に乗らなくてはいけないこともあるでしょう。顔が濡れることも気になりますが、雨の日に自転車を乗る以上、やむを得ないと割り切って、濡れることを恐れず、自転車運転に集中してください。その場合は、上記のことに注意し、事故のないよう慎重に利用しましょう。

監修/一般財団法人 日本交通安全教育普及協会

1968年(昭和43年)の設立以来、交通安全教育の普及・徹底を目的とする法人として、国・地方公共団体・関係団体・関係企業等と共に、交通安全教育の普及啓発に努め、積極的に各種の活動を展開している。地域に密着した参加・体験・実践型の交通安全教育の普及、高齢ドライバーの安全運転普及、シートベルト・チャイルドシートの着用推進、自転車の安全利用促進、幼児・児童の保護者等に対する交通安全教育の充実など様々な啓発活動に積極的に取り組んでいる。https://www.jatras.or.jp/gaiyou.html

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