夏休みが終わり、また学校が始まりました。元気に登校している子が多いなか、長い休み明けには学校に行くのをしぶる子もいるようです。その原因は何なのか、そしてもし、わが子が学校に行きたがらなくなったらどうすればよいか、現役小学校教諭の舟山由美子先生に伺いました。
休み中の生活リズムの乱れが原因になることも
夏休み明けには、学校に行くのが憂うつになる子が多いと聞くと、不安になるママパパも多いでしょう。
「1年生の場合、ほとんどの子は学校が待ちきれなかった様子で、夏休み明けにうれしそうに登校してきます」と舟山先生。
とはいえ、やはり長い休みをきっかけに、学校に行きたくない子が増えるのは確かなのだとか。
夏休み明けに学校へ行きたがらなくなる子の傾向としては以下の3つが挙げられるそう。
①夏休み前から、学校に行きたがらない傾向があった
②睡眠不足が続くなど、夏休み中に不規則な生活を送っていた
③宿題をやっていないなど、うしろめたい気持ちがある
「②や③については、子どもは物事に対する柔軟性や対応力がないので、大人が考える以上に、不規則な生活のダメージを大きく受けます。夏休み前に教師が口をすっぱくして規則正しい生活をするように伝えたり、休み中のタイムスケジュールを書かせたりすると思いますが、これはそういう意味もあるんです」
夏休みは子どものためにと、旅行やプール、遊園地などと、親もめいっぱい計画を立てがち。その結果、毎日帰りが遅くなり、体力のない子どもはくたくたになってしまい、翌日も遅くまで寝てしまうという生活サイクルになってしまいます。遊び疲れで毎日ボーッとして、宿題が進まないということも…。この状態で新学期を迎えても、子どもが学校に行く気をなくしてしまうのも無理はありません。
「ただ、このような場合は、学校が始まって生活リズムを取り戻して行けば、収まることがほとんどだと思います」
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登校しぶりは、繊細で敏感なタイプに多い傾向が
少しやっかいなのが、①のケースだそう。
「もともと新しい環境になじみにくい子で、1学期の間も、友だちに何か言われたとか、先生と相性が悪いと感じるなど、学校生活に何かしら居心地の悪さを感じていた子は、夏休み明けに『学校に行きたくない』となりやすいです。1学期は大丈夫だったけれど、楽しい夏休みから学校での生活へ切り替えがうまくできず、登校しぶりが始まったというケースもあるかもしれませんね」
環境になじみにくい子に多いのは、いわゆる『心の段差のある子』と専門書などで表現されるタイプのことで
- やや慎重に育てられている
- 体で動くより頭で考えるタイプ
- いわゆる「いい子」
- 気持ちの切り換えが苦手
といった傾向があるのだとか。
「嫌なことなどがあると引きずりやすく、誰かに言われたことなど、一つひとつの物事に傷つきやすい、つまり敏感で繊細な子ということですね」
大事に育てられていることはもちろん悪いことではありませんし、心が繊細であることはその子の個性でもあります。しかし、学校を含めた家の外、つまり社会では、ときに子どもにとっては突風や横風が吹くこともあるので、そういった困難に対する対応力や乗り越える力をどう身に付けさせるか、親としては悩ましいところですね。
1年生のこの時期の場合、子ども自身の問題だけでなく、家庭環境が原因で学校へ行けなくなってしまうこともあるのだとか。
「私の経験では、夫婦間の問題が登校しぶりの原因になったケースもあります。お父さん、お母さんの仲が心配で親の元を離れられなかったのでしょう。そういったことは、担任や学校からは見えません。親もそれが理由だとは思っていなかったようで、これが原因ということに周りの大人はなかなか気づくことができませんでした」
ひと口に登校しぶりと言っても、その原因は実に様々で、複雑なケースがあることがわかります。このような原因から学校へ行きたがらなくなってしまった子どもに対して、大人はどう接したらいいのか、次回舟山先生に伺います。
この記事の監修・執筆者
ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。
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