第2回となる今回は、【言葉】がテーマの幼児向け絵本と、読み聞かせに関するQ&Aを、保育士であり、全国で絵本の読み聞かせや絵本講座を行っている「聞かせ屋。けいたろう」さんにうかがいました。
お話/聞かせ屋。けいたろう
1 「言葉」がテーマのおすすめ絵本
せっかく読み聞かせをするのであれば、絵本で文字や言葉を覚えてほしいと思われる方もいらっしゃると思います。
ただ、絵本はあくまで楽しんで、心地よく感じ、読んでもらってうれしいものだと考えています。
「覚えさせる」のではなくて、絵本で言葉の楽しさを知ったり、絵本の言葉で遊んで親しんだりするのは大賛成!
きっと、その結果として、文字や言葉の知識がたまっていくことでしょう。
お子さんと一緒に、ワクワクしながら楽しんでみてくださいね。
※おすすめの年齢は、目安として参考にしてください。
おもしろ あいうえおかるたの え本
学研 作:とよなが もりと 定価1,540円(税込)
目安:3歳ごろ~
作者は、琉球張り子作家の豊永盛人さんです。脱力系かるたの魅力が、そのまま一冊の絵本になりました。力強く描かれたガラス絵と、力の抜ける読み札の絶妙な組み合わせは、大人も子どもも夢中になることでしょう。
変わり種ですが、この絵本をおうちの方と一緒におもしろがれるのも、確かな成長の証しです。
しりとりのだいすきなおうさま
鈴木出版 作:中村翔子 絵:はた こうしろう 定価:1,430円(税込)
目安:4歳ごろ~
なんでもしりとりの順番に並んでいないと気がすまない王さまのお話です。食べる順番も身の回りの物の順番も全部です! 困った家来たちは、ある日の朝ご飯を……。
家来たちの仕返しがほほえましくて、爽快で、何度も「読んで!」と言われる絵本です。しりとりの大好きな子どもになっちゃうかも。
ことばサーカス
アリス館 作:二歩 定価:1,540円(税込
目安:4歳ごろ~
風船使いのジョニーとマリー、ピエロのゾビゾビは、ことばサーカス団です。文字が書かれた風船を使って、世界中に不思議なショーを届けます。「は」と「な」がくっつくと「はな」。さらに「び」がくっつくと、どうなるかな……?
サーカスの司会者になりきって読んでも楽しいかも! 「よってらっしゃい みてらっしゃい!」
はやくち こぶた
瑞雲舎 作:はやかわ じゅんこ 定価:1,430円(税込)
目安:4歳ごろ~
定番の早口言葉から始まって、ページが進むにつれて、「はやくち こぶた」たちの物語も展開していきます。
早口言葉って、絵になっているとわかりやすいですよね。“竹垣”って、こういうものか!なんて。
2 気になる! 読み聞かせのQ&A
絵本の読み聞かせに関する質問を、けいたろうさんにお聞きしました。
Q1.子どもはあまり絵本に興味をもっていないようです。どうやって読み聞かせをすればいいですか?
A1.お子さんが好きなことが題材になっている絵本を読んでみて!
お子さんが興味をもっているのはなんでしょうか?
車? 電車? 恐竜? ダンゴムシ? 傘? オシャレ? お姫さま?
これらすべて、それを題材とした絵本があります。
興味のあるものが描かれた絵本を、読んでみたら、気に入ってくれるかも!
Q2.読み聞かせの時間をなかなか確保できません。毎日したほうがいいですか?
A2.好きな時に好きなだけ
「毎日」「毎晩」と気を張ることはありません。「好きな時に好きなだけ」でいいと思います。
ほっとひと息つけた時間に、そこに絵本があるとよいですね。各部屋に絵本が数冊ずつでもあったら、5分で読めるかもしれません。きっちり本棚に並んでいるより、絵本で散らかっているくらいでよいとぼくは思っています(笑)
Q3.読み聞かせが得意ではないのですが、子どもに読み聞かせをするときのコツはありますか?
A3.まずは大人が楽しんで!
まずは自分が楽しんでみましょう。大人が楽しんでいる様子は、子どもに伝わります。
自分好みの絵、好みのお話を選んでいいと思いますし、「今日はママが選んだのを読ませて!」でもよいと思います。
そして、声色や抑揚はつけてもつけなくてもいいし、上手じゃなくてもいいんです。その時間があることがうれしいのですから。
Q4.きょうだい一緒に読み聞かせをするなら、絵本はどちらに合わせればいいですか?
A4.それぞれ選ばせては
1冊ずつ選べると良いですね。
もしも今日は1冊しか読めない……なんて日は、歌絵本ならみんな一緒に歌えるかもしれません。
『おばけなんてないさ』や『もりのくまさん』『どんぐりころころ』など、歌詞がそのまま絵本になっているものがあるのです。
ほかに、お話の絵本でなく、「探す絵本」や「選ぶ絵本」もありますよ。
Q5.読んでいる最中に子どもが口をはさむので進まないのですが、どう対応するのがいいですか?
A5.「読み聞かせ」よりも「親子の時間」ととらえて
読み聞かせで何より達成したいのは、「触れ合いの時間」「親子の関わり」です。
それって、絵本を開いて二人がそこにいるだけで、実は達成しているんです!
つまり、ご質問のように子どもが「これは何? これ知ってるよ!」と言い出して話が進まなくても、「これはこれで、いい時間なんだな。一緒にお話ができてうれしいんだな」と思えると素敵です。
そんな風に一緒にいられる時間って、長い人生でほんのわずかなんですよ。
読んでみたい絵本はありましたか?
質問の回答も参考に、ぜひお子さんと読んでみてくださいね。
次回は4月26日(火)更新予定です。
第3回は、「【ハッピー】がテーマの絵本と、聞かせ屋。けいたろうさんからのメッセージ」を紹介します。
どうぞお楽しみに!
この記事の監修・執筆者
夜の路上で大人に絵本を読み始めた、聞かせ屋。ホームページ:https://kikaseya.jp
延べ4ヶ月の渡米公演を経て、絵本を抱えて全国を駆け巡る。絵本の文章や翻訳も手がける。保育士。二児の父。
作品に『どうぶつしんちょうそくてい』『たっちだいすき』(アリス館)。翻訳作品に『まいごのたまご』(KADOKAWA)『パパとタイガのとびっきりキャンプ!』(教育画劇)など。
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