子どもの体、硬くなってませんか?~柔軟性を高めていいことづくし! おうち時間の親子ストレッチ~
おうち時間が増えたことで、外で思いきり体を動かして遊ぶことが減ったり、長時間のテレビやゲームなど、同じ体勢で過ごすことが多くなったりしていませんか?
体が硬くなってしまうと、けがをしやすくなったり、運動に対して苦手意識を感じてしまったりすることがあるのだそうです。
そこで、今回は『やわらかくなりたい!をたちまちかなえる即伸びキッズストレッチ』の著者、村山巧先生に子どもの体の「柔軟性」についてのお話を伺い、おうち時間に簡単にできる「親子ストレッチ」をご紹介いただきました。
お話:柔軟美トレーナー 村山巧
イラスト:石崎 伸子
体が硬いとどんなことが起きるの?
けががしやすくなる
「体が硬い」とは、筋肉や筋膜、靭帯、腱などの柔軟性が失われた状態のこと。
これらが硬くなると、関節の可動域が狭まってしまい、体を動かしにくくなってしまうため、けがの可能性が高まってしまうのです。
また、筋肉や靭帯のけがだけでなく、骨折など、骨に関わるけがにつながることも考えられます。
そこで、体を柔らかくするためにおすすめなのが、「ストレッチ」。
「ストレッチ」にはどんなメリットがあるのでしょうか。
“柔軟性”を高めるストレッチはいいことづくし!
① けがの予防につながる
日常生活で楽に体を動かすことができるため、けがをしにくくなります。
たとえ、転倒してしまったとしても、体が柔らかいので、受け身をとることができたり、体が伸びて大きなけがを回避したりすることにつながります。
② 将来の運動能力アップにつながる
柔軟性は、積み重ねによって高まっていくもの。子どものころから柔軟性を高めていると、体の可動範囲がより広くなっていきます。
すると、さまざまなスポーツや、体育の授業、部活動などで、のびのびと体を動かすことができるため、パフォーマンスの向上にもつながっていくといえるでしょう。
③ 血行がよくなり、体が温まる
ストレッチをすることによって、縮んでいた筋肉が緩みます。すると、関節を大きくスムーズに動かすことができ、筋肉のポンプの機能がより働きます。
その結果、血液の流れがよくなり、体をぽかぽかと温めることにもつながるのです。
④ リラックス効果が得られる
副交感神経が活性化するため、心身ともにリラックスした状態に導くことができます。
お風呂上がりの体が温まっているタイミングでストレッチをすると、より高い効果を得ることができますよ。
実践! おすすめの親子ストレッチ5選
1.肩回りのストレッチ
緊張すると肩回りがこわばってしまうことがあります。
まずは、肩回りをリラックスさせていきましょう。
- ママパパの足の間にお子さんを座らせます。
- お子さんの肩に両手を置いて軽く押さえます。
- お子さんは、肩に置いた手と反対側にゆっくりと頭を傾け、10秒数えながら深呼吸をしましょう。
- 反対の肩にも同様に行います。繰り返し行うと効果的です。
- 交代して、今度はお子さんが後ろに立ち、肩を押さえます。
【効いているところ】首から肩にかけての筋肉
ポイント
頭を傾けたあとに手を置くと効果はありません。
手で肩を押さえてから、頭を傾けましょう。
2.背面のストレッチ~おだんごのポーズ~
前屈をしようとしても、ひざが曲がってしまったり、力んで体を前に倒せなかったりしてしまう難しさがあります。
そこで、おだんごのポーズから始めるとチャレンジしやすいですよ。
- 体育座りをして太腿を抱え、顔は両ひざに埋めるようにします。なるべく、ひざと胸の隙間がなくなるようにくっつけて行いましょう。(おだんごのポーズ)
- 1の状態のまま、深呼吸をしながら、お尻を少しずつ後ろに下げていきます。すると、少しずつひざが伸びます。
- 可能なところまで、お尻を後ろに下げていき、30秒間体勢をキープします。3回ほど繰り返すとよいでしょう。
【効いているところ】首の後ろ、背中、お尻、太腿裏、ふくらはぎ裏といった、体の背面全体の筋肉
ポイント
親子で隣どうしに座り、「まねっこしてみてね」「おだんごのポーズをしてみよう」などと、いっしょに取り組んでもよいでしょう。
