学習習慣は、低学年のうちに家庭で身につける【家庭学習 前編】

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学習習慣は、低学年のうちに家庭で身につける【家庭学習 前編】

「家庭学習って、何をどれくらいやればいいの?」と不安になる保護者の方も多いはずです。そもそも家庭学習にはどんな意味や役割があるのでしょう。今回は、低学年のうちから家庭で学習習慣を身につけるためのコツを、小学校での教員経験もある帝京平成大学人文社会学部 児童学科の鈴木邦明先生にうかがいました。学校教育の最新事情も併せてお伝えします!

文/こそだってまっぷ編集部

目次

子どもたちに求められる学力観が様変わりしています

家庭学習の位置づけは、「学校教育の補完」と言っていいでしょう。ところで、保護者の方ご自身が小学生だったのは、30年ほど前でしょうか。実は、その間に学校教育は大きく変わっていることをご存じでしょうか。2020年度から小学校では新しい学習指導要領が実施され、大きな教育改革が行われています。つまり、子どもたちに求められる学力観が、30年前とは様変わりしているのです。

 また、GIGAスクール構想(※)のもと、子ども一人1台端末時代を迎え、自治体によってばらつきはありますが、学校ではパソコンやタブレットなどデジタル端末を使った授業が行われています。学習する内容も学習方法も、保護者の方が小学生だった時代から大きく進化している今、ご自身の小学生時代の体験に基づいた家庭学習の考え方はいったんリセットしてみましょう。

※GIGAスクール構想……全国の児童・生徒一人に1台のコンピュータと高速ネットワークを整備する文部科学省の取り組み。

お子さんの教科書を読んでみましょう

まず、お子さんが学校で使っている教科書をきちんと読んでみましょう。お子さんが学校で何を学んでいるのか、今の学年で何を学ぶのかをしっかり把握することがとても重要です。

何を学ぶのかがわかったら、家庭では、それに関連したことを見つけて、お子さんに投げかけてあげるように意識しましょう。

 たとえば、小学校2年生なら、算数で「量(かさ)」とその計算方法などを学びます。L(リットル)、mL(ミリリットル)などです。「この牛乳は500mL(ミリリットル)入りだね。こっちは1L(リットル)だから2パック分だね。」というような会話で、学校の授業で習ったことと生活をつなげることができます。今の学校教育では、学びと生活を結びつけることを重要視しています。ですから、お子さんが学校で何を学んでいるかを把握して、家庭でも日ごろからこのような働きかけをしていくことが大切です。

基礎的な学習だけでなく学びを深めるサポートを

「えっ、家庭学習って、漢字の書き取りや計算問題のプリントをやればいいんじゃないの?」と感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、新出漢字の書き取りをしたり、九九を覚えたりする基礎的な学習も必要です。ですが、今、学校では、基礎的な学習だけではなく、それらを使って何をするかを自分で見つけ、深めていくような教育を行っているのです。ですから、家庭でも

①基礎的な学習

②基礎的な学習をもとに自ら学びを深めていく

この二本の柱を意識してお子さんの学びを支えていきましょう。

興味を持っていることをきっかけに学びを深める

では、家庭で「学びを深める」ためには何をしたらいいのでしょうか。それには、お子さんが興味を持っていることをきっかけに学びを広げていくことが有効です。たとえば、サッカーが好きなお子さんなら、「ワールドカップに出場する〇〇〇〇という国は、世界地図のどのへんにあるのかな?」といった声かけをしてみます。興味を持っている分野なら、お子さんが自分で楽しみながら学びを広げ深めていくことができるでしょう。家庭でのこういった心がけが、今後の学習へ向かう姿勢の土台となっていきます。

学習習慣は低学年のうちに身につけておこう

小学校高学年になったとき、学習習慣が身についているお子さんと身についていないお子さんでは、大きな差が出てきます。お子さんが自分から楽しく学ぶためにも、低学年のうちに家庭で自分から学習に取り組む習慣を身につけておくといいでしょう。

「学校から帰ってきたらやることリスト」を作る

お子さんが学校から帰ってきたときに保護者の方が不在だと、すぐにゲームなどをして遊んでしまいがちです。子どもは、やらなくてはいけないことがあるとわかっていても、つい忘れてしまうものです。そこで、まずルールを作り、それを目に見える形にすることから始めましょう。

下校後、何をどんな順番で行うかを具体的に紙などに書いた「学校から帰ってきたらやることリスト」を作りましょう。それを壁などに貼っておく良いでしょう。目で見て確認できるリストを作ると、お子さんが実践しやすくなります。

たとえば、以下のようなリストです。

1手を洗う。

2学校から持って帰ってきた連絡帳をランドセルから出す。

3宿題をする。

4宿題が終わったら、好きな本を読む

……など。

(順番や内容はそれぞれのご家庭の事情に合わせて作りましょう。)

また、「やること」がひとつ終わったら、お子さん自身が印をつけていくような形式にすると、達成感を味わえるので効果的です。とくに小学校低学年のお子さんなら、終わった部分にシールを貼ったり、マグネットのようなもので印をつけたりする作業性があると、楽しく取り組めるのでおすすめです。

「やることリスト」はお子さん自身が決めて、自分で書く

 重要なのは、「やることリスト」は、親子で話し合って決め、できればお子さん自身が書くと良いでしょう。子どもは自分が決めたルールなら守ろうとします。これを毎日続けてみて、うまくいかないような部分が出てきたら、お子さんの意見を聞いて微調整していきましょう。

 自分で決めた「やることリスト」があると、それに沿って自分で取り組めます。慣れてきたら、「やることリスト」の中に具体的な学習目標(たとえば計算問題を〇問やるなど)を追加していくといいでしょう。このときもお子さんと話し合って決めてください。

このように毎日決まった段取りの中で机に向かうようにすると、勉強への抵抗感が減って、自分から学習する習慣が身につきます。 

家庭学習の時間は、一般的に学年×10分と言われています

「小学生って家庭でどのくらい勉強したらいいの?」と悩む保護者の方も多いようです。一般的には、学年×10分間と言われています。たとえば、小学校2年生なら「2学年×10分=20分間」ということになります。これも、それぞれのお子さんによって異なりますので、あくまでも目安と考えてください。

 家庭では、まず、学校の宿題を最優先に行いましょう。宿題がない日は、基礎的な学習、いわゆる計算や漢字の書き取りなどを1日にどのくらいやるかを親子で相談して決めておきます。最近は、市販されているデジタルの学習教材アプリも豊富です。1日に取り組む分量などを決めやすいので、お子さんがやってみたいと望めば、取り入れてみてもいいでしょう。

 ただ、冒頭にお伝えした通り、机の前にすわって教材に取り組むだけが家庭学習ではありません。学校ではできないことに取り組むのも家庭学習の重要な役割です。お子さん自身が興味のあることを楽しみながら深めていけるようにしっかり支えてあげてください。

この記事の監修・執筆者

帝京平成大学人文社会学部 児童学科講師 鈴木邦明

東京学芸大学教育学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了。公立小学校で22年間教諭を務め、現職。他に相模女子大学学芸学部非常勤講師、人間総合科学大学人間科学部非常勤講師なども務める。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進め、保護者や教員向けに執筆や講演活動を行う。

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