さくっと知りたい「幼児教育無償化」 どういうもの?対象は?いつから始まる?

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2019年10月から、幼児教育・保育の無償化の実施が決定しました。(子ども・子育て支援法改正案が閣議にて決定。)※2019年2月12日現在

幼稚園、保育園に習い事……にはいろいろな出費がつきものですよね。
そんな、なにかと出費がかさむ子育て世代のために「幼児教育無償化」が2019年10月からスタートするのはご存知ですか?
ざっくり言うと、幼稚園・保育園に無料で通えるようになる(ただし条件アリ)という、子育て世代にとってはうれしい制度です。
でも、「制度が始まるのは知っているけれど、内容がよくわからない……」というママやパパも多いはず。
そこで今回は、この制度が一体どのようなものなのか、やさしくわかりやすく解説します!

現在4歳のお子さんのママであるイラストレーター・あね子さんと一緒に、みていきましょう。

目次

「幼児教育無償化」ってなに?

そもそも幼児教育無償化とは
3~5歳のすべての子どもと、住民税非課税世帯の0~2歳の子どもは、幼稚園・保育園などの利用料を無料(場合によっては一部無料)とする
というものです。

日本政府が「家庭の経済的な負担を減らしつつ、すべての子どもが質の高い教育を受けられるようにしよう」と決めたのです。

いつからスタートするのか、どんな人が無償化の対象になるのか、またどのくらいの補助金が出るのか、気になりますよね。順を追ってみていきましょう。

無償化はいつから始まる?

2019年4月から一部(5歳児〈年長〉クラス)無償化をスタートし、2019年10月から全面実施します。

当初は2020年4月から全面実施するというスケジュールでしたが、前倒しされました。
これは、2019年10月から消費税が10%に引き上げられる予定があるので、同じ時期に幼児教育無償化をスタートして、子育て世代の経済負担や消費の落ち込みを少なくするためです。

無償化の対象と補助金額は?

▼3~5歳の場合

すべての子どもの幼稚園・保育園・認定こども園の利用料が無償化されます。
所得制限はないので、収入が多いか少ないかは関係ありません。
無償化とは言うものの、厳密には無料にはならない(差額を支払う必要がある)場合もありますので、預け先ごとにみていきましょう。

〇幼稚園⇒月25,700円まで補助

ひと月の利用料が25,700円までであれば全額無料になりますが、超える分は自己負担。この金額は、私立幼稚園のひと月の利用料の平均額です。
預かり保育を利用する場合は、幼稚園の利用料と合わせて月37,000円が上限となります。ただし預かり保育の補助を受けるためには、自治体から「保育が必要とされる家庭」という認定を受けておく必要があります。

〇認可保育園・認定こども園⇒すべて無料

認可保育園と認定こども園は、利用料がすべて無料となり上限はありません。

〇認可外保育施設⇒月37,000円まで補助

かなり幅広い認可外保育施設が無償化の対象になります。認証保育園(国の基準は満たしていないが自治体の基準は満たした保育園)はもちろんのこと、ベビーホテルやベビーシッターの利用料も対象です。複数の認可外サービスを併用しても、上限額までは補助を受けることができます。
月37,000円というのは、認可保育園のひと月の利用料の平均額。一般的には認可外保育施設のほうが認可保育園よりも高くなりがちですが、不公平が出ないように上限金額が設定されています。
補助を受けるためには自治体から「保育が必要とされる家庭」という認定を受けておく必要があります。

▼0~2歳の場合

0~2歳で無償化の対象になるのは住民税非課税世帯のみ。住民税が非課税になるボーダーラインは年収約255万円(会社員+専業主婦+子ども2人の場合)。自営業だったり共働きだったり、子どもの人数が違うとボーダーラインが変わります。
〇認可保育園やこども園はすべて無料
〇認可外保育施設⇒月42,000円まで補助

無償化の対象にならないもの

通園にかかる費用でも、無償化の対象にならないものがあるので確認しておきましょう。

  • 入園料
  • 通園にかかる交通費(スクールバス代含む)
  • お弁当作りにかかる食材費
  • 病児保育料
  • 行事費
  • 制服などの学用品代

……など

手続きはどうしたらいい?

