【英語の「中1ギャップ」って?】小学生からの「おうち英語」で、どんな子でも「あと伸び」する!

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2020年から小学校では英語が「教科」になりました。小学校までは英語を楽しく学んでいたお子さんが、なぜか中学校で英語が苦手になった、英語が嫌いになったという声を聴きます。

「英語の中1ギャップ」と言うそうです。

多くの保護者が「私たちの時代は中1の英語なんて簡単だったけど」と、感じるかもしれませんが、現在は英語の内容が驚くほどむずかしくなっているのです。

今の時代、中学受験もめずらしいものではなくなってきましたが、中学受験の科目には「英語」がない学校も多いため、 教育熱心なお宅でも、どうしても英語学習は後回しになりがちです。

お子さんが中学に入ってから英語にふれ、 「英語がむずかしすぎて、嫌い!!!」 とならないようにしたい…! ですよね。

そこで今回は、毎日のちょっとした工夫で、楽しく英語にふれあうヒントをまとめた『気がつくと子どもの英語力がぐんぐん伸びている おうち英語』(Gakken)の63のtipsから、7つを厳選してご紹介します。

40年間、英語教師として1万人を教えてきた著者が感じているのは、「英語力って、どんな子でも伸びる」ということだそうです。
どれも、ご家庭ですぐにできることです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

目次

おうち英語の前に大切なこと

英語も日本語も、コミュニケーションであることに変わりありません。とくに小学生以上のお子さんの場合、日本語での親子のコミュニケーションがしっかり取れていることがとても大切です。

おうち英語を始める前に、「話す力」を育てるために“日本語でのコミュニケーションの中で”日ごろから親が気を付けたいことを4つ挙げてみました。

① 小さな声も大切に受け取る
② 子どもの話をよく聴く
③ 短い言葉の続きを待つ
④ 意図を言葉にしてあげる
 

①と②は、お子さんが何か話したら、お母さん、お父さんは必ず「話を聴くよ」という姿勢を持つことです。それは、「あなたの言葉には意味があるよ」ということを伝えるためです。これが自己肯定感にもつながります。

「英語で何かを話す」ことはハードルが高いものですが、その前に「日本語で話す」こと、もっと言えば、そもそも「話す」こと=「言葉に出す」ことが大事なのです。

③「短い言葉の続きを待つ」も①と②とセットで、子どもが「あのね…」と話しかけたら、次の言葉が出るのを待ってあげましょう。これは小さいお子さんでも、小学生でも、思春期のお子さんでも同じです。つい親は待つことができずにたたみかけるように質問してしまったり、先に答えを言ってしまったりしがちです。

これは私自身の反省もこめています。子どもがとっくに成人した今でも、「あのとき、子どもの話をさえぎらなければ……」と思うことがあるのです。

④「意図を言葉にしてあげる」のは、③と矛盾しているようですが、次の言葉を待った上で、子どもが表現しにくい意図を言語化してあげることです。  

たとえば小さいお子さんなら、癇癪を起こしたときに「くやしかったんだよね」と子どもの気持ちを代弁してあげることがありますね。反抗期になると短い言葉しか言ってくれなかったり、意図と反対のことをしてみたりしますが、反抗期のお子さんにも同じように、「疲れてたんだよね」など、状況を言葉にしてあげると、ギスギスしがちな親子の距離が縮まるかもしれません。  

小学生以降のお子さんが英語を始める場合はとくに、日本語のコミュニケーションができていないのに、それをすっ飛ばしておうち英語を実践するのは本末転倒です。 Communication(コミュニケーション)という単語は名詞ですが、元となる動詞はcommunicate(伝達する)です。 Community(コミュニティ)にもつながる言葉です。

共有の要素が強く、相手の存在への意識が必要なのです。おうち英語の前に親子の言葉のキャッチボールができていること、信頼関係が築けていることが大切です。

「聴く力」を 育てる

英語の音はできるだけ早いうちから、意味がわからなくて もとにかくたくさん触れることが大切です。これは、どの英語の先生もおっしゃることであり、どの英語の本にも書いてある事実です。

