さまざまなシーンで見かける、子どもの“困った”行動に、イライラはつのるばかり…。
でも、子どもの行動の背景がわかれば、意外と落ち着いて対応できるかもしれません。
幼児教育ジャーナリストの西東先生に、上手な対応の仕方を教えていただきました。
お話:西東 桂子先生(幼児教育ジャーナリスト・元育児情報月刊誌編集長)
1【同じことを繰り返す】→とにかく冷静に
まずは、「子どもは何回言われてもわからないイキモノだ、子どもに悪気はない」と認識して、冷静になるところからスタートしましょう。
そのうえで、「私の伝え方がこの子に合っていないのではないか」と検証する気持ちも大切。
言い方を変えてみたり、他のママ・パパの言い方をリサーチしたりして、わが子のタイプに合う伝え方を探してみてください。
2【口答えをする】→疑問形で叱るのをやめる
「なんでこういうことをするの?」など、疑問形で叱っていませんか?
「でも○○だもん」「だって○○だったから」などという子どもの言葉は、言い訳というより、理由を答えているだけなのです。
疑問形で叱らず、伝えたいことを冷静に話すようにしましょう。
また、「嫌だ」と言うのは子どもなりの意見や思いがあるからで、聞いてもらえれば案外気が収まるものです。
まずは本人の言い分を聞いてあげましょう。
3【自己主張が強い】→限度を決めて大目に見る
2~3歳児は、自我が芽生える時期なので、「こうしたい」と強く主張してきます。
それに対して、「だめ」「また今度にしなさい」などと叱りがちですが、忍耐力はあまりないので、「このくらい我慢できたらあとは大目に見る」というスタンスでいるのがよいでしょう。
「思いを主張できるほど言語力がついた」と思えば、成長を喜べます。
4【ウソをつく】→まずは言い分を聞いてみる
幼児はウソをつくことで、相手にどんな影響を与えるのか、まだわかりません。
「人に信頼されるには、ウソをつかないことが大事なんだ」「でも信頼関係を保つためや、相手を傷つけないためのウソもあるんだ」と、本当の意味での「ウソ」が理解できるのは、小学校の高学年になってから。
4歳くらいまでは、「叱られるのが怖いから、ウソはつかないようにしよう」と思い、5~6歳くらいでは、「とにかくウソはいけないようだ」と思っています。
人の迷惑にならない他愛のないウソなら、厳しく叱らなくてよいでしょう。
手を洗っていないのに「洗った」、そんな手を抜きたい言い訳のときは、「ママは洗うところを見ていないなぁ」などと、大人にその手のウソは通用しないという態度で接します。
自分が叱られないためや人のせいにするウソなら、「なぜそんなことを言ったの?」と子どもの言い分を聞いたうえで、「それはいけないことだよ」と諭します。また、たとえば自分から兄弟や友だちを叩いたのに、「△△ちゃんが先にぶった」と相手のせいにするなら、「△△ちゃんはそう思っていないみたいだよ」と、相手の立場で考えられるような言葉がけもしましょう。
5【弟や妹をいじめる】→親の関心を引きたいと理解
弟や妹をつねったり、転ばせたり…。
特に下の子がまだ赤ちゃんのときは、ママを取られたと思って焼きもちを焼いている状態です。
こうした赤ちゃん返りのときは強く叱ったり、「もうしない」と約束させたりしても、上の子の気持ちが収まらない限り、繰り返してしまうでしょう。
そんな行為が見られたら、「親の関心を引きたいんだな」と理解し、上の子により手をかけるつもりで接してください。
いけないことをしたら「やめなさい」ときっぱり言うことは必要ですが、そのあとに「一緒に積み木をしようか」と誘ったり、寂しそうな表情をしていたら「おいで」と声をかけて抱っこをしてあげたりと、甘えさせることも忘れないで。
やがて気持ちが安定して、下の子の面倒をみてくれたら「○○ちゃん(下の子)も喜んでいるね。ママもうれしいわ」とほめてあげましょう。
6【食事に集中しない】→環境を見直す
食事に集中できないときは、まずは環境の見直しを。
子どもの椅子とテーブルの高さが合っているかチェックする、気が散らないようにテレビを消す、スマホを食卓に置かない、といったことも大切です。
食事をしながら、家族の会話を楽しめるとよいですね。
遊び食べが始まった場合は、「それじゃあ、おしまいにしようね」とさっさと片付けてしまうのも手です。
あとでおなかが空いたら、次の食事までの時間を考えて量を加減し、同じものを出してもいいのです。
好き嫌いは年齢が上がると解消することも多く、あまり神経質にならなくてもいいと思います。調理のお手伝いをしてもらい、「洗ってくれたニンジン、おいしいね」などと声をかけて、食材に関心を向けるきっかけにしてもよいでしょう。
7【公共の場で騒ぐ】→事前にどういう場所か伝える
公共の場でのマナーは、理由とともに事前に話しておきましょう。
たとえば電車やバスなら、「揺れる乗り物の中では、動き回ると危ないよ」「疲れている人や眠りたい人も乗っているから、静かにしようね」など。
飲食店なら、「お店は楽しく食事をする場所で、大声で話したり走り回ったりする場所ではないよ」などです。
出かける前に「電車で騒ぐのはいいこと? いけないこと?」などとクイズ形式で確認し、自分で答えを考えられるようにすると、記憶に残りやすくなります。
さらに、乗車や入店する前に「ここではどうするんだっけ?」と、もう一度思い出せるよう声がけも忘れずに。
静かにしていられたら、しっかりほめてあげてください。
それでも、子どもの集中力は長くは続きません。
限界を迎える前に電車を一度降りる、食事を終えたら早めに席を立つなど、子どもの様子に合わせて大人が動くことも必要です。
集中が切れて騒いでしまっても、「途中までよく頑張れたね」とほめることで、次回の頑張りにつながります。
8【友だちの物を取る・壊す】→物から気をそらせる
低年齢の子は、興味があるのは人よりも物。
友だちの見慣れないおもちゃを使ってみたくて取り上げる、作っている物に触ってみたくて結果的に壊してしまう、ということもあります。
「お友だちの物でしょ。黙って取ってはダメだよ」と繰り返し伝えていくことは大事ですが、気持ちを抑えることはまだまだ難しいものです。
この場合、ママ・パパがわが子と向き合って遊んで、物から気をそらせるのが得策です。
5~6歳になると、「悪いことは、してはいけない」と自覚できるようになり、危ないことやマナーに反する行為はぐっと減ってきます。
代わりに友だち関係が広がり、仲間同士のトラブルが多くなります。
すぐに介入して自分の子を叱るなど、結論を出すことを急がず、子ども同士で考えて解決策を導く様子を見守る、ゆとりをもちましょう。
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