【毎日学校で怒られます】文字の練習は入学前から必要だったの?

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こんにちは。現役小学校教諭の舟山由美子です。

昨今の1年生は、入学前から園などで文字を書く練習をしていることも多いようです。そのため、とくに練習をしてこなかった子の保護者は、入学後にわが子が文字をうまく書けないことに焦ったり、不安を覚えたりします。

目次

Q. 文字がうまく書けないのは、入学前に練習しなかったから?

小学1年生の息子のことです。
3月まで通っていた園では、入学前に平仮名などはほとんどやらず、私も小学校でやればいいと思っていました。

また、息子はどうしても左手で文字を書きます。お箸やハサミは右手ですが、本人が「これがやりやすい」と言うので直しませんでした。

相談したいのは、息子は自分だけが書くのができない、と言い出したことです。

今の学校で同じ園の子は誰もおらず、息子1人です。参観日で張り出されたものを見ても、ほかの子はみんな、すでにかなり文字が書けていました。小学校で習うものだと思っていたので、私も急に焦ってしまい、毎日怒ってしまいます。先生にも、「君を待ってるの!」と、毎日怒られているそうです。

実際に鉛筆に慣れていないため、すごく汚いし遅いです。本当は右手で書いたほうがいいんじゃないと言っても、右手だともっと書けないと言います。

とにかく慣れないと、と思うのですが、毎日友だちと遊ぶので、宿題だけで精一杯です。これは叱ってでもやらせたほうがいいでしょうか?

ただ、国語も算数も楽しいと言い、先生の言ってることはちゃんとわかるようです。宿題も、プリントでも、本読みでも、数でも、ちゃんと理解しています。書くのだけがどうしても遅くて汚ないのです。どうしたら早く、きれいに書けるようになるでしょう。

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A. 早く、きれいに書けないのは「慣れ」の問題。悩まなくても大丈夫

「書く」ことに関して、保護者の悩みは多いです。「話す」「聞く」ことに対して、「読む」「書く」は就学後に鍛えられる力です。にもかかわらず、テストなどによる評価は「読む」「書く」力で試されることが多いので、こうしたお悩みは入学直後に多くなります。

相談文を拝見すると「困っているのは誰だろう?」と思いました。お子さんも、学校で先生に注意されてイヤだな……と思っているようです。でも、それでそんなに落ち込んでいるわけではなく、授業は楽しいと言い、毎日友だちと元気に遊んでいるようです。もしかすると、困っているのはお母さんではないでしょうか。

ご相談文にこんなふうにあります。

  • 園では平仮名などはほとんどやらず、私も小学校でやればいいと思っていました
  • 参観日で張り出されたものを見ても、ほかの子はみんな、既にかなり文字が書けていました
  • お箸やハサミは右手ですが、本人が『これがやりやすい』と言うので直しませんでした
  • 小学校で習うものだと思っていたので、私も急に焦ってしまい、毎日怒ってしまいます

お母さんは、お子さんに対して責任を感じてしまい、悩んでおられるのだと思いました。でも、こんなふうにも書いてあります。

  • 実際に鉛筆に慣れていないため、すごく汚いし遅いです

その通りだと思います! お子さんは慣れていないだけです。「話す」「聞く」という回路に比べて、「読む」「書く」回路が鍛えられていないため、その力が弱いのです。

ただそれだけです。ほかのお子さんの書いたものがよく見えたとしたら、書き慣れていたのかもしれません。

なめらかに、はみ出さずに「書く(描く)」練習を

こうした場合、よく保護者のかたから市販のひらがなドリルなどをやったほうがよいでしょうか、と相談されます。その子の文字を見ていないので判断はできませんが、一画一画(文字の線)がまっすぐでなかったり、ふるえているように見えたら、いきなり文字を書く練習をしても、効果はあまりなく、子どもは嫌がるばかりではないかと思います。

入学直後は、曲線や点線をなぞったりしますよね。またぬりえもします。あれは、「書く」ということのための準備運動です。昨今は、入学前に「書く」練習をしているお子さんも多いので、あっさりと終えてしまって、すぐひらがなの学習に入りますが、本当はもう少しやったほうがよいお子さんもいるはずです。

ご相談者も、文字ではなく、こうした曲線点線なぞりドリル・ぬりえ(薄い冊子でよい)で練習してみてはどうでしょうか。

曲線・点線なぞりのポイントは

  1. ゆっくりでよいので、はみださないように書く(この場合は「描く」ですね)
  2. 同じ濃さで書く(できるだけ濃い方がよい)
  3. 慣れてきたら、なめらかさを意識して書く

そしてその次は、ぬりえもやってみる、というようにしてはどうでしょう。勉強ではなく、遊びの感覚です。お母さんもそばで見ながら、一緒に書いて(描いて)みたりします。

こういう子は、自分があまり得意ではないと分かっているので、さっさとすませようとするでしょう。けれども、「今日はこの1ページをしっかりやるよ」と言って、そのページだけはしっかりやります。逆にどんなにうまくいっても、1ページで終わります。我慢強く継続する力も育てましょう。やった日付も書かせます。

やっていると、一番最初のページに比べて、線がなめらかになっていくのが子どもの目にも分かるようになります。そうしたら、ひらがなも漢字も、この線が集まってできているんだよ。あとは、この線を組み合わせるんだよと話します。

参考までに、図工で絵を描かせると、ぬりえをしていない子がけっこういることがわかります。きっと文字は練習していても、ぬりえはやらなかったのでしょう。わくからはみ出さないで、同じようにぬりこむのも、けっこう大事なことです。あなどれません。

このようにして少しずつ「書く」ことに慣れさせていきます。ほかのお子さんはもしかすると1年以上前にこんなことをしていただけかもしれません。このお子さんにとっては、ただ慣れていないことだけが“問題”であり、“悩み”ではありません。ですからお母さんも、悩みではなく、子どもと共に取り組む課題と考えるべきです。

以前受け持った子で、今回のご相談と同じような男児がいました。自分でも「ぼくねぇ、あまり字が書けないの、よくわからないの」と言っていました。

その子は力が入りすぎる点がありましたが、わかったふりをしないで、時間がかかっても一画一画ていねいに書く子でした。その時間で終わらず、休み時間までかかってしまうことも多々ありました。

けれど1年たつと、最初からすらすら書いていた子より、はるかに良い文字を書くようになりました。特に漢字が上手でした。不器用に思える子は、ひらがなより漢字のほうが得意になったりします。『うさぎとかめ』みたいなことは、よくあるものです。

なお、担任の先生に「君を待ってるの!」と、毎日怒られているとのこと。文面を拝見する限りでは、ただ単に書くのが遅いだけで怒られているのか、それとも、お子さんが関係のない話をしていたなど、ほかに何か理由があったためなのかがわかりません。そのあたりも含めて、担任と情報交換をするなどして、学校と家庭で協力していけるとよいですね。

利き手は無理せず、できそうなら右手で練習を

最後に、利き手のことですが、何でも左という場合は、無理に右手を使わせることが負担になることも多いのですが、このお子さんはお箸もハサミも右手を使うということは、右手で書ける可能性が高いですね。「両方の手で書けるとカッコいいね!」とおだてて、曲線・点線なぞりも、試しに右手でもやらせてみてもいいかもしれません。

本人は慣れているほうがいいに決まっていますが、書いたものを見て、右手・左手とも遜色がなければ、今後は、楽器や書道などいろいろな面から見ても、右手が使えるとよいと思います。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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