子どもの気持ちに寄りそう絵本[専門家監修]

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子どもの気持ちに寄りそう絵本[専門家監修]

お子さんの4月の入園・入学・進級で気になるのは、友だちとの関係ではないでしょうか。GWに読みたい、子どもの気持ちに寄りそう絵本を横山洋子先生に紹介してもらいます。

文/こそだってまっぷ編集部

目次

4月の入園・入学・進級から1か月。お子さんが新しい環境で楽しく過ごせているかどうか、おうちのかたは気になることでしょう。

中でも気がかりなのが、友だちとの関係かもしれません。
うまくやれていればよいですが、お子さんが悩む様子が見えることもあるかもしれません。おうちのかたからは聞きづらいし、お子さんはどう話せばよいかわからないこともあるでしょう。

いつもより親子でいっしょにいられる時間が多いGWには、絵本を通してお子さんの心に寄りそってみませんか?

幼稚園、小学校での教諭経験もある千葉経済大学短期大学部こども学科教授の横山洋子先生にお話を伺い、お子さんといっしょに読みたい絵本を紹介していただきました。

GW前後はお子さんの様子をよく見ましょう

お子さんの1か月を振り返って

「どのお子さんも、新しい環境に適応しようと、子どもなりにそれぞれがんばっています。
この1か月、お子さんは笑顔で過ごしていましたか? お子さんの『疲れ具合』『睡眠』『食欲』は常に気をつけたいポイントですが、環境が変わった今はなおさら、睡眠や食事の“質”にも気を配りましょう。

新年度の始まりを緊張して過ごしたでしょうから、GWには予定を詰め込みすぎず、『ひと休みしようね、のんびりしようね』という気持ちで迎えてほしいものです」

好きなことをたくさん楽しんで充電を

「少しのんびりしたら、お子さんが好きなことを思いきり自由にできる時間をつくりましょう。公園で思いっきり体を動かすのもいいし、ゲームだっていいし、動物園や水族館に行くのもいいでしょう。絵本や本を楽しむ時間もあるといいですね。

GWは大事な節目です。『この1か月、よくがんばったね』と認めてほめてください。おうちのかたのやさしい言葉がけで、お子さんはリラックスしたり、リフレッシュしたりできるでしょう。
それでも、GWのあと、登園・登校したくなくなるお子さんは時々います。何かあるなと思ったら、お子さんといっしょに対処方法を考えましょう

友だちのこと、プレッシャーになっていませんか?

友だちがいる・いないは、さほど重要ではありません

「GWのあと、登園・登校がつらくなってしまうお子さんの中には、友だちづくりや、友だちとの人間関係に問題を抱えている場合も少なくありません。
『仲良しの子は誰?』『友だちの名前は?』『友だちのことで何かあるの?』など、つい聞いてしまいがちですが、子どもにとってはそれが大きなプレッシャーになることもあります。

それに、一人でいるのが好きな子もいるのです。友だちがいなくても、自分なりの楽しみがあったり、没頭できたりすることがあればOK。だちがいなくてはいけないという呪縛から解き放ってあげたいですね

友だちのことで困っていたら、対応の仕方をいっしょに考えましょう

お子さんから話を聞き、友だちとうまくいかずに困っているなら、いっしょに対応の仕方を考えて、アドバイスを送りましょう。
友だちが欲しいのになかなかできない場合は、自分から話しかけること、自分から働きかけることを具体的に提案してはいかがでしょうか。

友だちをつくる近道は、“相手の喜ぶことをすること”です。話のきっかけをつくるために、『相手が喜んで、自分も楽しいことってなんだろう』『自分も相手も好きなキャラクターや絵本はあるかな』と考えたり、『いっしょにボール遊びをしよう』と誘ったりするのもよいですね。


自分から声をかけることにプレッシャーを感じるお子さんには、『話しかけられたときには、感じよく笑顔で対応するといいよ』とアドバイスするといいでしょう

握手する女の子たち

絵本で友だちとの付き合い方を疑似体験できます!

読み聞かせを通して、人間関係について学ぼう

「絵本のよいところは、疑似体験ができることです。友だちにどう声をかければいいかわからないとき、悪かったと思っているのに『ごめんね』と謝れないときなど、絵本にはいろいろな状況・場面が描かれています。

そして、おどおどしている子やいじめる子、自分に似ている子、いろいろな子どもが登場します。
絵本の中で躍動している登場人物たちは、人間関係で試行錯誤したり、問題解決をしたり……。子どもたちはそのひとつひとつを疑似体験して、自分の問題に取り組む際に参考にできるのです」

友だちのことで困っているお子さんの味方になる絵本

「友だちとのやりとりに苦手意識があるお子さんには、『友だちがテーマの絵本は楽しめないかも』と思うかもしれません。だからこそ、おうちのかたがいっしょに読んだり、読み聞かせしたりすることで、安心してその世界に入り込む手助けをしてあげてください。絵本で疑似体験したことは、きっとお子さんの力になることでしょう。

それでは、友だちのことを考えるためにおすすめの絵本4冊をご紹介します」

『ごめんねともだち』

『ごめんねともだち』の書影

偕成社 作/内田麟太郎 絵/降矢なな

「けんかするのは悪いことではありません。でも、『ごめんね』となかなか言えないこともありますよね。『ごめんね』は一言ですが、心を伝える大事な言葉だということが伝わります」

『そらをとびたかったペンギン』

『そらをとびたかったペンギン』の書影

学苑社 作/申ももこ 協力/shizu 絵/はやしみこ

「ほかの鳥の仲間と同じように空を飛びたいと思ったペンギンが、自分自身の特性を受け入れ、そんな自分を仲間も受け入れてくれる。他者を認めながら共存する視点が得られます」

『ひとりでぼっち』

『ひとりでぼっち』の書影

学研プラス 作/くすのきしげのり 絵/ふるしょうようこ

「友だちがいなくてもいいかなと思っているけれど、友だちがいたらもっと楽しいかもしれないと考えるきっかけになる絵本です」

『へなちょこ』

『へなちょこ』の書影

学研プラス 作/くすのきしげのり 絵/ふるしょうようこ

「なわとびができない主人公と、主人公に寄りそう友だちとの関係を描いています。友だちとの関わりが描写され、ダイレクトに伝わりやすいので、お子さんとの会話が弾むかもしれません」

この記事の監修・執筆者

千葉経済大学短期大学部こども学科 教授 横山 洋子

富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。

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