「生き物といっしょに暮らすと思いやりが育つ」「命の重みがわかる」など、生き物の存在が子どもの成長に与えるものは少なくないはず。とはいえ、実際に生き物を家に迎え入れるには責任が伴います。実際に生き物と暮らしている家庭は、どんな思いで、何がきっかけで生き物を迎え入れたのか、アンケートで聞いてみました。
いつ、どんな生き物を飼い始めた?
生き物を飼い始めたタイミングでいちばん多かったのが「子どもが入学したタイミング」。子どもがある程度、自分で自分のことをできるようになってから、生き物の飼育を考える家庭が多いようです。
または、「子どもが生まれる前から猫といっしょに暮らしていた」など、もともと生き物が家にいることが自然だったというケースも。
いずれにしても、子どもが生まれてから、生活習慣が自立するまでの間に生き物の飼育を始めるのは避ける傾向にあるようです。
それだけ、どの家庭でも「命に向き合う」ことをきちんと考えていることがうかがえますね。
飼育している生き物は多種多様で、「犬」「猫」だけでなく、「メダカ」「カブトムシ」「クワガタ」「金魚」「ハムスター」などなど。どんな生き物でも、命であることには変わりありません。子どもがお世話をすることで、生き物に対する愛情も芽生えてくるようです。
生き物と暮らし始めたきっかけは?
5人家族のAさんは、「3人きょうだいが全員小学生になったタイミングで」金魚とカブトムシを飼い始めました。金魚はお祭りの金魚すくいがきっかけだそう。お祭りの金魚が思いのほか長生きで、巨大化しちゃった、というケースはよく耳にします。イベントのゲームで手に入れたといっても、命は命。家に迎え入れたら大切に育てるのは基本ですね。また、カブトムシは、子どもの友だちが幼虫をたくさん育てていて、もらってほしいと言われたのがきっかけ。友だちが愛情をこめて育てた幼虫ですから、なおさら愛着がわきそうです。
中学1年男子、小学5年女子、小学3年女子の3きょうだいがいる5人家族のBさんは、昨年の夏にゴールデンレトリーバーの子犬を家族に迎え入れました。「もともとは、子どもたちが小さいころから猫を飼いたいと言っていたのですが、子どもたちが自分のことを自分でできるようになったタイミングで、思い切って犬を飼い始めました」ということ。まだ、飼い始めたばかりで、てんやわんやの毎日だそうです。犬も家族も生活に慣れるまでに時間が必要なのかもしれませんね。
小学5年女子と小学1年男子のきょうだいがいる4人家族のCさんは、1年半前に小型犬を飼い始めました。小さいころから「犬が欲しい」と言っていた小学5年生の娘さんが、自分なりに犬について勉強している姿を見て、いつかは願いをかなえてあげたいと思っていたCさん。自分自身も在宅勤務ができる環境になったタイミングで決断しました。最初の半年ほどは、しつけがたいへんだったそうです。
小学6年生の娘さんがいる3人家族のDさんは、娘さんが生まれる1年前から猫を飼い始めたのだそう。仕事の帰り道に、たまたま子猫を拾って、そのまま家に連れて帰ったのがきっかけ。拾ってもらった猫ちゃん。よい家族に巡り合えてよかったですね。
生き物と暮らしてよかったことは?
娘さんが生まれる前から猫といっしょに暮らしていたというDさんは「育休中、煮詰まりそうなときに、猫が赤ちゃんに寄り添っている姿を見て肩の力が抜けた」とのこと。また、子どもが成長してからも、子どもを叱っていると、間に猫が入ってきて“ちょっと怒り過ぎたかな”と反省することも。犬や猫には、仲間が争っていると間に入る性質があるようで、「子育てを助けてもらっている気がしている」とのことです。娘さん自身も、友だちや小さい子が猫をかまおうとしたときに「それ以上しつこくすると嫌がるよ」などと接し方を教えていて、ことばが話せない動物の気持ちを慮っている姿が見られるようです。
3人の子どもたち全員が小学生になったタイミングで金魚とカブトムシを飼い始めたAさんは「お世話をするために、子どもたちが自分のことを早く済ませるようになった」と話します。朝、エサをあげたり、眺めたりしたいから、洗顔→朝食→歯磨き→着替えなどの作業を早く済ませて、登校までの時間にゆとりができたのだそう。お世話をするべき生き物の存在は、子どもたち自身の生活習慣を規則正しく整えてくれるようです。
アンケートでは、ほぼ全員が「お世話をすることで、自分より弱い物に対する接し方を学び、愛情を育むことができる」と話し、生き物を迎え入れてよかったという答えでした。
生き物と暮らすなかでたいへんなことも……
こちらもほぼ全員一致で「お世話には大人の関与が必須」という回答でした。さらには、家族旅行に出かけにくい、という声も。カブトムシを飼っているAさん一家は、旅行にカブトムシの虫かごを4ついっしょに連れて行ったそうです。
また、Dさんは「猫の体調が悪いとき、とても暗い気持ちになる」とのこと。うんちがトイレの外に出ていたり、家に猫だけのときに吐いていたりすることもあるそう。生きている物ですから、しかたがありませんね。
これから生き物を迎え入れるなら……
生き物を家族に迎え入れた先輩たちにアドバイスをいただきました。
「やはり、命ですから、安易に勧めたくないという気持ちもありますが…。まずは自分がなぜ飼いたいのか、絶対に、何があっても最後まで面倒を見ることができるのか、よく考えてほしいと思います。そして、それでもいっしょに暮らしたいと思うのであれば、生き物と暮らすことは、きっとかけがえのない経験を与えてくれると思います」
「もし、子どもに生き物を飼いたいと言われたら、昆虫でも金魚でも、メダカでも、命がある生き物を今いる自然な環境から家庭に連れ込む責任があること、その責任をもって育てられるのか、ちゃんと話し合ってほしいと思います。きっと、子どもは先のことまではあまり見通せないから、絶対に責任をもって育てる、と言うと思いますが、途中で飽きてくることもあるでしょう。そのときに、叱るのではなく、大人がうまく子どもを導いて、身をもって責任をもって育てるということを実感できるようにするといいと思います」
「どんな生き物を迎え入れても、子どもにいろいろと教えることができるよう、親はその生き物のオタクになるくらい、情報を収集しておくと、親子で楽しめるのではないでしょうか。生き物とはことばが通じなくても、何か通じるものがあって、とてもすてきな体験になると思います」
「犬がいることで、家族みんながリビングにいることが多く、犬は癒しの存在です。とくに、夫は仕事から帰ってきたときに誰よりも犬がうれしそうにするので、幸せを感じているそうです。一方で、寿命がくるまで飼い続ける義務があり、お金もかかるので、生き物を飼うなら家族でしっかりと話し合って決断を。中途半端な気持ちで飼い始めることは控えたほうがよいと思います」
実際に生き物と暮らしている方々の声は、やはり説得力がありますね。これから、生き物を迎え入れようと思っているご家庭は、ぜひ参考にしてみてください。
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