「じゃあ、小学生から始めるのは、遅いの?」とお母さん、お父さんが不安に思う気持ちも当然です。英語の音に慣れさせる前に、小学校では英語の授業が始まってしまいます。

おうち英語のスタートが遅れたとき、どうやって追いつけばいいのでしょうか。私の答えは、「習ってから慣れよう」 です。

【tips1】「音」で出遅れても、 習ってから慣れる

小学校高学年になれば、英語の構造やルールをある程度は 理解してから「聴く」ことができます。たしかに完全なバイリンガルにはなれないかもしれませんが、基本のルールを知ってから聴くことのメリットは大きいものです。

ローマ字として標記されていても発音しない音が存在することや、音と音がつながることで想像を超えた音になったり、単独では発音される音が前後関係ではっきり聴こえなくなる (消える)こと、これを幼児までは感覚的につかめたりします。  

小学生だからこそできること

小学生以降では少し解説も入れてあげて、「音」に関してはこんなルールがある、日本語とはここが違うということを 知った上で、繰り返し何度も聴く。こうして英語を習いつつ、 同時に慣れていくことができます。

慣れるためにたくさん時間を使いますが、小学生ならまだ大丈夫。これが中学生になると、ほかの教科の勉強や部活などで忙しく、残念ながら「英語に慣れるために時間を割く」 などということは、してくれなくなってしまいます。

音で出遅れたときの練習法

「音」で出遅れてしまった場合の練習法は、

・ 短いフレーズを何回も言う。
・ 場面の中で使ってみる。
 

この2つに尽きます。たとえば「L」と「R」の発音の違いをわからないまま出遅れてしまったら、その違いを知った上で、意識的に何度も繰り返し口に出すこと。これしかありません。

お母さん、お父さん世代が中学になって初めて学校で英語に触れたときは、とにかく「習ったら覚える」だったはすです。

でもここで強調したいのは、「習ってから慣れて、自然に覚えるまで繰り返す」です。  

そして最後は、お子さんのやる気です。これまでたくさんの教え子たちを見ていて、「やる気」があればスタートの遅れを余裕で取り戻せることを実感しています。

「話す力」を 育てる

「おうち英語」の大切なポイントに「音読」があります。まずは1日3分間だけ、音読をやってみましょう。
「英語は耳からってよく聴くけど、リスニングだけじゃダメなの?」という声が聴こえてきそうですが、それはもっと小さいお子さんの場合。

理屈抜きで英語を「音」として聴くことができる時期を過ぎてしまったら、リスニングだけやるよりも、音読をプラスするのがとっても効果的です。

【tips2】何はなくとも 「1日3分の音読」

小学生以上のお子さんが初めて英語に触れる場合はすでに、ベースにしっかりと日本語があります。そうであれば、それを利用しない手はありません。あえて、日本語でよく知っている話を英語で音読するのです。日本語で知っている話が英語になると、リズム感やテンポが違います。その違いが面白いと感じたらしめたもの。  

音読といっても、英語が読める必要はありません。耳で聴いた音をそのまま復唱(再現)します。いわゆる「シャドーイング」と呼ばれる方法ですね。とくに最後のほうの一語、 二語が聴き取れることが、会話を意識したときにとても大切なんです。  

たとえば『スイミー』や『はらぺこあおむし』『3匹のくま』『おさるのジョージ』シリーズ『きかんしゃトーマス』 シリーズなど、小さいころに絵本で読んだことのある話がいいでしょう。女の子ならプリンセス系のものもいいですね。

