右脳を育てるなら6歳まで! 親子で楽しむ週末「右脳あそび」ステップ1
子どもの「右脳教育」が注目されていますが、実際にどういうことをすればいいのかよくわからない方や、少しハードルが高く感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、「幼児の右脳教育」を64年にわたり広めてきた「七田式」による、親子で一緒に楽しめる「右脳あそび」をご紹介します。
難しくとらえず、楽しみながら取り組んでみてください。
監修/七田厚(株式会社しちだ・教育研究所 代表取締役社長) イラスト/わたいしおり
右脳は感覚的で直感的な脳。左脳は分析的で論理的な脳
脳は、大きく「右脳」と「左脳」の2つに分けられます。人間は、普段から右脳・左脳の両方を使って生活していますが、人によってどちらかの傾向が強いことが多いようです。
右脳の傾向が強い人は、感覚的、直感的な能力に優れ、総合判断力が高い。図形や空間の把握が得意。芸術性のある楽天家。
左脳の傾向が強い人は、分析的で、論理的な思考に優れ、言語や計算などが得意。まじめで几帳面な努力家。
生まれてから幼少期までは、右脳で判断することが多く、直感的な行動が目立ちますが、3歳くらいになると、左脳が発達してきて、少しずつ論理的な考え方が育っていきます。小学校入学以降は、学力中心の教育になるために、左脳の発達が目覚ましくなり、逆に右脳は育つ機会が減っていきます。
そういったことからも、右脳を刺激して発達を促すのに適しているのが、小学校入学前の6歳くらいまでといわれています。
幼児期の子どもにとっての学びは、全て遊びから発生するといわれています。右脳の発達を促したいからと、勉強のように押し付けるのはNG。
「楽しい!」「おもしろい!」という気持ちを親と一緒に実感できることが一番です。親子で楽しい時間を過ごし、一緒に楽しむことを念頭に、右脳遊びに挑戦してみてください。
平日は絵本の読み聞かせや簡単なお手伝いを
今回、ご紹介するのは、平日に親子で楽しみたいことと、週末だけ取り組む「右脳あそび」です。平日は、家事や育児、仕事などで忙しく、時間に追われている保護者の方も多いと思います。
そういったなかでも、これだけは続けてほしいとお伝えしているのが、絵本の読み聞かせです。1冊でもいいので、毎日続けてあげてほしいことです。絵本の読み聞かせは、「ながら」や「片手間」でできることではありません。お子さんと一対一で向かい合い、顔を見合い、表情を確かめながら行うことで、子どもにとっては親の愛情を存分に感じることができる時間です。
もう一つは、簡単なお手伝いを日常の生活に取り入れることです。ゴミを捨てることや、片づけなど、日常の家事を分担することで、子どもの学びの経験にもなり、親から「ありがとう」といわれるうれしい瞬間にもなります。
週末は親子で「右脳あそび」を
「右脳あそび」は、3ステップで行います。
それぞれ1か月くらい取り組んでみて、次のステップに進みます。それぞれのステップで、いくつかの右脳あそびを紹介しています。その中から、1~2くらいずつ選んで挑戦してみてください。お子さんの年齢によっては難しいものや、あまり興味が向かないものもあるかもしれません。いくつか試して、気に入ったものを選びましょう。がんばり過ぎずに、楽しみながら取り組むことが大事です。
【右脳あそび】ステップ1 基礎概念を身につける
「色」「形」「大小」「数」「量」「空間認識」「比較」「順序」「時」「お金」といった基礎概念を身につけましょう。
基礎概念というと難しく感じるかもしれませんが、色では赤や青、形では丸い・四角い、量では多い・少ないなど、子どもが成長する段階で身につけていきたいことです。
これらを知ることで、「表現力」を学び、人に何かを伝えたり、人が伝えたいことを理解できたりして、他者とのコミュニケーションがとれるようになっていきます。
①形あそび
丸・三角・四角の物を探して遊びます。
まだ、丸・三角・四角の形の認識ができていないお子さんには、丸い物、三角形の物、四角い物を示しながら、「丸いお皿に載せよう」とか「四角い紙に書くね」「三角のおにぎり、おいしいね」などと、認識できるよう、具体的な物を示しながら伝えていきます。
丸・三角・四角の形が認識できたら、家の中にある物で形探しをしたり、出かけた先で探したりしてみても楽しいです。形をテーマにした絵本の読み聞かせもおすすめです。
丸・三角・四角の基本の形がわかってきたら、楕円形や正三角形、台形、星やハートなど、いろいろな形を見つけて、身の回りにはいろいろな形があることを認識させます。
②大小あそび
大きい・小さいを比べます。
最初は、「ぞうとあり、どちらが大きい?」とか、「お父さんと○○ちゃん(子どもの名前)、どっちが大きい?」など、大小の差がはっきりした物で比べます。りんごといちごなど、実物を見て比べられる物でOK。慣れてきたら、大小の差があまりない物でも試してみます。
2つを比べて大小がわかるようになったら、「中くらい」を教えます。3つの物の中から大きい物、小さい物を選び、残った1つが中くらいの物ということ。中くらいという認識は難しいので、初めのうちはわからなくても問題ありません。
