【夏休みのおでかけや自由研究にも】鳴門の渦潮(うずしお)のしくみと見どころを解説!〈子どもと読みたい科学のおはなし〉

更新日: 公開日:

【夏休みのおでかけや自由研究にも】鳴門の渦潮(うずしお)のしくみと見どころを解説!〈子どもと読みたい科学のおはなし〉

海水が大きな渦になって流れる渦潮(うずしお)は、壮大で不思議な自然現象です。日本では、徳島県鳴門市と兵庫県の淡路島の間にある鳴門海峡の渦潮が有名です。今回は、鳴門海峡の渦潮について、そのしくみや見どころを紹介します。

目次

鳴門海峡の渦潮ができるしくみ

世界最大級の渦潮が見られる鳴門海峡

海水が大きく渦になって流れる渦潮(うずしお)。世界最大級の渦潮が現れては消えるダイナミックな風景が見られる鳴門海峡は、古くから多くの人が集まる観光地でした。江戸時代には、浮世絵師の歌川広重も『六十余州名所図会「阿波 鳴門の風波」』に渦潮の様子を描いています。

広重『六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波』,越平,安政2. 国立国会図書館デジタルコレクション
広重『六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波』,越平,安政2. 国立国会図書館デジタルコレクション

どうして鳴門海峡に渦潮ができるの?

渦潮の大きさは、海面が盛り上がった縁と縁の距離と定められています。鳴門海峡に直径約30mにおよぶ世界最大級の渦潮が発生する要因は、大きく2つあります。速い潮流が発生することと海底の特殊な地形です。

速い潮流

潮流とは、潮の干満によって生じる海水の流れのことです。潮の干満が起こるのは、月が地球に及ぼす引力(どんなものにもはたらく、ものを引きつける力)によります。下の図のように、海水面の高いところと低いところができます。海水面が最も高くなるときを満潮、最も低くなるときを干潮と言います。ある地点では1日に満潮と干潮が交互に2回ずつ、約6時間周期で起こります。

干潮と満潮
干潮と満潮

鳴門海峡では、その特殊な地形のため、干潮と満潮が鳴門海峡をはさんで隣り合わせになります。下の地図を見て、満潮の波の動きをたどってみてください。太平洋側で満潮になった海面が①と②の2つに分かれて流れます。①が淡路島を一周して、約6時間後に瀬戸内海側の鳴門海峡に達したとき、鳴門海峡の北側は満潮になりますが、南側ではもう海面は低くなっていて、鳴門海峡をはさんで海面の高さに違いができます。その高低差は最大で1.5mにもなります。水は高いところから低いところへ流れるので、鳴門海峡の北側から南側へ向かって速い潮流が発生します。速い潮流が遅い潮流にぶつかると、その速度差によって回転力が生まれ、渦ができます。
分かれた②の流れが鳴門海峡の南側に達したときは、北側が干潮で、南側から北側へと潮流が発生し、渦ができます。

鳴門海峡の満潮の波の動き
鳴門海峡の満潮の波の動き

海底の地形

さらに、鳴門海峡の海底の特殊な地形も、大きな渦潮を発生させる要因になっています。鳴門海峡は、両側から突き出た岬によって幅が1.3kmと狭く、海底がV字形になっていて、約100mの深さがあります。潮流が海峡を通るとき、深さがある海峡の中央では抵抗が小さいので、流れは速くなります。一方で、岸に近い両側の部分は浅瀬で、抵抗が大きいため、流れが緩やかになります。狭い海峡の中央と両岸で流れの強さが異なることから、渦ができやすいのです。

鳴門海峡の海底の断面図
鳴門海峡の海底の断面図
鳴門海峡を通る速い流れと遅い流れ
鳴門海峡を通る速い流れと遅い流れ

≪関連記事≫【熱気球はどうやって飛ぶの?】しくみや操縦方法について知りたい!≪子どもと読みたい科学のおはなし≫

鳴門海峡の渦潮を見るには?

渦潮が見られるタイミング

渦潮は潮流によって発生するので、潮流が速くなるほど、大きな渦潮を見ることができます。時間帯によっては渦潮ができないため、見ることができません。一日のうちで、潮流が最も速くなる時間帯に渦潮が発生しますが、潮流の速さは日々変わるため、見える渦潮の規模が変わります。潮の干満の差が最も大きくなる大潮のときは、大きな渦が発生します。鳴門海峡の潮見表を調べれば、渦潮の見られるおおよその時間がわかります。

上からも近くからも見られる渦潮

渦潮を真上から見ることができるスポットが、徳島県の「大鳴門橋遊歩道 渦の道」です。鳴門海峡に架かる大鳴門橋の橋桁内につくられた遊歩道は全長450mあります。海上45mにある遊歩道や展望室からは、迫力ある渦潮を眺めることができます。

大鳴門橋遊歩道 渦の道
©徳島県・一般財団法人 徳島県観光協会
大鳴門橋遊歩道 渦の道
©徳島県・一般財団法人 徳島県観光協会
展望室の床のガラス窓から渦潮をのぞきこめる。
展望室の床のガラス窓から渦潮をのぞきこめる。

もっと近くで渦潮を体験できる観潮船もおすすめです。徳島県鳴門市と兵庫県の淡路島、それぞれからクルーズ船や水中の様子が見られる観潮船が出航しています。間近で見る渦潮の迫力に圧倒されることでしょう。

今回は、鳴門海峡の渦潮について紹介しました。夏休みのおでかけにも、自由研究のテーマにもぴったり! ぜひ、お子さんとの話題にしてみてくださいね。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

HP
https://kosodatemap.gakken.jp/

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

あわせて読みたい

おすすめ情報

こそだてまっぷ

こそだてまっぷから
人気の記事がLINEに届く♪

関連記事

この記事の監修・執筆者の記事