【SNS動画エンドレスのわが子へ】「1分でも過ぎたらスマホ没収!」は効果アリ?ネット依存を防ぐ声かけとNG対応[臨床心理士監修]

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「うちの子、家で動画ばかり見すぎでは?」SNS動画を夢中で見ている我が子が気になりつつ、なかなか止められないという声が多くなっています。幼児や小学校低学年のうちから動画視聴にのめり込むことで、日常生活への影響や将来的な依存も心配になります。そうしたリスクを回避するために知っておきたい、子どもに響く声かけと対応を臨床心理士の森山沙耶さんに伺いました。

取材・文/FUTAKO企画

目次

低年齢からの動画視聴の背景とリスク

動画が子どもたちの「共通言語」に

こども家庭庁の発表によると、今や6~9歳の小学生の9割以上がインターネットを利用し、その利用内容の第1位は「動画を見ること」です。(令和7年度「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」より)
「自分のスマホを持っていない」「ゲームをしない」子でも、保護者の方のスマホや家庭のタブレット・PCなどで動画を見る習慣のあるお子さんは多いです。アニメや子ども向けアプリなど、幼少期からの視聴習慣はやはり大きいと考えられます。YouTubeやInstagramのリール、TikTokなどさまざまな動画コンテンツが、子どもたちの間で共通の話題・言語になっていると感じます。

実際、私の小学生の子どもも、「どこで覚えてきたの?」と驚くような言葉を口にすることがあり、発信源が動画コンテンツだったということはよくあります。やり放題にできないように環境を整えているつもりでも、あらゆるところから情報は入ってきます。

子どもたちが目にする動画の内容はまさに玉石混交で、教育的な内容や学びになるようなものがある一方で、暴言や誰かを傷つける表現など、子どもに配慮のない内容のものも少なくありません。おもちゃで無限に遊んでいる様子を見せるなど、とにかく注意を引くだけのコンテンツもあります。ある意味刺激的なコンテンツとして作られているので、子どもは影響されやすいと思います。

動画の視聴時間も年々増えている傾向があります。先の調査によるとインターネットの利用時間の平均は6歳で1日約119分です。WHO(世界保健機関)は、5歳未満の子どもに関するスクリーンタイムのガイドラインを「1日1時間まで」としていますが、小学生以上には明確な定義はありません。

それでも、「小学生で毎日9~12時間は必要」とされる睡眠時間や生活へのさまざまな影響を考えると、低年齢の子の場合はゲームやYouTube など娯楽としての利用は計1時間未満が安全なのではないかなと思います。「動画を見る子ども」が日常の風景になってきているからこそ、「今どきは皆そうだよね」ではなく、「見すぎてしまう」ことへのリスクについても改めて知っておくべきだと思います。

「動画の見すぎ」によるリスクとは?

動画を見すぎてしまう、動画視聴にのめり込むことによって、次のようなリスクがあります。

視力の低下

長時間、近距離で画面を注視することで、近視の進行リスクが高まります。

睡眠不足

低年齢であるほど、寝る前の視聴によって興奮して覚醒したり、影響が大きくなります。そもそもの就寝時間が遅くなる、ブルーライトの影響で寝つきが悪くなる、睡眠の質の低下につながるということが、研究で明らかになっています。

学習への影響

授業での集中力の低下や、宿題などやるべきことを後回しにすることで、学力への影響が出てきます。

コミュニケーションへの影響

イライラしたり、言葉づかいが乱暴になったりすることで、友だちとの関係がうまくいかなくなる可能性があります。

思考の偏り

判断力が十分でないため、誤解を与えるような広告に影響されてしまったり、偏った情報によって価値観の形成に問題が出てくることもあります。

また、発達特性のある子どもの中には、動画を見ることが安心できる時間になりやすい子もいます。そのため、長時間視聴が習慣になると、急にやめることが難しくなったり、次の行動への切り替えに時間がかかったりする場合があります。

親の声かけと対応「NGパターン」「OKパターン」

それでは、動画の見すぎや将来的なスマホへの依存を防ぐために、親としてどのような対応をしていけばよいでしょうか。ここでは、ついやってしまいがちな「NGパターン」と「OKパターン」をご紹介します。

NGパターン

「放置」

「言われるままに子どもにスマホやタブレットを渡し、時間を気にしない」「子どもが見ている内容に親が興味を持たない」など、保護者の側のネットリテラシーや関心が不足していると、子どもがのめり込むリスクが高まります。
刺激的なコンテンツを見続けて歯止めがきかなくなったり、また、よくない情報に出会って危険性にさらされたりすることも。保護者の方は、動画コンテンツを無理に好きにならなくてもいいので、何を見ているかは把握して時間は管理すること。お子さんに質問してみる、または、最初は一緒に見るなど、「関心があるよ」という態度を示すことも必要だと思います。

「あきらめ」

放置とは少し違いますが、やめるように声をかけても子どもが言うことを聞かないからと、「もう知らない。好きにしたら」などと、あえて関与をやめてしまう場合もあると思います。しかし、そうした親の態度に子どもは「見捨てられた」と感じ、対話のチャンスが失われるため行動がエスカレートしてしまう可能性があります。