朗読のCDなどもありますが、インターネットで探せば、 字幕付きできれいに朗読された読み聞かせ動画などがたくさん出てきます。

きれいに読めるより大切なこと

ここで目指しているのは、きれいに読めることではなく、「音」に触れること。リスニングだけでなく、音読で口を動かすことが加わるので、これが話す力につながるのです。  

コツは、最初から1つの話を全部音読させようとしないこと。いくつか試してみて、興味を持ったものを音読しましょう。

「1日3分」と書きましたが、3分にこだわらなくても大丈夫。3分たったから終了、としなくても、もっと読みたがったら読ませていいですし、30秒で終わってしまってもいいのです。ただ、決して無理はさせず、ノルマにしないこと。音読=つらいもの、面倒くさいものにさせたくないからです。  

そしてもう1つ。お子さんが明らかに間違った音読をしていても、指摘はしないようにしましょう。よほど気になったときだけ「ちょっともう1回聴いてみようか。なんて言ってたっけ?」などと言って一緒に聴き直してみる。もし、子どもが気付いて読み直したらそれでいいし、気付かないようならスルーでOK。お子さん自身が気付くのを待ちましょう。

「言葉」を 育てる

英会話でまず出てくるのが挨拶です。  
英語の挨拶って、口に出すとわかりますが、言葉の選び方、音の調子、すべてがなんだか気分が上がるものです。

でも日本人が口に出すのはちょっと照れくさい……。そんな気持ちを吹っ切って、ぜひご家庭で英語の挨拶を習慣化してみましょう。

【tips3】英語の挨拶を「あたりまえ」にする

 “See you!”(またね) “Have fun!”(楽しんで)など簡単で、しかも自己肯定感が上がりますよ。
 
挨拶のいいところは、無理なく習慣化できること。朝起きたら“Good morning”(おはよう)と言うだけです。  

ほめ言葉のインフレ効果

ついでに付け加えると、アメリカ人は、ほめ言葉がインフレします。どういうことかというと、英語はほめ言葉の種類が多い上に、どんどんグレードアップしていくのです。
たとえば、こんな感じです。

“Good !”(いいね) ほめ度 ☆
“Nice !”(いいね) ほめ度 ☆☆  

ここまではわかると思いますが、これが、

“Excellent!!”(すばらしい) ほめ度 ☆☆☆☆
“Super !”(すばらしい) ほめ度 ☆☆☆☆☆
“Perfect!”(完璧だね) ほめ度 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 

と、どんどん“大げさ”になっていって、言葉の意味のインフレを起こしていきます。実際はPerfectではなくてもベタぼめしてしまいます。

もしも日本語で「完璧よ!」なんてほめたら、子どもは疑ってしまいそうですが、英語の場合、言われたほうは単純にとっても嬉しいようです。  

もしも、お子さんをたくさんほめたいのに、なかなか言えなかったり、恥ずかしかったりするお母さん、お父さんがいたら、ぜひ英語でほめてあげましょう。英語なら惜しみなくほめられそうですよね。

「読む力・ 書く力」を育てる

英語に慣れるには、英語に触れる機会を増やすこと。「気付かぬうちに英語に触れる機会を増やす」。

これができるのが、おうち英語のメリットです。

【tips4】毎日いる場所に「英語のカレンダー」を飾る

「さりげなく英語のカレンダーを使う」のもオススメです。文字を読みたくなる小学生だからこそ、明日からでもやってほしいことです。

書店や雑貨屋さんに行くと、英語のカレンダーを購入できます。子どもが好きそうなキャラクターものもあります。やることはカレンダーがそこにあり、予定を書き込む、たったそれだけ。予定はもちろん日本語でOKです。

英語のカレンダーには、月、曜日が書かれています。その文字を日常的に目にするということがいちばんの目的です。 そして小学校高学年以上ならぜひ、「曜日と月の名前を読めて書けるように」しましょう。

