楽々かあさんに学ぶ! 子どもによく伝わる「声かけ変換」【ママパパ自身のための声かけ編】

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「きょうも子どもに怒ってばかり…」
「なかなか子どもに伝わらなくて、思わず声を荒げてしまった…」
子育ての中で、日々の声かけに悩み、こんな思いをされているママパパは多いのではないでしょうか。

これまで2回にわたり、話題の「声かけ変換表」を作った“楽々かあさん”こと、大場美鈴さんに、子どもによく伝わる声かけ変換についてお伺いしてきました。
最終回となる今回は「ママパパのための声かけ編」についてご紹介します。

お話/大場美鈴(楽々かあさん)

目次

ママパパ自身のための声かけ変換で大切なこと

———ママパパ自身へも声かけ変換が必要なのは、なぜでしょうか。

お子さんへの声かけはもちろん、実は、「ママパパ自身の心の中をお片づけ」して、整えることはとても大切。 誰よりもまず、自分に優しくできなければ、子どもに優しくなんてできませんから。まずは、毎日がんばって、へとへとに疲れてしまった心と頭を整理していきましょう!

———たしかに、目の前の子どもを最優先するあまり、自分への声かけを忘れてしまっているママパパが多いかもしれませんね。具体的に、どんなことを意識したらよいでしょうか?

楽々かあさん:「完璧を目指さないこと!」…とにかく、これに尽きます(笑)。
子どもにも、自分にも、できないことや短所や失敗があることを、許して受け入れていく。このプロセス自体が子育てと同時に親自身を育てる、ペアレントトレーニングにもなります。

ママパパ自身のための声かけ変換 7選

No.1
Before…「自分はダメな親だ」
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After…「自分はがんばりすぎている親だ」

子育てを精いっぱいがんばっているママパパに必要なのは、いま以上の努力ではなくて、休息と手抜き・息抜き。自分を責めないで。

楽々かあさん:もしも今、精いっぱい、子育てをがんばっているつもりなのに、ちっともうまくいかなかったり、結局怒ってしまったり、子どもをかわいいと思えないときがあることで、自分を「ダメな親だ」と責めている方がいるのなら、「自分はがんばりすぎている親だ」と思い直してほしいですね。

たとえ、うまくいかないときがあったって、親が子育てをがんばってないわけじゃないんです。

そんなとき必要なのは、いま以上の努力ではなくて、休息と手抜き・息抜きですからね。

No.2
Before…「こんなこともできないなんて…」
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After…「でも、ここはできてたよね」

意識的に「自分のできているところ」を見る練習をしていると、子どものできているところにも気づきやすくなるんですよ。

楽々かあさん:子育てはその子の「できてるところ」を見るのがとても大事。
だからその前に、親自身が「自分のできているところ」を見る練習をしてみましょう。

責任感の強い親ほど、どうしても自分のできなかったことのほうが気になってしまうかもしれません。

でも、ひとり反省会をする前に、一日をトータルでよ~く思い出してみませんか…?

100点満点ではなくても自分なりにがんばれたこと、淡々とフツーにこなせたこと、お子さんが喜んでいたことなど、意外とあることに気づくはずです。

こうして自分の「できたほう」を見る練習をしていると、だんだんと子どものいい情報にも気づきやすくなりますしね。

No.3
Before…「子どものため!」
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After…「自分は自分、子どもは子ども」

「こどものため!」という言葉に、親は弱いもの。 でも、子育てを自分の「すべて」にしてしまうことは要注意!

楽々かあさん:親がわが子を特別に思う気持ちは、子育てのうえで大事な原動力になります。

ただ一方で、子育てを自分の「すべて」にしてしまうと、子どものことで一喜一憂したり、思いどおりにならないことに不安やイライラを感じたりしやすくなってしまうかも。

ある程度で「自分は自分、子どもは子ども」と上手に線引きできると、子どものできないことを目の当たりにしても、自分まで傷つかずに済みます。

実はこれが、親がどーんと構えるための極意なんですよ。

No.4
Before…「大丈夫です」
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After…「お願いしてもいいですか?」

ときには、人に頼る練習も必要。がんばり屋さんはとくに、です!

楽々かあさん:もし、困っているときに誰かが手を差し伸べてくれたら、強がらずに厚意を受け取って。

小さなことからでいいので、日ごろから人に頼る練習を積み重ねておくといいでしょう。がんばり屋さんはとくに、ですよ。
(もしも本当に手助けが不要なら、気持ちだけ受け取ればOK)

それから、自分で自分を孤独にしないこと。

親が疲れきって思いつめてしまったり、感情が暴走してしまったり…といった、子育ての「非常事態」は、自然災害と同じように「誰にでも起こりうること」です。

日ごろから、防災と同じく「心の避難訓練」を行い、いざというときのために頼れる人や、公的・民間の相談先のリストなどを作っておくといいでしょう。

日々の備えで結果が変わることもありますから…。

No.5
Before…「なにがなんでもこうあるべき!」
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After…「なるべく、こうありたいな」

完璧さを求める極端な言葉を意識的に緩めていきませんか?