「極端な制限」

「ルールだから、1分でも過ぎたらダメ」などといった極端な制限も、リスクが高いという研究があります。子どもは親が自分の言うことを全然聞いてくれない不満がたまっていくので、あまりに厳格すぎると「隠れてやる」など、さらに問題を悪化させてしまうことになりかねないのです。ルールを決める際も一方的に押しつけるのではなく、子どもの話にも耳を傾けたうえで「これならできそう」というラインを一緒に探っていくことが大切です。

「制限の基準がぶれる」

「今日は特別にOK」と、時と場合によって制限をゆるめてしまうこともあると思います。習い事などの待ち時間や外食で家族より先に食べ終わったあとのスキマ時間など、場面が限定されているのであればあまり問題はないのですが、親の都合で「これは特別」ということが度々行われるというのは、やっぱりよくないですよね。 基準がぶれることに関しては、「柔軟性がありすぎると子どもが困惑して、どうしていいかわからなくなってしまう」という研究があります。
一方で、あまりに厳格すぎる「極端な制限」もよくないので、子どもの様子を見ながら「やりすぎない対応」をしていくことが大事だと思います。

「その場しのぎの対応」

そして、その場しのぎの対応にも注意が必要です。
「泣いたり、ちょっと不機嫌になったら動画を見せる」というようなことを繰り返してしまうと「要求したら動画が見られる、欲しいものが手に入る」ということを子どもが誤学習してしまいます。
保護者の方が急に「いや、今はちょっと見せられない」とか、「見せすぎるのもよくないかもしれないから」と対応を変えると、子どもは「なんでよ、見せてよ」→「仕方がないから与える」となり、なかなかの悪循環になっていってしまいます。
「子どもが落ちついている状態のときに、ルールをきちんと話し合う」など、その場しのぎの対応をくり返さなくていいように意識することも必要です。

OKパターン

「家庭の状況に合わせてルールを決める」

スマホやタブレットを使うルールを決めるときに、「1時間使える」というルールにすると、1時間使い切らないと納得できなかったりしますよね。そういう場合は、「やることを先にやって、夕飯までの時間だったらOKにしよう」とか、「夜の8時には端末は終わり」などと、使い終わる時刻を設定するほうが合っているのかもしれません。
「使用時間」でいくのか、あるいは「最終時刻」でいくのか。時間だけでなく、生活の状況に合わせた決め方があると思うので、親子で話し合ってちょうどよい着地点を見つけられるとよいでしょう。

「日常のコミュニケーションを増やす」

すでに動画を見ることに夢中になっている子の場合は、一人で見せるのではなく、「〇〇ってどういうこと?」「どこが面白い?」などと質問する、感想を聞いてみるなど、動画を介したコミュニケーションを増やすことでも、将来的なスマホ依存へのリスクを軽減させることができます。 子どもは、親が自分の好きなものに関心を持ってくれるとうれしいもの。そうした相手の言葉は聞こうと耳が開くので、言葉が届きやすくなります。

「子どもの『好き』を見つける」

まずは、子どもがスマホやタブレットだけに頼らず、楽しく過ごせることを見つけるのが大事です。
低学年のうちは親の言葉も届きやすく、親子で一緒に出かけたり、家で何かを作ったり、子どもの好きなことを見つけやすい時期。
子どもの「好き」は、性格によって違うものなので、体を動かすことが好きな子、外からの刺激を求める子、一人でコツコツ作るのが好きな子もいるので、よく観察してみないといけません。
先日、ワークショップで高校生に話を聞いたところ、「スマホを見る以外、家ですることがない」という子が多かったんです。「退屈になった時、時間を持て余した時に何をするか」のレパートリーというのは、小さい頃からの積み重ねが大切です。
スポーツや工作、料理など、好きなことをやってみる経験を積み重ねていくことで、興味や関心の引き出しが増え、スマホだけに頼らない過ごし方ができるようになっていくのだと思います。

「急がずに提案する」

子どもの「好き」がなかなか見えてこない場合、親がさせたい習い事などを提案することもあると思います。その際は、あまり急がないことが大事です。
「こういうこと、やってみない?」「きっと好きだよね」と保護者の方が強引に主導してしまうと、子どもの気持ちがついていけないこともあります。
例えば、英語を習わせたいときに、いきなり英会話スクールに通わせるのではなく、最初は遊びながら講師と会話するなど「楽しかった」経験をしてから次のステップに進むなど、楽しいことの輪を広げていくイメージで進めるとよいでしょう。

最後に

デジタル技術の活用が進む現代社会では、もはやインターネットを利用しない生活は考えられず、リスクが心配だからと完全に情報を断つことは難しいでしょう。そのため、親子でスマホやタブレットの使用ルールを話し合って、適切につき合っていくことがとても大切です。
親が一方的に決めるのではなく、子どもの言いなりになるのでもなく、親子でデジタル機器の使い方について話し合い、建設的なやり取りを積み重ねていくことによって、ゲームやスマホへの依存など将来的なリスクを減らせるのではないかと思います。

この記事の監修・執筆者

森山沙耶(もりやま・さや)

ネット・ゲーム依存予防回復支援サービスMIRA-i(ミライ)所長。一般社団法人日本デジタルウェルビーイング協会代表理事。公認心理師、臨床心理士、社会福祉士。東京学芸大学大学院修了後、家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて勤務。2019年ネット・ゲーム依存予防回復支援サービスMIRA-i(ミライ)を立ち上げ、カウンセリングや予防啓発活動を行う。著書に『専門家が親に教える 子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド』(Gakken)がある。

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