また、大小の認識が明確になってきたら、高い・低い、重い・軽いなど、異なる表現で比べることにも挑戦してみましょう。
「お父さんと○○ちゃん(子どもの名前)は、どちらが背が高い?」とか、「お母さんのリュックと○○(子どもの名前)のリュックは、どちらが重い?」など、実際に比べられると、クイズ感覚で楽しくできます。
③数あそび
1~10まで数えます。
例えば、積み木やブロック、ミニカーなど、同じ種類のおもちゃを10個並べます。「何個あるかな? 数えてみよう」と言って、「いち、に、さん、し、ご…」と、数字を言いながら指をさして数えます。
数えられるようになったら、「5のブロックは何色かな」などと番号を指定してたずねます。階段の上り下りや、お風呂の中でなど、1~10まで声に出して数えてみましょう。
④量あそび
「多い・少ない」について知ります。
ジュース(お茶や色水でもOK)と、同じ形・大きさの透明のコップを2つ用意します。1つにジュースを入れて、「ジュースを半分に分けるね」と言って、もう1つのコップにジュースを入れ、「半分になったかな?」と聞きます。量に差をつけると、「こっちが少ない」「こっちが多い」という答えが返ってくるはず。最終的に半分になるよう、量を調節して遊びます。
何色かの色水を作ると、ジュース屋さんごっこ風に楽しむこともできます。
慣れてきたら、1/2、1/3など、分数を会話に入れてもいいでしょう。分数について説明する必要はなく、1つの物を2つに分ける、3つに分けるという概念を知るだけでOKです。
⑤色あそび
身の回りにある色を意識し、覚えます。
まずは、基本の3原色(赤・青・黄)から。「赤いいちごがおいしそう」「青いシャツが似合うね」「黄色い食べ物って何?」などと、身の回りにある物を例に挙げて、色と色の名前を一致させます。
また、虹の写真や絵本などを見せて、7色の色を指さししながら、それぞれの色を答えたり教えたりするのも効果的です。
身の回りにある物の色や、散歩しながら目についた色を次々に言っていくのもいいですね。12色の色鉛筆を見せて、子どもに好きな色を選ばせて、実際に描いて色を確かめるのもおすすめです。
⑥積み木あそび
積み木を積んだり倒したりして遊びます。
積み木は、色のついていないものがおすすめです。3歳未満の子どもは、2個の積み木を積むところから始めましょう。積み木を積んだら、「バラバラにしよう!」と言って勢いよく倒すと、盛り上がります。数を増やしながら、積んでは倒してを何度も繰り返します。
慣れてきたら親が積み木をいくつか積んで手本を作り、それと同じ形を作ることに挑戦してみましょう。
⑦順序あそび
好きなおもちゃを10個、2段に並べます。
親が「○○(おもちゃの名前)は上の段かな? 下の段かな?」とたずね、答えられたら「上の段の、左から何番目かな?」とたずねます。ここでも答えられたら、「そう、○○は上の段の左から3番目だね」と、言葉にして言います。
答えられなくても、指をさしながら「左から、いち、に、さん。3番目だね」と言い、一緒に確認しましょう。最初はうまく言葉にできなくても大丈夫です。
⑧お買い物ごっこ
買い物の際には、お金のやりとりがあることや、物には「高い」「安い」など値段があることを知ります。
おもちゃのお金(画用紙などで作っても)を用意して、おもちゃや絵本などを並べてお店屋さんを開き、お店屋さん・お客さん、どっちになるか決めて始めましょう。まずは、お店の人とお客さんとのやりとりを楽しみます。
慣れてきたら、200円の商品は、「100円玉を2枚、払うよ」「120円は、100円玉1枚と、10円玉2枚だよ」などと伝えます。計算がわからなくても、言葉にして伝えていきましょう。
本物の1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、500円玉の硬貨を並べて見せ、「5円玉と50円玉には穴が開いているね」といった特徴を伝えてもよいでしょう。
また、身近な物(お菓子など)が、どれくらいの金額で買えるのか伝えると、金額について少し理解できるかもしれません。
右脳あそびで大切なのは、子どもと親が楽しく取り組むことです。
日によって、気分が乗らない日もあると思いますので、そういう日は無理強いをせず、
楽しくできることを優先してください。
また、いろいろなあそびを通して、「うちの子は、こういうのが好きだったんだ」などと気づくこともあるかもしれません。
気に入った遊びを一緒に楽しみながら、子どもの個性や「好き」を見つけられると素敵ですね。
一緒に楽しみながら、子どもの才能の芽を育んでいけたらいいですね。
この記事の監修・執筆者
しちだ こう/「幼児の右脳教育」を広めた七田式の創始者、七田眞の次男。七田式の教室の運営や教材開発のほか、「たくさんの親御さんの子育てが楽になるように」という思いから、全国各地で講演を行い、子育てに悩む多くの親からの支持を集めている。
著書に、『七田式0~6歳の週末右脳あそび』(WAVE出版)、『忙しいママのための七田式「自分で学ぶ子」の育て方』(幻冬舎)など多数。
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