【10歳の壁】どう接すればいい? 中間反抗期の子どもの心を育てる親の対応術/藤田敦子さんの“賢い子”を育てるポジティブ教育法

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シングルマザーで2人の息子さんを難関私立中高一貫校、そして公立大学医学部現役合格へと導いた藤田敦子さん。現在は一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会代表理事として、主に小学3年生までのお子さんのいるご家庭を対象に、“受験子育て”にまつわる相談を多く受けていらっしゃいます。

ここでは小学3年生までのお子さんがいらっしゃるご家庭向けに、親子関係や家庭学習、中学受験に関することなど、さまざまな視点から藤田さん流の“幸せな子育て&賢い子を育てる”ためのアドバイスを発信していきます!


取材・文/細川 麻衣子 写真提供/日本ぺたほめアカデミー協会

目次

≪第8回(毎月1回公開/全12回)≫

今回は、“中間反抗期”と呼ばれる10歳の壁に差しかかった子どもへの接し方、そしてその心を育てるための声かけの秘訣と、親のNG言動について伺いました。ぜひ参考にしてくださいね。

❝10歳の壁❞は反抗ではなく“成長のサイン”

小学校中学年〜高学年、特に10歳前後は❝中間反抗期❞と呼ばれる時期です。この頃の子どもは心も体も大きく変化し、親への反発が強まるように見えることがあります。

【❝10歳の壁❞中間反抗期のサイン】
●「うるさい!」「ほっといて」と言い出す
●今まで素直だった子が、急に口答えする
●友だち関係に悩んで愚痴が増える
●塾などに行きたくないと頻繁に言う

など

でも実はこれ、反抗ではなく❝自立のための心の成長サイン❞なんです。

心理学的にも、10歳前後は「親から心理的に離れていく第一歩」とされています。これまで家族中心だった世界から、学校・友だち・先生・習い事・塾など、取り巻く世界がどんどん広がります。

特に人間関係がぐっと複雑になります。誰と仲がいいか、誰といっしょに行動するか、といったグループ意識が強まるので、常に気をつかったり、ときには思うようにいかなくて落ち込んだり。これに加えて放課後は塾や習い事が忙しくなる――。

このような状況で、「自分はどう思う?」「どう感じる?」と “自分の軸”をつくりながら、さまざまな感情のなかで“社会性”を育んでいく、とても大切な時期なのです。

大人から見れば「10歳なんてこんなもの」「これくらいのことはできて当たり前」などと思うかもしれません。しかし、子どもたちにとっては、大人が想像するよりも大変で忙しい毎日の中で、いろんな感情と向き合って頑張っているのです。

❝10歳の壁❞がきたときの親の心得

10歳頃になると、生活のさまざまなことに対して親はつい❝慣れてきたから出来る❞と捉えてしまいます。その気持ちから、「宿題はやったの?」「テストどうだったの⁉」と、口酸っぱく聞いたり、時には問い詰めたりしてしまうことも増えるのではないでしょうか

子どもはこれに対し、低学年までは「はーい!(素直な返事)」「今日は〇〇だったよ」と素直に話をしてくれていたかもしれません。でも、中学年以降は前出のように、「わかってるって!」「やろうと思ってたところなのに」と、言い返すような口調の返事になってくることも――。

ですので親は、これまでと違う子どもの言動に戸惑ったり、「反抗期は厄介!」だと感じたりするかもしれません。でもこれはむしろ成長に伴った自然な反応だと捉えてあげてください

広い心で❝成長の証拠❞と、受け止めてあげられるとよいでしょう

❝10歳の壁❞の対処法

我が家の場合は、そこまで大きな❝10歳の壁❞といわれるような反抗はありませんでしたが、これは逆に、子どもへのある声掛けのおかげかな…と思っていることがあります。

それは❝普段から当たり前のことを褒め続けていた❞ということです。
それは…
『学校行ってえらいな!』
『塾、頑張ってるやん』
『ほんまに一日、お疲れ様』
などなど。

毎日の❝当たり前❞を、褒め続けたからかなと、感じています。これは、10歳の頃に限らず、幼児から成人するまでずっと続けていました

次男が10歳のとき、“2分の1成人式”の作文で『お母さんへ。いつもごはん作ってくれて、掃除してくれて、洗濯してくれて、ありがとう――』って書いてくれたんです。親に対して❝親のする当たり前のこと❞を褒めてくれたことに感動しました

でも思えばこれは、私が息子たちの“当たり前”を、毎日褒め続けたからかなと、感じています。親の言動は、そのまま子どもから返ってくるもの。それを感じたエピソードです。

❝10歳の壁❞に悩んでいるご家庭、そしてこれから❝10歳の壁❞を迎えるかもしれないご家庭に伝えたいことは、親から見たら「そんなことできて当たり前」ということでも、子どもに対してはきちんと褒めてあげることが大切だということです。

