【入学式直後から学校に行きたがらない!】保護者はどう対応するべき?

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【入学式直後から学校に行きたがらない!】保護者はどう対応するべき?

入学式が無事に終わったと安堵したのもつかの間。今までとの環境の変化から、子どもの不登校や登校しぶりに悩んでいる保護者のかたもいるのではないでしょうか。
そこで、子どもの登校しぶりに対する保護者の対応ついて、現役小学校教諭の舟山由美子先生にお伺いしました。

目次

Q. 子どもが朝から大泣きして、家から出られないことも

こんにちは。サイトで似たような悩みを持った方の記事を読み、メールさせていただきました。

我が家にも小学1年生の女の子がいて、入学式直後から学校に行くのを強く拒否しています。朝は学校に行くのが嫌だと大泣きして、家から出られないときもあります。

我が家は、子どもが入学後に引っ越すと転校することになりかわいそうだということで、小学校入学前に引っ越しをしてきました。共働きだったため、0歳の頃からこれまで保育園に入れていましたが、保育園をいやがることもなく、楽しみに通っていました。

普段は活発で友だちと遊ぶことも大好きな子です。私も仕事があるので、学校のあと学童にも通わせています。毎朝お腹が痛いと不調を訴え、学校に行くことを拒否しています。2歳になる弟がいて保育園に通っているのですが、自分も保育園に行きたいと言ったりします。

結局、ケンカしながらも、なんとか学校まで引っ張ってきて登校させ、私は授業中も別部屋で待っていたり、廊下で待っている状況が続いています(いないと不安になるようです)。カウンセラーの先生からは母子分離不安と言われました。

ゴールデンウィーク明けからは、学校の下駄箱で先生に引き渡して、泣いてもバイバイしましょうとなりましたが、はたしてそれがいいのか?と、疑問です。しかし、仕事をしていくうえではそれもいたし方ないのかと思ったりもします。

今後どう対応して行くべきなのか、先の見えない不安に、私自身耐え難く、精神的、肉体的にもとてもきついです。アドバイスがありましたらよろしくお願いします。

【オススメ記事】「学校での出来事を聞きたい!」子どもとコミュニケーションを取るときのコツや心構えとは?

A. 毅然とした態度で「学校へ行くこと」を諭しましょう

入学式から数日たった頃、それまでは中・高学年しか担任しておらず、今年度初めて1年生を受け持った中堅の先生がこんなことを言っていました。

「1年生は小さくてかわいらしくて、自分も早く担任したいな、と思っていました。でもいざ担任になったら、いろいろなことが大変で……。座り方・返事の仕方・手の挙げ方・道具の片付け方・整列の仕方・鉛筆の持ち方・プリントの配り方……あっ、給食も。もうはてしなくやることがあって。これまでは、1年生の先生がしっかり教えてくれていたから、自分は今までこういう指導をしなくてよかっただけなんだということが分かりました」と。

学校にいる教員ですら、こう思うのです。まして新1年生の中には、環境の変化にひどく戸惑っている子どもがいたはずです。

環境の変化に対応する力には、個人差があります。大人でもきっとそうでしょう。

1.好奇心の方がまさっていて、変化をちっとも苦にしない楽観的な人
2.目の前のことを、ひとつひとつ、地道に過ごしていこうとする素直な人
3.過去の体験と比べて、現在の自分の立場を苦しいものをとらえがちな悲観的な人

ご相談者のお子さんは、学校に行ってびっくりしたのだと思います。なんとなく「学校は保育園(幼稚園)より楽しい場所」だとばかり思っていたのに、そうではなかった……。上記の分類では③のタイプです。だから弟の通う保育園に、自分も戻りたいと思うのでしょう。

でもそんなことができないのはわかっている以上、この気持ちをぶつけられるのは、お母さんです。なぜお父さんではないかというと、この場合、お父さんはどんなことがあっても仕事に行ってしまう人だとわかっているからです。お母さんのことを頼っている、これは甘えられているとも言えますが、あえて厳しい表現にすると、甘く見られている、という言い方もできると思います。

ご相談者は、「先の見えない不安に、私自身耐え難く、精神的、肉体的にもとてもきついです……」と書いています。このお子さんが環境の変化にとまどって、お母さんにすがりついているので、お子さんの苦しみをダイレクトに受けとめてしまっているように見えます。カウンセラーの先生が、「母子分離不安」とおっしゃった背景には、子ども・母親の双方の分離不安があると思われたからではないでしょうか。

ここは、大人としての見識を保ってみませんか。
たとえば、お子さんにこんなふうに諭して言います。

お父さんとお母さんは、みんなが暮らしていくためのお金を稼ぐためにお仕事に行く。弟は保育園に通う。あなたは学校に通い、放課後は学童に行く。そうやってうちの家族の生活は成り立っている。

学校では、いろいろなことを勉強する。国語や算数だけではない。友達とどう仲良くなるかが大切。どんな上級生がいて、どんな先生がいて、みんなどんな人なのかも、よく見てみよう。お話してみよう。学校にいる人全員の顔が分かるようになるといいね。学校で飼っている動物もよく見てごらん。

学校から帰ってきたら、たくさんお話しよう。お母さんも、今日あったことをお話するから、あなたも学校であったことを、どんなことでもいいから教えてほしい。

これらは、これまでも言って話して聞かせてきたことかもしれません。それでも、言い続けます。その際大事なのは、「毅然と話す」ということです。お子さんは、自分の半径1mくらいの世界で苦しんでいるのです。でも社会は広いし、お子さんが漕ぎ出す世界はもっと広くなくてはなりません。お子さんの背中をどう後押しするかが親の務めだと思うのです。

最初はお子さんも、これまでのように泣いてすがってくるでしょう。けれど笑顔を保って、「じゃあ、お母さんは会社に行ってきます。今日の晩ご飯はハンバーグにするね。ご飯のとき、たくさんお話しようね。約束だよ」と言って、どんなに泣いても去るのです。私の経験では、1時間泣く子は相当タフです。

だいたい20~30分泣けば、のども渇くし、同じ姿勢でいるので疲れるため、観念して教室に入ります。そもそも、クラスメートがじっと見て聞いているので、そのへんはだんだん自制してきます。

離れぎわに泣く我が子を置いていくのは、胸がつぶれる思いでしょう。けれど本当にかわいそうなのは、泣けばお母さんが自分の言う通りになってくれると、いつまでも思っている子どもです。お母さんの覚悟が大事だと思います。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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