保護者が子どもたちの様子を見ることができる授業参観。
子どもたちは朝からそわそわして、いつもの様子とは少し違うそうです。
授業参観について、長年教師を務めてきた教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
朝からハイテンションな子どもたち
授業参観やオープンスクールの日は、子どもたちにとって特別な日です。
6年生でも朝から落ち着かない感じです。
先生たちですら何となくそわそわしてしまいます。
ましてや1年生の子だと、朝からかなりのハイテンションで興奮している子がけっこういます。
参観の時間が近づくと、一段とハイな状態になってきます。
そして、いざお母さんお父さんが姿を現すと、そのテンションはマックスに達します。
落ち着かなくて座っている椅子をガタガタさせる子もいます。
授業中でも後ろをちらちら見て、お母さんお父さんを探そうとする子もいます。
中には授業そっちのけで体ごと後ろを向いて探す子もいます。
私が教えた1年生のA君は、授業中にお母さんを見つけて興奮してしまい、机をバンバン叩いて騒いでしまいました。
いつもは落ち着いてしっかりやっている子なので、私も驚きましたが、お母さんはかなりショックを受けた様子でした。
それで、私は授業のあとでお母さんに
「いつもはしっかりやっているんですよ。お母さんが来てくれて嬉しいんですよ。家で叱らないでくださいね」
と話しました。
このような例はよくありますので、みなさんも割り引いて見てあげてください。
本当にかわいいじゃありませんか!
お母さんお父さんが学校に来てくれたというだけで、うれしくて舞い上がってしまうのですから。
お母さんお父さんが大好きで、心を許しているからこその行動なのです。
中には心配なパターンも
心配なのはこの逆のパターンです。
つまり、普段の日より参観日の方がしっかりする子です。
もちろん、ただ単純に自分ががんばっているところを見せたいという気持ちでそうなるならいいのです。
でも、中には保護者が恐くてそうなってしまう子もいるのです。
私が教えた子ではありませんが、B君という子はまさにそうでした。
お父さんはとても厳格で箸の上げ下ろしにもうるさい人でした。
また、お母さんも常に小言が多い人でした。
B君はいつも家庭で緊張して過ごしていました。
そのかわり、学校では授業にも集中しませんし、係の仕事もやりませんし、友だちともけんかばかりしていました。
ところが、参観日はそうはいきません。
しっかりやっているところを見せなければ、家でどんな目に遭うかわかりません。
こういう状態の子は本当にかわいそうです。
親に素の自分を見せて甘えることもできません。
当然ながら、親に愛されているという実感も持つことができません。
家に帰ったらほめてあげよう
本来、家庭というものは安らぎの場所です。
家庭でリラックスして過ごせるから外でがんばれるのです。
大人でもうちにいるときはダラダラします。
子どもも同じです。
みなさんのお子さんは家でリラックスできていますか?
それとも緊張していますか?
ぜひ、前者であってほしいと思います。
最後にいくつかお願いです。
参観日のあと、家で子どもを叱ることがないようにしてください。
ちょっとくらいのことには目をつむって、ぜひ子どもをほめてあげてください。
ほめられる部分を探してたくさんほめてあげましょう。
その方が万事うまくいきます。
他の子と自分の子を比べないようにしてください。
隣の芝生は常に青く見えるものですから。
みんな違ってみんないいのですから。
子どもは子どもなりにがんばっています。
生まれてからまだ数年しか経っていないのに、けっこうがんばっているのです。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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