【音読にもつながる!】親子で声に出して読みたい絵本

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年長さんともなると、園では1番のお兄さんお姉さん。絵本も、どんどん長いお話を聞けて、楽しめるようになっていることでしょう。そこで、絵本の1つの楽しみかたとして提案したいのが、親子で声に出して絵本を読むことです。絵本の言葉を声に出すことが楽しくなると、言葉への興味・関心も高まり、小学校の音読も抵抗なく取り組めそうですね。JPIC読書アドバイザーで保育士の井出ひかるさんに、声に出して楽しみたい絵本を紹介していただきます。

お話:井出 ひかる(JPIC読書アドバイザー・保育士)
文:田中 絢子

目次

絵本は読んでもらって、一緒に声に出して

ひらがなが読めるようになってくると、「文字を覚えるためにも、ひとりで絵本を読ませたほうがいいのかな?」と思われるおうちのかたもいらっしゃるかもしれません。

字が読めるようになっても読み聞かせを

しかし、「絵本は読んでもらうことで、より楽しめるものです」と井出さんは教えてくれます。

「ひらがなが読めるといっても、絵本の文字の大きさ、字体、文字数などは、お子さんが読むには適してない場合も多いのです。1年生のこくごの教科書を思い浮かべると、子どもが自分で読むのに適した文字や文字数についてはよくわかると思います。

私は、おはなし会などで保護者のかたに“絵本は字が読めるようになっても読んであげてくださいね”とお伝えしています。絵本は、読んでもらうと絵をしっかり見ることができて、よりお話の世界に入っていけるからです。

さらには、読み手の声に癒やされたり、読み手に親しみを感じたりもします。このように、絵本は人との関わりも大きいものですから、お子さんとの絵本の時間はぜひ大切にしてほしいと思っています。」

声に出して絵本を読むと、なぜいいの?

では、親子で声に出して一緒に絵本を読むことが、なぜおすすめなのでしょうか?

「子どもたちは、楽しいこと、大好きな人のまねをすることが大好き! 大人が楽しんで絵本を読んでいると、繰り返しの言葉や何度も読んだ絵本は、声を出して一緒に読んでくれます。一緒に息を合わせて声を出すのは、一体感も生まれ、とても気持ちのいいことです。

また、聞く・見る・声を出すなど、いろいろな感覚を使うことで脳が刺激されるので、言葉の発達や記憶力の向上につながり、文字への興味関心も広がります。

親子で「声に出して読みたい」絵本5選

声に出して一緒に読みたい、楽しい絵本を井出さんに教えていただきました。おすすめポイントとともにご紹介します!

まめうしくんとあいうえお

(PHP研究所 あきやまただし/作・絵)

「あいうえお」を語感で楽しむ絵本です。まめうしくんのまねをして、大きな声や小さな声で言ってみたり、怒ったり、変顔をしたり……。「あいうえお」ってこんなに表情豊かなんです。ぜひ顔や体を動かしながら、「あいうえお」と仲良くなってくださいね。

おえかきしりとり

(講談社 新井洋行、鈴木のりたけ、高畠那生、よしながこうたく/作・絵)

「絵しりとり」をしたことはありますか? とっても楽しくて盛り上がります。そんな「絵しりとり」を絵本作家さん4人が絵本にしました。絵のしりとりなので絵を見て言葉をつなげていくのは読み手です。何回も楽しむと声をそろえて唱えるように楽しめますよ。年長クラスで楽しんだときは、子どもたちが絵本のしりとりを唱えてうれしそうに歩いている姿が見られました。最後のページには答えも載っているのでご安心ください。答えを見ながら、文字に親しむこともできます。

おもしろ あいうえおかるたの え本

(学研プラス とよながもりと/作)

「えっ!」と、大人も思わずププッと笑ってしまう読み札と絵にツッコミを入れながら楽しめます。もちろん、かるたなので、読み札を読んだら家族で絵を探して遊んでくださいね。読み札と絵を考えるページもあるので、毎回楽しい回答が聞けるかも。かるたは、読み手になるのも子どもたちの憧れです。きっとすぐに「次は、読むから取ってね!」と言ってくれますよ。

ことばのこばこ

(瑞雲舎 和田誠/作・絵)

言葉遊びが全部で18種類入っています。リズムとセンスのある言葉をぜひ声に出して読んでください。説明はありませんが、絵や言葉の色をヒントに楽しめます。何度も楽しんだら、今後は好きな言葉遊びをお子さんと作ってみませんか? 例えば「あいうえお」のページをまねして、お子さんの名前で文を考えてみるのはどうでしょう。声に出して、みんなに聞いてもらいたくなるはずです。

きょうはなんのひ?

