国立感染症研究所から「風疹急増に関する緊急情報」が出されるなど、2019年に入ってから大流行の兆しがある風疹。
風疹は、ウイルスに感染していても症状が出ないことがあり、知らないうちに感染を広げてしまう可能性があります。
特に、電車内やショッピングモールなど人が大勢集まるところでは注意が必要です。
まずは、風疹という感染症がどういうものかを知って、適切な対処ができるようにしましょう。
監修/渋谷紀子(総合母子保健センター愛育クリニック 小児科・母子保健科部長)
風疹とは? ~風疹ウイルスが原因の感染症~
発熱、発しん、リンパ節の腫れを特徴とする、風疹ウイルスが原因の感染症です。一般的に、「風疹」または「三日ばしか」と呼ばれています。
くしゃみやせきなどの飛沫感染でうつります。
注意点は、症状が軽くて感染したことに気づかない場合(不顕性感染)があるということ。
知らぬ間に感染する、人に感染させてしまうという可能性もあるのです。
風疹の主な症状は? ~発熱や発しん、リンパ節の腫れ~
ウイルスに感染して、2~3週間の潜伏期間の後、
・38℃前後の熱(発熱がみられない場合もある)
・小さな赤い発しん(全身に現れる・痛みやかゆみはない)
・リンパ節の腫れ(首や耳の後ろ・小指の先ぐらいの大きさに腫れ、触るとグリグリした感触)
症状が軽いと発熱もなく、感染したことに気づかない場合もあります。
まれに、血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)や、風疹脳炎などの合併症が見られます。
また、一度感染し治癒すると、ほとんどの人が一生風疹にかからない免疫を獲得するので、再び風疹にかかることはないと言われています。
ちなみに、風疹が「三日ばしか」と呼ばれるのは、麻疹(はしか)に症状が似ていること、そして麻疹よりも短い期間で治癒するからだそうです。
治療や、家でのケアは? ~十分な水分補給を~
発熱には、解熱鎮痛剤が用いられます。
しかし、風疹ウイルスに有効な抗ウイルス薬はありません。
合併症の症状がなければ自然治癒する病気のため、症状を和らげる対症療法のみになります。
熱が高いときには脱水症を避けるため、十分な水分補給をします。
高熱、ぐったりして意識がないなどの症状があるときは、合併症の心配があるので至急受診を。
風疹の予防接種 ~計2回の接種が必要~
1歳になれば予防接種を受けられます。
2歳になるまでに必ずワクチンを接種するようにしましょう。
原則として、
①生後12か月~24か月
②小学校入学前の1年間
の計2回、麻疹風疹混合ワクチンを接種します。
上記の間ならば公費負担を受けることができ、通常は無料で接種できます。
妊娠さんは特に注意が必要です。
妊娠初期にかかると、先天性風疹症候群と言われる障害のある赤ちゃんが生まれる可能性があります。
妊婦さんはワクチンを受けられないので、妊娠を考えている女性は妊娠前に、また妊婦さんの周囲の人たちもワクチンを接種しておくことが大切です。
※予防接種の際は、かかりつけのお医者さんに相談されることをおすすめします。
保育園・幼稚園の登園の目安は? ~発しんが消えるまで安静に~
風疹は、法律・法令で「学校において予防すべき感染症」として出席停止期間などの対応が定められています。
風疹の出席停止期間の基準は、
発しんが消失するまで
とされています。
風疹は、発しんが出る約1週間前から発しんが消えるまでは、ほかの人にうつる可能性があります。
発しんがある間は登園を控えて、家で静かに過ごしましょう。
参照:
国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html
『0-5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研プラス)
https://hon.gakken.jp/book/2380071500
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