【宇宙をもっと知りたい!】隕石と小惑星

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宇宙ではさまざまな天文現象が起こっています。
時折、地上への落下がニュースになる隕石もそのひとつ。隕石の正体はなんでしょうか。
お子さんといっしょに天体現象に目を向け、宇宙への関心を育んでみてはいかがでしょうか。

目次

隕石ってなに?

宇宙の砂粒や岩石が地上に落ちてくる

夜空の星がすうっと動いて光の軌跡が見える流れ星。流星とも呼ばれるこの現象は、実際に星が動いているわけではありません。
太陽系の中で、地球と同じように太陽の周りを回っている小さな砂粒や岩石が地球と衝突することがあります。このとき、大気とぶつかると光を出します。地上からはこの光が見えるために、流れ星が光って見えるのです。流れ星の中でも特に明るいものを火球と呼びます。
小さい砂粒や岩石は大気中で燃えつきてしまいますが、大きなものは燃えつきず、地上に落ちてきます。これが隕石です。

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隕石の種類

隕石は成分で3種類に分けることができます。
石の成分でできているものを石質隕石、鉄でできているものを鉄隕石(隕鉄)、石と鉄が混じっているものを石鉄隕石と呼んでいます。
地上に落下した隕石は約94%が石質隕石で、鉄隕石は約5%程度です。ただ、鉄隕石は地上の岩石と見た目も重さもかなりちがうので、過去に落ちたものがよく見つかります。
隕石ができた年代はたいへん古く、多くは太陽系ができた約46億年から40億年くらい前のものです。そのため、隕石の分析は太陽系ができたころの様子を解明する手がかりになります。

隕石による被害

ほとんどの隕石は、私たちに実害をもたらすことはありません。大半の隕石は海や人がいない砂漠などに落ちるからです。
ごくまれに、家の屋根をつき破るなどの損害を与える隕石もあります。しかし、長い年月の間には、大きな被害をもたらした隕石もあります。最近では、2013年2月にロシア・チェリャビンスク州に隕石が落ちたことにより、ものすごい衝撃で多くの建物のガラスが割れ、約1500人がけがをしたそうです。
大きな隕石が落ちると大きなクレーターができますが、その跡は世界各地に残っています。約6500万年前に落ちた巨大隕石は、恐竜たちが滅びる原因になったとされるもので、メキシコのユカタン半島の地下に、直径約200kmものクレーターが発見されています。

巨大隕石が落ちた所にできたクレーター

隕石のもとは小惑星

太陽系を回るたくさんの小惑星

太陽系の火星と木星の軌道の間にはたくさんの小天体があり、太陽の周りを回っています。これらの小天体は小惑星と呼ばれ、大昔に太陽系ができたころに、惑星になれなかった岩石などだと考えられています。
日本の「はやぶさ」や「はやぶさ2」が探査したのも小惑星でした。

小惑星のほとんどは、数kmから数十kmの大きさ
出典:『学研の図鑑LIVE 宇宙』(Gakken)

地球に近づく小惑星

小惑星の中には、木星などの重力によって軌道が変えられたり、小惑星同士がぶつかって軌道が変わったりするものがあります。これらの中で偶然に地球に衝突し、地上に落ちてきたものが隕石なのです。つまり、隕石のもとは小惑星だということになります。

危険な「地球接近天体」

小惑星などの天体のうち、地球の軌道に近づく軌道を持つものを「地球接近天体(NEO)」と呼びます。
巨大な小惑星の場合は、地球に衝突すると、人類が滅びるほどの被害をもたらす恐れがあります。2023年1月27日には、その1週間前に発見された小惑星「2023 BU」が地球から約3600kmのところを通過して話題になりました。地球から月までは約38万kmはなれています。また、静止衛星は上空約3万6000kmの軌道を周回しています。この小惑星は、それよりもずっと地球に接近していたのです。

「地球接近天体」を監視するスペースガード

地球に接近し、衝突の危険がある小天体を探し、地球に衝突する恐れがあるかどうかを計算するため、1990年代から「スペースガード計画」がアメリカ、日本、オーストラリアなどの協力で行われています。
日本では、岡山県井原市の美星天文台に隣接する美星スペースガードセンターで観測しています。

地球に接近する小天体などを観測する美星スペースガードセンター

地球接近天体の衝突を防ぐ

小惑星の軌道を変えた「DART」探査機

将来、小惑星が地球にぶつかることがわかったら、その天体の軌道を変えて衝突を回避する計画があります。探査機を打ち上げて人工物を小惑星に衝突させて軌道を変え、地球にぶつからないようにするものです。
この計画は、アメリカのNASAが進めるミッションで、「DART」と呼ばれます。2021年11月に打ち上げられた「DART」探査機は、2022年9月に小惑星「ディモルフォス」にぶつかり、その軌道を変えることに成功しました。
人工物によって小惑星の軌道を変えることに成功したのは、世界で初めてのことでした。

小惑星「ディモルフォス」に接近する「DART」探査機の想像図
出典:NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

地球を守る技術が実証される

「DART」探査機が小惑星の軌道を変えることに成功し、地球を防衛する技術の実証ができました。2026年には、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の探査機「ヘラ」が、小惑星「ディモルフォス」に接近し、今回の衝突でできたクレーターを詳しく観測することが予定されています。小惑星の衝突を人類が防ぐなんてSFの世界のことのようですが、今や現実のものとなっているのです。

隕石から小惑星、地球接近天体のことを関連づけて知ると、宇宙の営みや私たち人類との関わりにも気づかされます。お子さんといっしょに、宇宙を身近に感じることができそうですね。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

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