みなさんは、「論理的思考」という言葉を聞いたことがありますか?
最近耳にする思考プロセスのことで、2020年度から小学校の授業で必修化された「プログラミング教育」でも、この論理的思考が求められています。
しかし、「あまりよく知らない」「親はどんなアプローチをしたらいいの?」とお悩みのママパパも多いのではないでしょうか。
今回は、千葉経済大学短期大学部こども学科の横山先生に詳しくお話をうかがいました。
お話/横山洋子(千葉経済大学短期大学部こども学科 教授)
「論理的思考」ってどんな力?
「一貫した筋道を立てて考え、説明ができる力」のこと
たとえば、
●自分の考えを話すとき、相手により理解してもらえるように、なぜそのように考えるに至ったのか、理由まで話すことができる
●問題を解決する際に、どこに乗り越えなければならないポイントがあるのかを整理することができる
という力も、この「論理的思考」に含まれます。
ただ、この力は、今、身につけなければならないわけではなく、義務教育の中で少しずつ学んでいくもの。
焦って無理に論理的思考を身につけさせようとして、やり方を間違えると、かえって子どもの成長の弊害になってしまう危険性も。よく気をつけましょう。
小学校の授業でも大切にされる「論理的思考」
2020年に小学校で必修化された「プログラミング教育」では、「プログラミング的思考」を育むことをねらいとしています。
「プログラミング的思考」とは、「主張に対して説得力のある根拠を示せること」「筋道を立てて段階的に判断する考え方」を指し、これも「論理的思考」に含まれる大事な力なのです。
プログラミング教育では、
●コンピューターの動きを理解しながら、自分の問題解決にどのように活用できるかをイメージ
↓
●意図する処理がどうすればコンピューターに伝えられるかを考える
↓
●現実世界にどのように活用できるかを考える
という一連の流れを学んでいきます。
「論理的思考」を育むうえで、大切な3つのこと
≪その1≫自分の思いや考えを話せる場を作りましょう!
「○○はどう思う?」「○○はどうしたい?」「どっちがいい?」
というように、日ごろから子どもが自分自身で決めたり選んだりする機会を作りましょう。「子どもの主体性」を育くむことにつながり、それが論理的思考へとつながるからです。
それができたら、次のステップとして、
「どうしてそっちがいいと思ったの?」と尋ねてみましょう。これが、「論理的思考」で大切な「筋道」を立てて考えることへつながります。
ここでのポイントは、「だって、~だから」のように、子ども自身の言葉で理由が言えたら、「そうか、~だからこっちがいいと思ったんだね」と認め、「ちゃんと理由が言えたね」とほめること。
どんな理由であっても、認めてほめ、子ども自身の言葉で考えを伝える経験を引き出すようにしましょう。
≪その2≫“親自身も”自分の行動の理由を話してみせて
子どもの論理的思考を育むためには、“親自身が”自分の行動の理由を話してみせることも大切です。
たとえば、
「きょうは夕方6時におばあちゃんが家に来ることになっているから、スーパーで買い物をしたあと、公園には寄らないですぐに帰るよ」
というように、子どもが理解できるように話しましょう。子どもは理由を聞いて納得するとともに、筋道を立てた話し方が自然と身につくようになるでしょう。
≪その3≫「絵本の読み聞かせ」をたっぷりしよう!
理由が言えるようになるには、使える言葉を増やす必要があります。新しい言葉に出会うためにも、絵本の読み聞かせをできるだけたくさんしてあげましょう。
読み聞かせをしながら、
「どうして○○は~したのかな?」
「もし、○○だったら、このときどうする?」
といったように、物語の中で自由に考えて遊ぶ体験をしましょう。こうした日々の積み重ねが、新しい言葉を吸収しながら自分の考えを発する土台となるでしょう。
論理的思考は、すぐに身につけられるものではありません。使える言葉を増やし、楽しく考えながら使いこなすなかで時間をかけて育てていくもの。
まずは、子どもとのコミュニケーションで、自分の考えを引き出すことができるよう、子どもの主体性を育む言葉かけから始めてみましょう。次回は、その具体例を紹介していきます。
この記事の監修・執筆者
富山大学教育学部附属幼稚園・教諭、富山市立古里小学校、富山市立鵜坂小学校・教諭を経て、現在は千葉経済大学短期大学部こども学科の教授を務める。著書には、『保育者のためのお仕事マナーBOOK』、『保育に生かせる!年中行事・園行事ことばかけの本』、『毎日のちょこっとあそび』(学研)などがある。
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