保育園に入園するための「保活」。特に、職場復帰を考えている人にとっては、とても重要なことです。
今回は、ご自身の保活を経て、広く子育て支援を行っているAll About「子育て」ガイドでもある、山下真実さんにお話を伺いました。
まずは、「役所に行く」こと!
いよいよ保活スタート。効率よく進めるために何はさておき、役所に行きましょう。
認可保育園の案内冊子や申請用紙など、必要書類一式をもらえます。
育休明けの働き方などで必要な書類が変わるため、ダウンロードではなく、直接足を運んで確認することをおすすめします。
申し込み時期の役所は大混雑。生まれたばかりの我が子を抱えて、質問1つのために何時間も役所で待つ…という悲劇を避けるためにも、窓口が空いている時期(春~夏ごろ)に冊子をもらいにいき、質問もなるべく早く済ませておきましょう。
保活のコツは「時間をとる」「選択肢を広く」「指数の把握」
保活でやるべきことは多岐に渡りますが、大きく3つの視点から紹介します。
- 保活に充てる時間を増やす
- 園選びの選択肢を広くもつ
- 指数を正しく把握する
保活のスケジュール<時間を増やす>
保活のなかでも時間と労力がかかるのが、申し込み前の情報収集と園見学です。
おすすめなのは、子どもが生まれる前の妊娠中・産休中から動くことです。
とはいえ、もちろん無理は禁物。ハードスケジュールにならないように留意しつつ、下記スケジュールを参考にしてみてください。
(2020年7月出産予定の例)
4月 | 情報収集スタート |
5月 | 認可園などの見学予約(認可外園の見学予約も早めに!) |
6月 | 見学スタート/役所窓口でも情報収集 |
7月 | ベビー誕生? |
8月 | 体調を最優先に!(保活お休み) |
9月 | (保活お休み) |
10月 | 保活再開 |
11月 | 認可園4月入園の申し込み受付締め切り |
12月 | ↓ |
1月 | 1月~2月 認可園一次発表 |
2月 | ↓ |
3月 | 認可園二次発表 |
4月 | 0歳児クラス入園 |
入園申し込みは子どもが生まれてからでないと受け付けていない自治体が多いのですが、保活はなるべく早めにスタートすると気持ち的もラクでしょう。
ちなみに、申し込みクラスは、入園時(翌年4月)の年齢で決まります。申し込み時点では0歳でも、入園時点で1歳を過ぎている場合は1歳児クラスに申し込むことになります。
早生まれの保活はどうする?
保活の上では、申し込み締め切り日以降に生まれた子は、みんな「早生まれ」です。
上記の例では、締め切り日以降に生まれた場合、2021年の4月入園には申し込めず、年度途中の入園を希望して申請するか、1歳を迎える2022年4月に1歳児クラス入園として申し込むことになります。
※自治体によっては、早生まれさん用に別途申し込み枠を設定しているところも一部あります。
園の<選択肢>を広げるために行うこと
編集しやすいよう、パソコンやスマホで作成すると◎。
保育園名/住所/連絡先/自宅からの所要時間(最寄り駅と駅からかかる時間も)/見学日・実際に見学した日/クラスの定員
を記入します。
リストにすることで、家族で分担・情報共有しやすくなるので必ず作成しましょう。
通園可能エリアを広めに考える
選択肢を増やすため、「がんばれば行けるかな?」という範囲を一旦広めにとります。
自転車やバスを使うことを想定すればここも行ける…など、可能性を広げるのです。
ただ、子どもと一緒に毎日通うということが大前提なので、通い続けるのが難しそうな園まで候補に入れてしまうのは考えもの。見極めて絞り込むことをお忘れなく。
認可外も視野に入れる
「最終的には認可園に入りたい」と考える人は多いでしょう。ただ、待機児童の多い地域などでは、認可外園も含めて多くの選択肢を視野に入れることが大切です。
園選びについて、詳しくはこちらの記事で
-
「保育園」ってどういうところ?費用は?給食はある?幼稚園との違いって?園選びに備えてチェック!
