近頃は、大人も子どもも少しでも暇があるとスマホやタブレットを見てしまい、ぼうっとする時間が少なくなったように感じます。
最近の脳科学によると、ぼうっとしている時にひらめきがやってくるそうです。お子さんにぜひ「ぼうっとする時間」を作ってあげてくださいね。
ぼんやりした状態に大きな意味がある
「いつまでもぼうっとしていないで、やることやりなさい」
「ぼんやりしてないで、勉強しなさい」
「ぼうっとしてないで、遊ぶなら遊ぶ。寝るなら寝る。どっちかにしなさい」
みなさんは、子どもにこういう言葉をかけることがあると思います。
たしかに、「ぼうっとしている」「ぼんやりしている」状態は、時間のムダのように思えます。
ところが、最近の脳科学では、こういうぼんやりした状態に実は大きな意味があるということが言われています。
【脳研究者監修】捨てる記憶力と一生役立つ記憶力、どちらを育てる?の記事はこちら
ぼんやり状態は、自己認識、見当識、記憶、ひらめきに関わっている
脳の血流を調べると、ぼんやりしているとき、つまり脳が安静状態に入っていると血流が増えて、活発に活動する領域がいくつかあるということがわかっています。
このようにぼんやりしているときに活発になる神経回路を、「デフォルト・モード・ネットワーク」(DMN)といいます。
そして、この神経回路は、どうやら自己認識、見当識、記憶、ひらめきなどに関わっているらしいということです。
この対極にあるのが、問題解決に向けて意図的に考えたりやるべき課題に集中してこなしたりするときに活発になるのが「中央実行系ネットワーク」(CEN)です。
ぼうっとしているときにひらめきがやってくる
これで思い出すのがアルキメデスの話です。
ある時アルキメデスは難しい問題について考えていて、いくら考えても解決方法がわからずに困っていました。
ところが、風呂に入ってぼんやりリラックスしていたときに、思いがけずその解決方法をひらめいたのです。
喜びのあまり、風呂から飛び出して、「ユーレカ(わかった)、ユーレカ」と叫びながら裸で町中を走り回ったというのは有名な話です。
過去の偉人や天才の伝記には、同じような話がけっこうあります。
また、私たちの日頃の生活でも、リビングでぼうっとしているときいいアイデアを思いつくとか、電車の揺れに身を任せているときパッとひらめいたりすることはよくあります。
つまり、中央実行系ネットワークでできないことが、デフォルト・モード・ネットワークでできるようになる、ということがよくあるのです。
ぼんやり状態はいいことだらけ
この他にもぼんやりすることで脳を休ませることができ、たまったストレスを解放したり、疲れた心を癒したりする効果もあります。
これによって、またがんばるエネルギーがわいてくるのです。
また、ぼんやりすることが記憶力の向上につながるという説も有力です。
いいことだらけですね!
最近では「呆活(ぼうかつ)」という言葉もあるくらいです。
つまり、生活の中にぼうっとする時間を積極的に位置づけて、ストレス解消や心の安定を図る活動という意味です。
これは、意識的に涙を流すことでストレスを解消する「涙活」を考案した寺井広樹さんが唱えているものです。
叱ることで台無しになる
ということで、子どもがぼうっとしているとき、その子は呆活をしているのです。
脳の中ですばらしいことが起こっているのだと理解してあげてください。
ですから、いきなり「いつまでもぼうっとしていないで、やることやりなさい」などと叱るのはやめたほうがいいですね。
せっかく脳のストレスを解放して心の安定を得ていたというのに、すべて台無しにしてしまうことになるからです。
この記事の監修・執筆者
長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。X、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。
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