幼児教育無償化には、申請が必要です。
今、幼稚園や保育園に通っている人は、園から手続きの方法が通知され、必要な書類が配布されるでしょう。
これから申し込む人は、入園予定の施設、または、お住まいの自治体に問い合わせてください。

〈これから預ける人へ〉幼稚園と保育園 、どっちを選ぶ?

これから子どもの預け先を決めるママやパパにとっては、幼児教育無償化は、預け先選びのひとつの基準になるかもしれません。
たとえば、共働き家庭が幼稚園に子どもを預ける場合、施設によっては預かり保育含めて月37,000円以上かかり、自己負担が出てくる可能性があります。
でも認可保育園やこども園なら補助金の上限はありませんから、「じゃあ保育園やこども園を優先しよう」と考える人が増えることが予想されます。

ここであらためて、幼稚園と保育園がどう違うのか、軽くおさらいしておきましょう。

幼稚園と保育園の違い

幼稚園と保育園は、どちらも子どもを預かってくれる施設ですが、実は役割や目的、扱っている省庁も違います。その違いを表にまとめました。

役割 所管 目的
幼稚園 教育施設 文部科学省 幼児を保育し,適当な環境を与えて,その心身の発達を助長すること(学校教育法第77条)
保育園 児童福祉施設 厚生労働省 保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うこと(児童福祉法第39条)

こう説明すると「幼稚園は(文部科学省所管だから)学校に近い感じ?」とか「保育園のほうがのびのび遊べそう」という印象を持つかもしれません。
でも実際のところは、保育施設によって教育内容や方針はさまざまです。

幼稚園と保育園の決定的な違いは、子どもの年齢と預けられる時間です。

対象年齢 開所時間 預けられる時間
幼稚園 3歳~ 9時ごろ~14時ごろ
※施設による
標準4時間
保育園 0歳~
※施設による
7時ごろ~19時ごろ
※施設による
8時間~11時間
※親の勤務状況による

幼稚園を利用できるのは3歳からなので、0~2歳の子どもを持つ保護者が働いている場合は保育園に預けることになります。
ただし、近ごろは共働き世帯に対応するため、夕方まで預かり保育をする幼稚園も増えています。

※また、2006年4月にスタートした「認定こども園」が年々増えてきています。
「認定こども園」は、幼児教育と保育を一体的に行う、幼稚園と保育園の両方のよさをあわせもっている施設です。

※無償化のための予算は、誰がどこから出す?
無償化にかかる費用は8000億円規模になると言われています。財源には、2019年10月に引き上げられる予定の消費税の増収分をあてることになっています。

※無償化の抱える問題
無償化についてはデメリットや問題点も指摘されています。

  • 無償化が実現することで、「それならうちの子も保育園に入れよう」という親が増え、待機児童が増えてしまうのでは?
  • 保育士の人材不足と言われているけど大丈夫?
  • 教育の質が低下するのでは?

という声も出ているようです。

おわりに

幼児教育無償化は、実施されることは決まっているものの、まだ詳しい内容は検討中の制度のため、今後また変更される可能性があります。
新しい情報が出ましたら、その内容をまたご紹介していきたいと思いますので、みなさんもこまめにチェックしてみてくださいね。

内閣府「子ども・子育て本部」(最新情報はこちら)

この記事の監修・執筆者

元デザイナー あね子

2010年生まれのメイ子ちゃん、2014年生まれのマイちゃん、旦那さんと4人家族の主婦。ブログ「いっちょまえ姉妹を育てています」で育児に奮闘する日々を連載中。
HP
http://aneko-ikuji.blog.jp/

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