【専門家に聞く】子どもの「泣く」を大解剖! 前編 「子どもが泣くのはとっても大事」

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【専門家に聞く】子どもの「泣く」を大解剖! 前編 「子どもが泣くのはとっても大事」

子どもが泣くと、「どうにかしなきゃ、と焦る」「責められている気がする」「いつまで泣いてるの!と叱ってしまう」という保護者は多いかも。でも、実は子どもが泣くってとても大事なことなのです。
子どもが泣く意味や理由、保護者の受け止め方を、東京家政大学教授・岩立京子先生に2週にわたって教えていただきます。今週は、「泣く」はどういうことか? 泣くことがどうして大切なのか、がテーマです。

お話/岩立京子(東京家政大学教授) イラスト/北村友紀

目次

子どもにとって「泣く」ってどういうこと?

あなたは最近、どんなときに泣きましたか?

うれしいとき、悔しいとき、悲しいとき、さまざまな場面で感情が高まって涙が出るのはだれにでもあります。

子どもにとって「泣く」ということは、とても大切なことです。

たとえば「大事なおもちゃが壊れてしまった」「ママやパパに叱られた」という悲しさ、「言いたいことがわかってもらえない」「ゲームで負けてしまった」という悔しさを感じたとき、「迷子になって不安なときにママに会えた」とほっとしたときなど、子どもは大泣きしたり、抱きついたりしてきませんか?

そのような、泣いて涙を流す行為は、「感情を放出させることで気持ちを和らげ、心を落ち着かせる」ことができることがわかっています。

泣く子と泣かない子の違いは?

3歳くらいまでは、ストレートに感情をあらわにして、大声で泣きます。

それが4歳くらいになると、周りの様子を見て泣くのを我慢したり、自分が悲しいんだと見せつけるように泣いたりと、コントロールするようになります。

感受性豊かな子はちょっとしたことでも傷つきすぐに泣いてしまったり、逆におっとりした子はちょっとのことでは動じなかったり…。感情の出し方の度合いは個人差があります。

保護者をはじめ、周りの大人から、「お兄ちゃんなんだから、泣いたらおかしいぞ」「泣かなかったね、えらかったね!」などの言葉を繰り返し言われることによって、「大きくなったら泣いちゃいけない」「泣かない人はえらい」と「大きくなったら泣いちゃいけない」という一般的な考え方を学びます

「泣く」ことの大切さって?

「泣く」ことで、気持ちを落ち着かせることができると書きましたが、子どもにとってはもうひとつ重要な意味があります。

子どもが、悲しい、悔しい、うれしいなどの感情を「泣く」ことで表すのは、信頼できる人に向けての、「受け止めてほしい」「助けてほしい」というアプローチです。

子どもは泣くことで、自分の思いを受け止めてもらって安心感を得、相手に対する愛着や信頼を築いていきます。

そのためには、「泣ける環境」があることが大切です。

子どもにとって「泣ける環境」とは、

子どもが依存できる人(信頼できる人、安心できる人)がそばにいて、自分の感情を素直に表現できる環境であること、そして、気持ちを受け止めてもらい、なだめてもらうことによって、安心感が得られる環境をいいます。

外に出ることは不安でも、「ここに帰れば安全だ」と思える場所があれば、子どもは自分から外へ探索しに行けるようになります。

子どもにとって「泣く」はとても大事なことで、高まった感情を泣くことで落ち着かせるだけでなく、受け止めてくれる人と愛着や信頼を形成していくことができることがわかりました。それができる環境は、子どもが外へ出ていく大切な原動力にもなっているんですね。

それがわかれば、保護者の「泣かせてしまった」という罪悪感も少しは薄れるのではないでしょうか。

後編は、年齢区分ごとに「泣く」を分析。それでも叱ってしまう、わかっていてもいつまでも泣かれていたらストレスがたまる、そんなときはどうしたらいいか、先生に伺います。

この記事の監修・執筆者

東京家政大学子ども学部子ども支援学科 教授 岩立京子

臨床発達心理士。東京学芸大学教育学部を卒業後、同大学大学院修士課程、筑波大学心理学系技官などを経て、

東京学芸大学教育学部、子ども学部教授を長年務め、現職。

発達心理学、幼児教育が専門。乳幼児の発達などを主に研究している。2児の母。

著書に「子どものしつけがわかる本」などがある。

 

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