「曜日」は神話が教えてくれる

英語の曜日を覚えるのって、大変ではありませんでしたか? お母さん、お父さん世代も、Wednesday=ウェドネスデイと覚えた記憶があるのではないでしょうか。

曜日を身近に、もっと覚えやすくなってもらうために、ここで小話を(笑)。実は曜日や月の名前は、神様の名前やローマ神話を語源としているものが多いのです。

日曜日:Sunday 太陽の日
月曜日:Monday 月の日
火曜日:Tuesday 戦いの神 Tiu(ティウ)の日
水曜日:Wednesday アングロサクソン神話の主神 Woden(ウォーダン)の日
木曜日:Thursday  雷神 Thorr, Thor(トール)の日 ※ 実は曜日のSは、いわゆる所有格のSです。アングロサクソンとは英語発祥の文化圏・民族圏の呼び名です。
金曜日:Friday 豊穣の女神 Freija(フレイヤ)の日 ※ 女性の場合は、元の語の所有格にSが付かないのだそうです。
土曜日:Saturday 農耕の神 Saturn(サターン)の日

曜日の語源には諸説ありますが、ここでは、英語学者の朝尾幸次郎先生の説を簡略化してお伝えしています(『社会人のための英語の世界ハンドブック』(大修館書店)より) 。 子どもが曜日の名前に興味を持ったタイミングで一緒に調べてあげるといいですね。

なぜこんな話をするかというと、中学生以降、暗記や文法が入って、英語が“お勉強”になり、英語嫌いになってしまうお子さんがいます。でも、雑学も交えて英語と触れ合っておくと、英語に人間味を感じて、親しみやすくなりますよ。

実体験を通して「マインド」を育てる

おうち英語を使いこなすのに大切な要素が「マインド」です。

テレビ番組でお笑いタレントの出川哲朗さんが話している、いわゆる「出川イングリッシュ」が通じるのも、出川さんの物怖じしないマインドが大きな理由ではないでしょうか。

「通じないかも」と遠慮したり、間違ったらどうしようと不安になったりしていては、コミュニケーションは取れません。

【tips5】公園や旅先で「海外の友だち」を作ろう

今や街を歩けば全国どこにでも海外の旅行客や留学生など外国人がいます。家族で出かけたときなどでいいので、ぜひ話しかけてみましょう。そしてできれば一時のこととして終 わらせず、海外の知り合いや友だちを作りましょう。

物怖じせずに話しかけるコツは、簡単なフレーズをあらかじめ子どもに教えておくこと。話しかけるときはできれば親などの大人が近くにいてあげましょう。これは話しかけられた相手の表情を読み取るためでもあります。つまり、迷惑がっていないかを見てあげるのです。その上で少し話せそうだったら、どこか近くのベンチなどに座って交流できるところまでいけたらベスト! 

子どもにとっては「自分の言葉(思い)が通じた」という成功体験になります。

5 歳児がロンドンタクシーを停めちゃった?

余談ですが、かつて私が長期の海外出張でロンドンにいたとき、夫と5歳の息子が会いに来たことがあります。

レストランで食事をしたら、先に息子が店を出てしまったんです。 驚いて外に出るとなんと、5歳児がタクシーを停めているではありませんか。息子は英語は話せませんでしたが、“Hey, Taxi!!”と言ったら、停まっちゃった(笑)。停まるほうも停まるほうですが、動作や自信に満ちた落ち着きが、“英語が話せる子”に見えてしまったのでしょう。

何が言いたいかというと、「自分の言葉は通じる」「自分の言葉には力がある」と信じていると、相手に伝わるということです。

息子にはオレンジジュースの頼み方“Orange juice, please .”と、トイレの行き方“Where is the bathroom? ”だけ自分で言えるように教えていました。それが何回か通じたのが自信になって“Hey, Taxi!!”につながったのだと思います。  

ただ挨拶をするだけでもいい、一言でも自分の言葉が相手にちゃんと伝わった、あるいは練習していたフレーズを実際に使ったら、笑顔が返ってきた。こういう経験を、ぜひ小学生のうちにしてほしいのです。

英語の実力はともかく、子どもは大人よりずっと言葉の壁が低く、きっかけさえあれば、楽しくコミュニケーションを取ることができます。話しかけられる外国人にとっても、相手が子どものほうが、心を許しやすいメリットもあります。

「英語で学ぶ力」を育てる

英語だけに着目せず、別の教科から興味をつなげていくお話をしますね。

言葉は世界を区切る道具と言われています。わかりやすい例が「虹」です。

【tips6】「虹の7色」を英語で表現!

