【世界共通の教育プログラム・国際バカロレアってなに?】内容とメリット・デメリットについて、わかりやすく解説

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【世界共通の教育プログラム・国際バカロレアってなに?】内容とメリット・デメリットについて、わかりやすく解説

「国際バカロレア」を知っていますか? International Baccalaureate(国際バカロレア)を略して「IB(アイ・ビー)」とも呼ばれます。世界各国で採用されている国際教育プログラムですが、日本でも国際バカロレア教育を行う認定校が増えています。国際バカロレアについて、わかりやすく紹介します。

目次

国際バカロレアとは?

国際バカロレア イメージ

国際バカロレアの成り立ち

国際バカロレアは、1968年に国際バカロレア機構(IBO)によって設置された世界共通の教育プログラムです。国際バカロレア機構の本部は、スイスの都市ジュネーブにあります。もともとは、先進国や発展途上国など、さまざまな国や地域で仕事をする政府関係者やビジネスパーソンの子どもたちが、どの場所にいても、2年間の国際バカロレアの認定プログラム(国際バカロレア・ディプロマ・プログラム)を学び、外部の機関によって作成・採点される試験に合格することで、国際的に通用する大学入学試験(国際バカロレア資格、IBディプロマとも呼ばれる)を得られることを目的として考案されました。

世界各国で採用される教育プログラム

国際バカロレアの教育プログラムは、世界160の国と地域の、約5800校の学校で提供されています(2024年12月現在)。国際バカロレア資格は、公平で信頼性が高いものとして国際的に評価され、国ごとに具体的な扱いの違いがあるものの、世界の多くの大学で、入学資格として幅広く受け入れられています

どんな教育プログラムなの?

国際バカロレア教育では、生徒が卒業までに身につけるべき10の資質が「学習者像(ラーナー・プロファイル」として具体的に示されています。

国際バカロレアにおける理想的な「学習者像」

①探究する人(Inquirers)
 好奇心を持ち、自主的に学び続ける姿勢を育む人

②知識のある人(Knowledgeable)
 幅広い知識を持ち、それを多様な状況で活用できる人

③考える人(Thinkers)
 批判的かつ創造的に思考し、複雑な問題に立ち向かう人

④コミュニケーションができる人(Communicators)
 さまざまな言語で考えや情報を理解し、表現し、他者と協働できる人

⑤信念をもつ人(Principled)
 誠実さと公平さを持ち、倫理的に行動できる人

⑥心を開く人(Open-minded)
 自分や他者の文化や価値観を尊重し、理解に努める人

⑦思いやりのある人(Caring)
 共感力を持ち、他者や社会に思いやりを示して行動できる人

⑧挑戦する人(Risk-takers)
 挑戦することを恐れず、自律的に困難に立ち向かう勇気のある人

⑨バランスのとれた人(Balanced)
 心身の健康や他者との調和ある生活を大切にする人

⑩振り返りができる人(Reflective)
 自分の学びや経験を思慮深く振り返り、成長につなげる人

生徒が単に知識を習得するだけではなく、世界に貢献できる人物へ成長するために必要な資質が、学習者像として定義されています。この学習者像へと生徒を導くため、国際バカロレア教育では、生徒一人ひとりの可能性を引き出す、次のような4つのプログラムを実施しています。

国際バカロレアのカリキュラム

◯PYP (Primary Years Programme 初等教育プログラム)
3〜12歳対象
児童は、言語、社会、算数、芸術、理科、体育(身体・人格・社会性の発達)の教科を横断してテーマを探究します。テーマは、「私たちは誰なのか」「私たちはどのような場所と時代にいるのか」「私たちはどのように自分を表現するのか」「世界はどのような仕組みになっているのか」「私たちは自分たちをどう組織しているのか」、そして「この地球を共有するということ」です。

◯MYP (Middle Years Programme 中等教育プログラム)
11〜16歳対象
言語と文学、言語の習得、個人と社会、理科、数学、芸術、保健体育、デザインの教科に横断的に取り組みます。PYPの教科横断的テーマをさらに発展させた、6つのグローバルなテーマを探究します。テーマは「アイデンティティーと関係性」「個人的表現と文化的表現」「空間的時間的位置づけ」「科学技術の革新」「公平性と発展」、そして「グローバル化と持続可能性」です。

◯DP (Diploma Programme ディプロマプログラム)
16〜19歳対象
国際バカロレアの要となる2年間のプログラムです。PYPやMYPを学んでいなくても履修できます。6つのグループから各1科目ずつ選択した6科目と、3つのコア(課題論文、知の理論、創造性・活動・奉仕)の必修要件で構成されます。履修し、外部試験に合格すると、国際バカロレア資格を習得することができます。

(文部科学省ホームページより転載)

◯CP(Career-related Programme キャリア関連プログラム)
16〜19歳対象
生涯のキャリア形成に役立つスキルの習得を目指すプログラムです。DPの一部科目と、4つのコア(学習の方法、コミュニティと奉仕活動、外国語学習、振り返りのプロジェクト)の必修要件を組み合わせます。

すべてのプログラムに最終プロジェクトがあります。PYPでは発表会、MYPでは「パーソナルプロジェクト(研究テーマを見つけ、リサーチ・探究を行い、論文・作品制作を行う。制作過程を記録し、レポートを提出)」、DPでは「課題論文(選んだトピックについてリサーチし、成果を正式な学術論文の形で発表)」、CPでは「振り返りプロジェクト(キャリア教育に関連した特定の課題に、倫理的な観点から検討を加える個人研究)」を行い、それまでの学習の成果として、身につけた知識やスキルを披露します。

≪関連記事≫【話題のボーディングスクールって?】各国から集まる子どもたちとの交流で育む、教育現場の実情[専門家監修]

日本における国際バカロレア

国際バカロレア イメージ

日本で注目されるようになったきっかけは?

日本で国際バカロレアが注目されるようになったのは、2013年に教育のグローバル化を目指し、閣議決定によって、国際バカロレア教育を行う認定校を200校に増やすという目標が掲げられたことがきっかけです。2024年12月末現在、日本の国際バカロレア認定校は251校になりました(文部科学省ホームページより)。

国際バカロレアの利点は?

日本から海外の大学へ進学するためには、高等学校卒業もしくは同等の資格があれば出願することができますが、それでも国際バカロレアが注目されるのは、国内で国際的な水準のグローバル教育が受けられることにあるでしょう。また、国際バカロレア資格は世界中の大学で高く評価されており、国際バカロレアの授業の成績で海外大学へ出願できるなど、進学で有利になることが多いです。そして、国内の大学で、国際バカロレア資格を利用した入試が広がっていることもメリットです。しかし、ほとんどの認定校の学費が高いこと、認定校やプログラムによって基準は異なるものの、英語で行われる授業や英語での発表は必須であるため、高い英語力が求められること、一般的な学校のカリキュラムに比べて、提出する課題の量が多いことなどがデメリットとして挙げられます。

今回は、国際的な教育プログラム「国際バカロレア」について、その成り立ちや教育の特徴について紹介しました。世界に貢献できるグローバルな人物を育てる教育プログラムの一つとして、理解を深めてはいかがでしょうか。

この記事の監修・執筆者

編集部員 こそだてまっぷ編集部

未就学から中学生までの子を持つママ編集者を中心に、子どもの学びや育ちに関する様々な情報を日々発信しています!

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