楽々かあさん:大人に余裕がないと、子育てにプレッシャーを感じやすくなるかもしれません。とくに、最近は新型コロナや世界情勢など、先行きが不透明に感じられることが多いですから…。

不安感が強まると、つい、「絶対にこうしないと」「なにがなんでもこうあるべき」と、極端に思いつめて、自分と子どもを追い込んでしまうことも…。

こんなとき、まずは言葉から変えていきませんか?

「絶対」⇒「できれば」
「必ず」⇒「なるべく」

このように、自分の考えかたを縛りつけているものを緩めてあげると、息苦しさも弱まると思いますよ。 なにができても、できなくても、3食、食べて寝るだけで、子どもはちゃんと成長します!

No.6
Before…「がんばります」「がんばらせます」
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After…「できません」

自分のできないことを「できない」と認めるのは、とても勇気がいること。でも、なんでも一人で背負うことはないんです。

楽々かあさん:がんばってもどうしてもできないことは、親にも子にもあります(私もです)。これ以上はムリ! と思ったら、「できません」と正直に伝えていいんです。

きっぱり断りづらかったら、「ここまではできるけど、これ以上はできません」という線引きをして伝えるのも手。(私もPTAの雑用を「できる範囲」までは協力し、それ以上は断ってました)。

また、相手の期待に応えようとがんばりすぎると「都合のいい人」になってしまう可能性も。

自分のキャパシティを超える要求をされたら、ていねいかつ毅然と「ご期待に添えず申し訳ありません」と、とっとと白旗を上げてしまうのも処世術です。

子育ては長期戦です。途中で燃え尽きないように、気力・体力を温存してくださいね。

No.7
Before…「ちっとも理想どおりにできない」
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After…「これがこの子/わたしだからしゃーない!」

「努力では乗り越えられない壁」はある程度で「しゃーない!」とあきらめるのも手。その分、もっとすてきなところや、得意なことに目を向けたり、周りの人と助け合いながら回り道して歩くことができれば、なんの問題もありませんよ。

楽々かあさん:どんなに親ががんばっても、完璧な子にはならないし、そうする必要もありません。

第1回でもお伝えしたように、長所と短所はセット
それに、ちょっとくらい欠点があったり、ときどき間違いや失敗をしたりしても、お互いに人間なんだから当たり前。(かえってそれが、人間らしい魅力になっていることだってあります)

子育ては“妥協力”ですよ〜!

努力は大事ですが、ほどほどのところで手を打って「それがこの子」「それがわたし」と受け入れることができれば、肩の力が抜けていくんじゃないでしょうか。

楽々かあさんからのメッセージ

わたしはこのごろよく、難しい時代に子育てをしているなあ…と思います。少子化で「子どもという生き物」に触れる機会自体が少ない人も多いからでしょうか…。

泣いたり、笑ったり、はしゃいだり、ひっくり返ったり…。そんな、子どもが子どもとして当たり前のことをするだけでも、多くの親はすごく周りに気を遣いながら子育てをしているのではないでしょうか。

ここ数年からは感染症対策も加わって、してはいけないこと、しなくてはいけないことも随分増えてしまいましたよね。

こんなときだからこそ、まずは日々の小さな声かけを変換しながら、
「ダメなことよりも、やっていいこと」を、
子どもと親自身の「できないことよりも、少しでもできたこと」を、

意識的に見るようにするくらいでちょうどいいように思います。

世界がどんなに変わっても、どんな子も明るいほうに向かって、のびのびと育ってほしいなと願っています。

そして、お子さんと同じくらい、ママやパパ自身が自分のことも大事にしてくださいね。いつもがんばっている分、ときどき休んだり、手を抜いたり、サボったりするくらいでちょうどいいと思います。同時代を生きる子育て仲間として、同業者のみなさんを、心から応援しています!

この記事の監修・執筆者

うちの子専門家 大場美鈴

おおば みすず/楽々かあさん。子育てのかたわら、著述活動と子育てや日常生活のアイデアの情報発信を続ける。「声かけ変換表」がネット上で14万シェアを獲得して拡散し、話題に。著書に『楽々かあさんの伝わる!声かけ変換』(あさ出版)、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』(汐見稔幸 監修/ポプラ社)他がある。

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