2色しか区別しない言語(パプアニューギニアのダニ族の言語・ ダニ語)もあれば、4色(ロシアやインドネシア)、5 色(ドイツ、フランス、中国)、6色の……え? 7色じゃなかったの? と常識が揺さぶられます。  

色が見えないというわけではなくて、区切り方が違うのですね。そして、人間には見えない光に名前が付いていたりもします。そうです、「赤外線」「紫外線」は聞いたことがあると思います。
紫外線を英語で言うと、ultraviolet ray(英検1級単語)。日焼け止めなどに表示されているUV(ユーヴイ)はここからきています。

英語「を」覚えることを目的とせず、「英語を使って」「英語で」学ぶことによって、英語を楽しく身に付ける、英語を身近に感じることができたら素敵です。

理系的なことにも英語をプラス!

なぜ虹ができるのでしょうか?

光の波長ごとにスペクトラム(spectrum)という光の帯ができるのですね。 雨上がりに虹が見えるのは、空気中の水分が光を分散させるからです。実験ではプリズム(prism)という屈折によって光を分ける透明な三角柱を使います。  

小学校の理科の教科書でそんなページを見つけたら、「英語で虹の色はどう表現するんだっけ?」と発想を転換できるといいですね。

中学につながる「学ぶ力」を付ける

なぜ「中1ギャップ」が起きるのでしょうか。

小学校までの英語は、楽しく遊びながらできていた。それが中学に入ると急に覚えることが増え、難易度がアップし、「受験のための」英語になってしまった。

私立中学の受験で勉強を頑張っていたお子さんにも中1ギャップは起こります。
なぜなら、それまでは中学受験の科目の勉強に忙しい。そのため、小学校の授業で英語に触れる以外、英語の学びは一旦休止。晴れて私立中学に入学直後にいきなり問題集を渡されて英語はすっかり楽しいものではなくなっていた……ということもあるようです。  

また最近では、英語の力がある子を確保してしまおうと、英検の取得を中学受験の条件にしている中学もあります。となると、小学校時代の英語ですら、受験のためのものとなり、 楽しいものではなくなっていくかもしれません。  
とくに私立中学のほうが英語の壁は高く、入学直後から大学進学のために穴埋め問題や正誤問題を始めたりします。

とはいえ、嘆くことはありません。小学校で英語が教科になったことはポジティブな変化です。せっかく小学校から英語に触れるのですから、英語に親しんでほしい、好きになってほしい。おうち英語もフォローに使いながら、うまく活用しましょう。  

中学に入ってから英語にギャップを感じることなく英語を楽しむためには、「読む力・書く力」をしっかりやっておきましょう。その上で、少し先取りしてみてほしいことをひとつお伝えします。  

【tips7】「ディベ ート」は 中学生からチャレンジ!

中学生になったらぜひ「英語でディベート」にも挑戦してみましょう。

そのために、小学生のうちからできることは、「自分の意見を持つ」こと。ニュースや世の中で起きていることに関心を持ち、「自分ならどうするかな」と考えたり、親子で何かをネタにして話し合ったり。  

たとえば今、物価が上がっていますが、スーパーなどに行って「どうして値上がりしているんだろう」と話し合ってみる。そこからですか? というようなことこそ、親子で一緒に学びながら、視野を広げていく、つたなくていいから自分の意見を持つことです。  

