【医師監修】レジャーシーズン到来! なんとかしたい 子どもの乗り物酔い

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5月は気候もよく、家族や友だちだけでなく、学校行事などでもお出かけする機会がふえますね。クラスには、乗り物酔いをするお子さんが一定数いて、悩んでいる保護者も多いようです。
では、どうして乗り物酔いをしてしまうのでしょうか? また、どんな対処法があるのでしょうか? 原因や対処法を耳鼻科医の浅香大也先生にうかがいました。

監修/浅香大也(浅香耳鼻咽喉科クリニック院長) イラスト/わたいしおり

目次

乗り物酔いの症状はさまざま

乗り物酔いには、

・吐き気がする
・嘔吐してしまう
・めまいがする
・生あくびが出る
・頭痛がする
・冷や汗が出る
・顔色が悪くなる

 などの症状があります。

症状が出やすい年齢

乗り物酔いは、小学校入学くらいから起こり始め、小学校高学年~中学生に多いといわれます。
年齢を重ねるごとに徐々に減っていき、20歳のころには多くのお子さんが乗り物酔いをしなくなります。

乗り物酔いはなぜ起こる? 治る?

車、バス、電車、船、飛行機などの乗り物をはじめ、遊園地の乗り物でも酔ってしまうという人もいます。
乗り物に乗っていると、そのゆれに合わせてからだがゆれ、景色もゆれて見えますね。
本来「ゆれ」による、からだが傾いたり回転したりする平衡感覚は、内耳(鼓膜より奥の部分)にある器官が受け取った情報が脳に伝えられ、バランスを取っています。

しかし、カーブや右折・左折をしたときの左右のゆれ、スピードを加速・減速させたときやブレーキをかけたときの前後のゆれなど、予測できない乗り物の「ゆれ」が起こると、内耳の中の平衡感覚を保っている器官がかき乱されてしまいます

それと同時に起こっている景色のゆれも目から脳に伝えられているので、
「耳がとらえる加速度の情報」と「視覚情報」にズレが生じて脳がパニックを起こし、自律神経に異常信号を送ってしまうことで、「乗り物酔い」になるのです

乗り物酔いをするお子さんは、「ゆれ」に対する経験が不足しているかもしれません。

お出かけ当日に酔わないようにするには?

乗り物に酔わないために、次のことを心がけましょう。

・乗り物に乗る前の日は、早めに寝て、睡眠時間をたっぷり取る
・空腹の状態で乗らない
・芳香剤など匂いのするものを車内に置かない、お菓子など匂いのするものを食べない(匂いで酔ってしまう人もいます)
・本を読んだり、スマートフォンをいじったり、ゲームをしたりしない(文字や画面を見ると酔ってしまうことがあります)
・ゆったりとした服を着る(締めつける服はさけましょう)
・酔い止めの薬を飲んでおく(乗車30分前には飲んでおきましょう)
・頭をなるべくゆらさないようにする
・進行方向を見る
・遠くの山などを見る
・時々からだに新鮮な空気を取り入れる
・車内温度や湿度を快適にする

食べ過ぎてもNG。適度な食事を!

酔ってしまったら

もしも、酔ってしまったときは、次のように対処してあげてください。

・吐きたいときは我慢せず吐いてしまう
・乗り物から降りて、外の空気を吸う
・横になるなど、ラクな姿勢を取る
・乗り物酔い止めの薬を飲む(酔ってからの服用でもOK)
・おしゃべりなどで気を紛らわす

普段からできる乗り物酔い対策

乗り物酔いを改善するためには、日常で、内耳の平衡機能を鍛える遊びを取り入れるといいでしょう。
また、乗り物に乗る経験を重ねましょう「ゆれ」に慣れることで、脳がパニックを起こしにくくなります

小さいお子さんでも平衡機能を鍛えられる遊び

ほかにもトランポリンやでんぐり返しをしたり、すべり台やシーソーなどで遊んだりするのも効果的です。

不安の強いお子さんは、酔った経験が「また酔ったらどうしよう」という不安やプレッシャーとなり、また酔ってしまうこともあるので、「乗っても平気」という成功体験を増やしていくといいでしょう。ただし、くれぐれも無理強いをしないようにしてください。

症状がひどい場合や頻繁に乗り物酔いをしてしまう場合は、耳や脳に関係する別の病気の可能性もあります。心配なかたは医療機関に相談してください。

この記事の監修・執筆者

浅香耳鼻咽喉科クリニック院長 浅香 大也

1997年、東京慈恵医科大学卒業後、同大学病院に勤務。2018年に東京都世田谷区に浅香耳鼻咽喉科クリニックを開業。

「みみ、はな、のど」に関するさまざまな病気について、乳幼児から年配のかたまで安心して受診できる、地域のかかりつけ医としての役割を果たすこと、そして、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの炎症性鼻疾患に対して、免疫療法や日帰り手術など、専門的かつ総合的医療を提供していくこと、質の高い医療の提供、患者にとってわかりやすい説明、大学病院などとの緊密な提携を柱に、信頼できるクリニックを目指している。

また、キッズスペースも完備した「子どもの耳鼻科」として、乳幼児へのていねいな診察・対応も特長のひとつとしている。

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