(福音館書店 瀬田貞二/ 作林明子/絵)

最後にお話の絵本をご紹介します。最近この絵本を紹介すると「子どもの頃、大好きで何度も読んで、“きょうはなんのひ? ごっこ”もしました」とうれしそうに教えてくださるかたも多いです。

お話の中に出てくる手紙をわくわくしながら聞いても、一緒に考えながら読んでも楽しいです。楽しんだあとは、ぜひ“きょうはなんのひ? ごっこ”もしてみてください。まずはプレゼントが届く2〜3枚の手紙をお子さんに用意するのはどうでしょうか? 自分で読んでみたくて、読めない字も読めるようになるかもしれませんよ。ちなみに、絵本に出てくるプレゼントの紫水晶はリュウノヒゲ、ルビーは南天の実です。どちらも冬になる実なので探してみてはいかがでしょう。

文字が読めなくても、絵本に親しむにはどうすればいい?

絵本に興味がない、また、まだ文字が読めないというお子さんも、もちろんいらっしゃるでしょう。興味・関心や成長には個人差があるので、「入学前だから」と焦って本を読ませようとしたり、文字を覚えさせたりする必要ありません。でも、絵本を好きになってほしい、言葉の力を育んでほしいと思うのが親心。そんなお子さんが、絵本や文字に興味を持つことにつなげていくには、どうにすればいいのでしょうか。

好きなものが出てくる絵本を読んでみよう!

「まずは、お子さんが好きなことや物、食べ物などが出てくる絵本を読んでみましょう」と井出さん。中でもおすすめの方法の1つが、図書館を利用することだと言います。

お子さんの図書館カードを作り、専用の本を入れる袋にカードケースを付けて、お子さんが自分で選んだ絵本を、自分でカウンターで借り、自分で持って帰るのです。「自分で選んで借りた」ことで、より本に親しみも感じるようになります。

「おうちにある絵本を借りたがることもあるかもしれませんが、同じ絵本を並べてめくるのも楽しいものです。図鑑ばかり借りたり、対象年齢に合っていない絵本を選ぶこともあるかもしれませんが、選書はお子さんに任せてくださいね。そして、お子さんが選んだ絵本や本を面白がって一緒に楽しみましょう。思っていた内容と違ったときも、“この表紙(ページ)が好きなんだね”と、そこだけ楽しんでもいいのです。定期的に借りることで楽しめる絵本も増え、絵本のある生活が自然になり、文字に親しむことにもつながってくるでしょう。

手作り絵本もおすすめ!

井出さんは、親子で手作り絵本を作ることもおすすめしているそうです。

「メモをホチキスで留めるだけの簡単なものでもOKです。絵は描いてもいいですし、好きなチラシから写真などを切り抜いて貼ってもいいんです。お子さんと書く言葉、描く絵を考えて作ると楽しいですよ!」

絵本を通じたコミュニケーションを大切に

絵本を通じたコミュニケーションは、おうちのかたにも、お子さんにも、豊かな時間を運んできてくれるものです。そう考えると、お子さんが文字を読めるようになったからといって、絵本の読み聞かせをしなくなってしまうのは何だかもったいないですね。

楽しいから一緒に読む。楽しいから一緒に声に出す。声に出して読むことに楽しさを感じられるようになれば、小学校での音読にもスムーズにつながるかもしれません。でも何より、絵本を通じて、親子で笑顔あふれる時間を過ごせるのはとっても素敵なことですね。ぜひ楽しい絵本に、たくさん出会ってください!

この記事の監修・執筆者

JPIC読書アドバイザー・保育士 井出 ひかる

いで・ひかる/児童老人福祉センター勤務。親子や本に関するイベント、育児サークル、幼稚園、乳児院、小学校などで「子どもと楽しむ絵本・遊び・おもちゃ」をテーマに参加の方々と楽しく活動中。

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