小学生なら夏休みの自由研究にして、問題意識を持っておく。将来的にそれを英語で伝えたらどうなるんだろう、反論されたらどう返せばいいのだろうと考えておくだけでも、1歩も2歩も進んでいますよね。

たとえば家族で意見を出すときも、わざと自分とは反対の意見を言うことも練習になります。だんだん慣れてきたら、証拠を探してみてもいいでしょう。

「お父さん、この間は○○だって言っていたけど、今日学校で先生が△△と言っていたよ」「それは、ニュースで言っていたことと関係あるかもしれないね」などといったように、証拠を探す、エビデンスを探すクセを付けておくと、知識が増えて、ディベート力もアップします。  

そもそも日本人は日本語でさえディベートが苦手なので、このハードルを小学生のうちに超えておくことが重要です。  

家族で慣れたら、次のステップは外国人と意見交換ができるかどうか。難しく考える必要はありません。国際交流のイベントなど、どんな機会でもいいので、軽く意見交換ができるだけでも、すごいこと!  

たとえばサッカーで国際交流するときに、「暑くてプレイできない」「靴が合わない」とか、いろいろな問題が出てきます。こうしたときにどうやって問題を解決していくか。そんなささいなことでいいのです。  

ディベート力は、将来、海外の大学を目指す人には必須です。普段の授業からディベートが取り入れられているので、 海外の大学に留学した人たちから「もっと早くからなじんでおきたかった」という声をよく聴きます。

大切なのは、やっぱり「マインド」です。  
自分の意見を持って思い切って発言する。相手が反応してきたら、もう一度返して、お互いの妥協点を探ります。論破することが目的ではなく、論点をはっきりさせたり、分析的な思考力を養うことが目的です。

「英語をやっててよかった」と思えるように!

「おうち英語」でアシストできるのは、自然な英語に豊富に触れられるような環境を整えること、できるだけ理由を添えて自分の考えを表明できるようにすること、英語を話す現場に触れられるようにすることが中心となります。  

また私自身、英語を話す現場とは距離のある中で英語を学ぶ時間がどうしても長くなりがちでした。その経験も踏まえて、外国語と向き合うときのマインドや、小さなきっかけから学びを広げる心がまえの大切さを特に強調してお伝えしています。似た境遇のご家庭にも、きっと役に立つと思います。  

何事にも限界があるように、「おうち英語」にも限界があることを最後にお伝えしなければなりません。子どもは成長し、広い世界と出会い、自力で立ち向かうことになるからです。

「おうち英語」で、できるところまで伴走をして、あとは本人の学ぶ力、プロのアドバイス、学校を始めとした環境選びの比重がだんだんと高まるのも事実です。  

そうなってからでも、ときどき懐かしそうに振り返って、「経験させてもらっておいてよかったよ」と後から言ってもらえるのが「おうち英語」の一番の醍醐味なのです。

明日を生きる子どもたちを苦しませるのではなく、助け励ます存在に「英語」がなりますように。
To infinity and beyond!!

※こちらの内容は、『気がつくと子どもの英語力がぐんぐん伸びている おうち英語』(Gakken)で紹介している「SONOメソッド:子どもを英語好きにして、自然と英語を身につけさせるための極意」63のtips(ヒント)の中から、一部を抜粋・再編集してご紹介しています。

この記事の監修・執筆者

聖学院大学非常勤講師、お茶の水女子大学附属高等学校非常勤講師。 小河園子(おがわ・そのこ)

元埼玉県立浦和高等学校教師、現在は聖学院大学非常勤講師、お茶の水女子大学附属高等学校非常勤講師。英語指導歴40年以上を数え、10,000人以上の生徒を指導。中学生の「英語力日本一」のさいたま市での教育構想段階で「スーパーイングリッシュランゲージスクール」を提案し採用されるなど、公教育の現場に立ちながら、日本の英語教育の移り変わりに携わる。
気がつくと子どもの英語力がぐんぐん伸びている おうち英語」(Gakken)が発売中。

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