▼保育園はどんなところ?保育園は、保育士の国家資格を持っている人たちが、子どもたちを預り、…
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最重要ワード<指数>算出の方法と戦略は?
指数の算出方法
「指数」とは、認可園の入園希望者を選考するときに用いられる数値のこと。
“月20日以上勤務し、日中8時間以上の就労が常態”等、保護者の働く状況などから、保育のニーズを数値化しています。
地域によって、点数や項目が異なりますが、大抵は役所でもらえる入園案内冊子に記載があります。または、各地域のホームページからも調べることができます。
該当する項目の点数(=基本指数)を算出し、さらに調整項目から加点・減点した総合点が、保活における皆さんの持ち点です。
これらの点数を自分で計算してみて、相違がないか、役所で確認してください。最終的には申込書をもとに役所で算出し、それに基づいて選考されるためです。
裏ワザはない! でも、戦略的に進めることはできる!
「役所に嘆願書を出すと入園率が上がるらしい…」こんなうわさを聞いたことがある人もいるかもしれません。
結論から言うと、一切関係ありません!
でも、自分の持ち点を把握することで、戦略的に園を選ぶことはできます。
コツは2点です。
過去の入園状況を聞いて、入園の可能性を確認する
①「保育園リスト」と「指数」がそろったら、リストを持って役所へ行き、指数の答え合わせをします。
②各園の、過去の入園した世帯の最低指数を聞きます。
※限られた時間の中で窓口担当者に聞いていくことになりますので、入園を希望する園はあらかじめリスト化しておきましょう。
※ただし、過去の指数を開示しない自治体もあるため、その場合は数字を言葉に置き換えて、「フルタイムの共働き世帯は、加点がなくても入園できていますか?」などと聞くのがよいでしょう。
- 自分の指数よりも最低指数が低い園からピックアップする
- 新設園を狙う(0歳児入園と同じ理由で、定員数を丸々募集することになるため、比較的入りやすい)
指数は上げようにも限度がありますが、そこで悲観するのではなく、保活にかける時間を多くとること、園の選択肢を広げること、さらに指数を参考にして園を選ぶことで、入園できる可能性を上げることは可能です!
結果発表後の大切なこと
認可園入園が決定した場合
希望通りに入園が決まったら、嬉しい気持ちとともに、入園準備で忙しくなります。
でもその前に、入る予定がなくなった認可外園に「申し込み取り下げ」の連絡をぜひ入れてください。
その認可外園に本当に入園したい人と、保育の合間を縫って確認の電話をする園の先生のために、ひと手間かけてほしいところです。
入園が叶わなかった場合
不承諾通知が届いたら、気持ちを切り替えて、次の行動に移りましょう。
保育園以外の選択肢としては、以下のことが挙げられます。
- 育休を延長する
- 親や親族にみてもらう
- ベビーシッターに依頼する
- 保育園の一時預かりを利用する
全ての人に当てはまるわけではありませんが、ベビーシッターに来てもらうことにより、加点がつく自治体もあります。
翌年の1歳児入園を目ざすなら、有利に運ぶことだってあるのです。
最後に山下さんから
やることがたくさんあるのに、どんどん締め切りの時期は迫ってくる…。心配や焦りで手が止まってしまうこともあるかもしれません。
ドキドキする気持ちは、私も経験者なのでよくわかります。でも、少しずつでも歩み続けることが結果を生む唯一の方法なので、とにかく一歩でも進めることが、安心材料になりますよ。
この記事の監修・執筆者
投資銀行やコンサルを経て、子育て環境を良くするベンチャー株式会社ここるくを創業。
子育てとキャリアの両立や保活についてのアドバイスに定評がある。
託児付きランチの「ここるく」代表
https://www.kokoruku.com/
All About「子育て」ガイド
https://allabout.co.jp/gm/gp/1287/
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