これを繰り返して良好な親子関係を築くことで、❝10歳の壁❞も自然と乗り越えていけるのではないかと思います。

❝10歳の壁❞親のNG言動

とはいえ親は熱心になるあまり、強い口調になってしまうこともあるかと思います。つい言ってしまいがちな言葉の中でも、子どもの心を本当に傷つけてしまう、絶対に言ってはいけないものがあります。それは――

【つい言ってしまいがちなNG言動】
「もう10歳なのになんでそんなこともできないの?」
「どうせやらないでしょ」
「うそでしょ」
「〇〇ちゃんはできてるのに」 

など

つい言ってしまいがちな言葉ですが、このように比較や否定の言葉をかけると、結果的に子ども自身の❝自己否定❞につながってしまうのです。

【絶対に言ってはいけないNG言葉】
「あなたの顔も見たくない」
「言うことを聞かない子はお母さんの子じゃありません」
「あなたなんか産まなければよかった」

など

どんなにイライラしても、このような子どもの存在・人格を否定する言葉は絶対に言ってはいけません

子どもを叱るときは“行動”を注意することを心がけてみてください。“あなたが悪い”じゃなくて「その行動はこうした方がイイと思うよ」と伝えること。それだけで自己肯定感は守られます

あるお子さんの話です。
子どもが塾に行こうとしたとき「おなかが痛い」と言ったそうです。そのとき、お母様はつい「塾に行きたくないからうそついてるんやろ」と返してしまったんです。すると、その子は次の日から本当に塾に行けなくなってしまったそうです――。お母様は「塾行きたくなくてうそをついてる」「心配させようとしてる」といった心境だったのかもしれません。でも、後からわかったのですが、お子さんにとっては本当におなかが痛かったのに、親に信じてもらえなかった――。親子の絆が失われてしまったのです――。

このようなことは、現実に起こりえます。「つい」の一言が、子どもにとっては刃なのです。

だから、子どもの言葉をまずは、何を言っても信じてあげることが大切。もし「行きたくない」「やりたくない」など、何かを拒否するようなことを言うなら、必ず理由があります。そのとき保護者は、じっくり話を聞いてあげることが何よりも大切です。

次に、ありがちなのは夫婦げんかです。
親同士のピリピリした空気を、子どもはものすごく敏感に感じ取ります。たとえ子どもの前で直接言い合っていなくても、その雰囲気から「パパとママがけんかしてるのは自分のせいかも……」と思ってしまい、精神的に不安定にさせてしまうことがあります。

もちろん夫婦間のやりとりですから、けんかをしないということは難しい部分もあるかと思いますが、せめて子どもが寝てからにしてあげてください。子どもに伝わってしまう夫婦げんかは注意が必要です。

子どもにとって家庭は❝安心できる場所❞であることが何より大切です。

中学受験を意識し始めたときに大切なこと

ポイントは、❝塾に入る前に勉強を好きにしておく❞ことです。ではどうすれば、自ら勉強し、学ぶことが好きな子になるか?→❝親子関係が良好であること❞です。これに尽きます。

≪関連記事≫【自ら勉強する子に育つ!】魔法の「ぺたほめ」子育て術とは⁉/藤田敦子さんの“賢い子”を育てるポジティブ教育法

勉強を、親に言われるからやる・やらされる、と子どもが感じてしまうと、本当の意味での勉強を頑張れる土台ができず、このあとの高学年……中学・高校と、ただただ勉強が大変で辛い時間になってしまいます。だからこそ10歳頃までは特に❝結果よりも過程❞をしっかり認めて褒めてあげてください

【過程を認める声掛けの例】
「ここまでよく頑張ったね」
「ちょっと疲れたね、休もっか」。
「学校行ってえらいね」
「習い事がんばってるね」

このように親から子どもの気持ちを尊重する関わりが、のちの学習意欲を大きく支えます。

塾に行きはじめたら、すぐに試練が待っています。怒らないようにしようと思っても、テスト・模試・宿題などの課題で、つい怒ってしまうことが急増するかもしれません。そうなって子どもが「しんどい」「イヤだ」と思ったときに、本音を話せる親子関係が大切です。それが、勉強だけでなく、人生全体を支える“土台”になります

中間反抗期❝10歳の壁❞の今こそ、親子の時間を大切にして“親子の絆”を深めてください。


今回は、藤田さん流の❝10歳の壁に差しかかった子どもへの接し方❞についてお伝えしました。

次回12月は、『お正月におすすめの親子の過ごし方』をお届けします。その後も学習や受験へのアドバイスをはじめ、子育ての悩み相談まで、さまざまなテーマで藤田さんにお話を伺っていきます! お楽しみに♪

この記事の監修・執筆者

一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会 代表理事 藤田 敦子

一般社団法人日本ぺたほめ®アカデミー協会代表理事。ぺたほめ®医専アカデミー代表。日本心理学会認定心理士・日本心理学会正会員。同志社大学文学部心理学専攻卒業。

息子二人を洛星中学校・高等学校卒業後、京都府立医科大学医学部医学科現役合格(現在は二人とも現役医師)に導いたシングルマザー。現在は、ご自身の子育てで培った「ぺたほめ®教育法」で多くの保護者から教育・育児相談を受けている。

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