3.前面のストレッチ~あざらしのポーズ~
体の背面を伸ばしたら、今度は前面も同様に伸ばしましょう。
- うつ伏せに寝た状態から、両腕を立て、背中を反らせて上体を起こしましょう。(あざらしのポーズ)
- 顎を上に上げ、天井を見た状態で深呼吸をしながら10秒キープしましょう。これを3回ほど繰り返し行うと効果的です。
【効いているところ】首の前側、胸、おなか、前太腿といった体の前面の肉
ポイント
「天井がどこまで見えるかな?」「電気が見えたよ」などと声をかけながら、
いっしょに行ってみるのもよいでしょう。
4.側面のストレッチ
- 親子で同じ方向を向き、隣に立ちます。
- ママパパは、お子さん側の片腕を柱のように固定します。
- その腕をお子さんは、両手で順手になるようにつかみます。
- ママパパは、お子さんの体の側面が伸びるように柱の腕を優しく横へ引っ張り、10秒キープしてみましょう。
- 反対の側面も同様に行います。
【効いているところ】腕、脇の下、脇腹の筋肉
ポイント
お子さんの腕をつかんでしまうと、引っ張ったときに転倒させてしまう恐れがあります。
お子さんの身長に合った位置に片腕を柱のように固定し、つかませると安全に行うことができます。
5.胸のストレッチ
- 向き合って座り、お互いの脇の下のひだを反対の手でつかみます。
- 脇をつかまれた側の手をゆっくりと大きく、後ろに20回まわします。
- 同様に反対側も行いましょう。
【効いているところ】胸と脇の下の筋肉
ポイント
- 脇の下には、前側のひだと、後ろ側のひだがあります。前側のひだをつかんで行うと大胸筋(胸の筋肉)を、後ろ側のひだをつかむと大円筋(脇の下の筋肉)を伸ばすことができるので、慣れてきたらそれぞれチャレンジしてみましょう。
- 脇の下は、さわられるとくすぐったい場所なので、お互いに確かめ合いながら、力を調整してくださいね。難しい場合は、自分でつかんで行ってみるのもよいでしょう。
ストレッチで気をつけたいこと
息は止めない
息を止めてしまうと、体に力が入って緊張状態になり、体が伸びにくくなってしまいます。
深く、ゆっくりと深呼吸を続けることによって、体をリラックスさせた状態で行うと、より効果的なストレッチにつながりますよ。
「痛い!」はNG。「気持ちいい」感覚を大切に
痛くなるまで無理をしてしまうと、体を痛めてしまったり、伸ばすことに苦手意識を植えつけたりしてしまうかもしれません。
体が伸びて「気持ちいい~」という感覚がベストです。親子で確認し合いながら、気持ちのいい感覚を楽しんでストレッチができるように心がけましょう。
ポジティブな声がけを
「あなたは体が硬いんだからがんばりなさい!」
といったネガティブな声がけをしてしまうと、体がこわばってしまい、伸ばすことができません。
「これから柔らかくなるんだよ」
などと、前向きな言葉をかけることによって、いい未来を想像することができると、ストレッチがより楽しい時間になるでしょう。
村山巧先生からのメッセージ
ストレッチと聞くと、痛そうに思えたり、苦手意識を感じたりする方もいるかもしれませんが、まずは「楽しむ」ことが一番です。
今回紹介した親子ストレッチをきっかけに、少しでも体を動かすきっかけになったり、体のいい変化を感じたりすることにつながっていけばいいなと思っています。
また、親子でストレッチを楽しむことによって、スキンシップを感じたり、コミュニケーションを楽しんだりする時間にもなります。その時間が、家族の絆をより深めるものになればうれしいです。
ぜひ、おうち時間にチャレンジして、楽しい時間を過ごしてください。
この記事の監修・執筆者
むらやま たくみ/元々硬い体だったが、大人になってから自身を実験台に柔らかくなる方法を追求。銀座のスタジオを拠点に出張指導によるクラスを全国で開催。プロフィギュアスケーターやチアダンサー、新体操選手の指導経験ももつ。親子向けの著書として『やわらかくなりたい!をたちまちかなえる即伸びキッズストレッチ』(大和書房)がある。
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