【学校に行きたくない】 家族や夫婦の不仲が、子どもの登校しぶりにつながる

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【学校に行きたくない】 家族や夫婦の不仲が、子どもの登校しぶりにつながる

これまでの記事で、登校しぶりになる原因として、子ども自身の性質や友だち関係、勉強など、さまざまな要因が考えられると伺ってきました。さらに、親子や家族関係が原因になることもあるそうです。今回は、「親」側の要因について、引き続き舟山由美子先生に伺います。

目次

家庭での心配事が登校しぶりに繋がる

子どもが学校に行きたがらない要因のひとつとして、「親に対する信頼度が低下している」ことが挙げられる、と舟山先生は言います。親としては、心がざわつく指摘です。

「これはよく言われることなのですが、親は日ごろから子どもの様子を感受性のアンテナを張りながらよく見て、その求めに応じて接することが大事と言われています。
例えば赤ちゃんがおっぱいを求めたら、それに応じてお乳をやり、おなかいっぱいになったようなら、そこでやめますね。親が、自分の様子をよく見て適切に授乳してくれる存在であることがわかると、そのことが子どもに『安定感』をもたらします。それによって、成長するにつれ、親から離れて外に出て行ったり、戻ってくることができるようになるという考え方です」

万が一、外で何かあっても、「安全基地」である親がゆるぎなく安定していれば、子どもは「いつでも安全基地(親)に戻れば大丈夫」という安心感をもって、多少の困難を乗り越えられます。しかし何らかの原因で安全基地がゆらいでいると、子どもは不安で外に出て行くことができません。
「こうした親の安全基地としての機能が低下していることが、登校しぶりにつながっているケースもあるように思います」(同)

安全基地の機能が低下しているとは、具体的にどういうことなのでしょうか?

「例えば親との死別・離別などのほか、両親の離婚や不仲、虐待、親が子どもに対して無関心あるいは否定的であったり、ほかのきょうだいと差別されるなどです。つまり、いつも必ず愛情をかけてくれるはずの人(親)から十分に愛情を得られないために不安になってしまうんですね」

また、子どもによっては、母親と姑である祖母の不仲といったことで不安になることもあるのだとか。子どもだから気がつかないだろうと思っているようなことが、案外原因になっているケースもありそうです。

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「問題行動」は、子どもからの何らかのメッセージ

「登校しぶり」に限らず、子どもに何らかの問題行動と言われることが起こった場合、それは子どもからの何らかのメッセージ・信号だと思って受け止めることがとても重要だと舟山先生は言います。

お父さんとお母さんのケンカが増えたりすると、それは子どもにも伝わります。子どもはそれが心配になりますが、言葉ではうまく表現できないため、登校しぶりなどに繋がるのです。親や家族のことが心配で学校に行けなくなってしまっていると考えられます。

そういった子どもの行動の裏にある本心をくみ取り、家族間の良い関係を築く努力をすることで、その先のもっと大きな問題、例えば思春期などの子どもの『荒れ』などを防ぐことにもつながっていきます」

低学年のうちの「登校しぶり」は改善しやすい

子どもの登校しぶりが数日続くと、「このまま学校に行けなくなったらどうしよう」などと、親自身もとても不安になってしまうもの。でも、あまり心配しすぎるのも禁物です。

「1年生の“登校しぶり”は、高学年の“不登校”とは意味が違います。特に夏休み明けは、心や体を学校のペースに取り戻すのに時間がかかっているケースが多いので、親はあまり焦らず、できるだけ気持ちに余裕を持つように心がけてもらえたらと思います」

1年生の登校しぶりの場合、多少時間がかかったとしても、まだ根がそれほど深くなく、親が真剣に子どもと向き合うことでよい方向に向かい、その後の経過も良好という場合がほとんどなのだとか。つまり、親がサポートすることで、事態を大きく改善させることが可能だということです。

「必要があれば、親が率先して動いて、周囲に働きかけましょう。その際に大切なのが大人の目線で落ち着いて物事を見て、行動することです」

子どもと同じ目線になりすぎて、感情的になってうろたえたりすると、子どもの不安も増すばかり。どっしりとした気持ちで構えて、子どもをしっかりサポートしてあげてください。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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