【建築教育ってなに?】子どもも楽しめるオススメの建築スポット・体験教室10選

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【建築教育ってなに?】子どもも楽しめるオススメの建築スポット・体験教室10選

生活の基本となる衣食住のうち「住」について学ぶ「建築教育」をご存じでしょうか? 建物のことだけではなく、暮らしや周辺環境、地域社会をよりよく整えていくための考え方や創造性を身につけることをめざす教育で、STEAM教育を横断的に学べるものとしても注目されています。

本記事では「建築教育」の体験につながることを目的に、子どもが建築を学ぶ方法や、世界的に有名な建築家がデザインした全国の建築スポットなどを紹介しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

文/マムズラボ

目次

子どもに「建築教育」がオススメの理由は?

子どもに「建築教育」がオススメの理由は?

「建築教育」を通して子どもが得られることはたくさんあります。実際の建築物を見ることで美意識がはぐくまれたり、テーマに基づいた作品づくりへの参加を通し、デザイン力・設計力のアップも期待できます。子どもの感性と能力が伸びる可能性のある「建築教育」のオススメ理由をご紹介します。

1.これからの時代を生きる力がはぐくまれる

OECD生徒の学習到達度調査「PISA」で上位にランクインしているフィンランドで、1993年から子どもたちへの建築教育を提供している「Arkki」によると、教育とはその時に必要な知識の習得や暗記だけではなく、学び方そのものを考えたり、情報の組み合わせを思考し、それらを創造的に用いて社会の複雑な問題を解決することを指すそうです。建築を介することでそれらの力がはぐくまれ、子どもたちに必要な基本的なスキル、能力、資質の発達が促されるとしています(※1)。

「Arkki」のプログラムは2008 年にフィンランド教育文化省によって承認されています。フィンランドでは、建築を通した学びや気づきによりはぐくまれる能力が、現代はもちろん、これからの未来を生きる子どもたちに必要だと判断していると考えられます。

2.総合的な「STEAM教育」の場になる

STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた概念で、STEAM教育は、今後のIT社会に順応した人材にはぐくむための教育手法です(※2)。

文部科学省におかれている中央教育審議会では、幅広い分野で新しい価値を提供できる子どもをはぐくむために、新学習指導要領において充実されたプログラミングやデータサイエンスに関する教育・統計教育に加え,STEAM教育の推進が提⾔されています(※2)。

「建築教育」は、STEAMの「A」に含むと定義されることがある芸術、⽂化、⽣活、経済、法律、政治、倫理などのほか、工学・ものづくりを示す「E」や数学を示す「M」などにも含まれる要素があるとして、STEAM教育を広く学べるものとして考えられているようです。

【関連記事】子どもといっしょにアートを楽しめる施設はこちらから

子どもと楽しめるオススメ建築スポット7選

子どもと楽しめるオススメ建築スポット7選

子どもが建築に触れられる施設や場所を7か所ピックアップしてご紹介します。実際の建築を体験して「建築教育」に触れてみてはいかがでしょうか。

なお、新型コロナウイルス感染拡大などの状況次第では閉館していたり、施設によっては事前予約制になっていたりするところもあります。あらかじめ公式サイトなどで確認してくださいね

【北海道】モエレ沼公園

モエレ沼公園は彫刻家のイサム・ノグチの最後の作品(※5)で、彼が基本設計を手掛けた公園です。公園全体を一つの彫刻作品としてみなし、23年の歳月をかけて造成されました。

約1,700本のサクラが植樹された「サクラの森」の中には7つの遊具エリアがあり、ノグチによりデザインされた遊具126基が設置されています。また、平面造形による遊水池「モエレビーチ」、ダイナミックな水の動静が楽しめる「海の噴水」も見どころのひとつ。

そのほか、1933年にノグチがはじめて大地に彫刻を彫りこむというコンセプトを打ち出した「プレイマウンテン」のプランが実現しているのも大きな特徴といえるでしょう。「プレイマウンテン」は、ランドスケープアートの先駆的なアイデアとしても評価されています。

公園のシンボルである三角錐と四角錐の立方体が組み合わされたガラスの建築物「ガラスのピラミッド」は、ノグチのデザインをもとに建築事務所ARCHITECT5が設計しています。

休園日なし(但し、各施設はそれぞれ休業日あり)
入園料無料
住所〒007-0011  札幌市東区モエレ沼公園1-1
公式サイトhttps://moerenumapark.jp/
(2022年9月現在)

【群馬県】原美術館ARC

2021年に閉館した東京の原美術館と、1988年に別館として開館したハラ ミュージアム アークの両館が統合し、「原美術館ARC」となった美術館です。現代美術と東洋古美術作品を所蔵し、作品を入れ替えながら展示しています。

設計は世界的建築家である磯崎新氏が手がけています。ピラミッド型の屋根を持つ正方形のギャラリーAと、両翼に伸びるギャラリーB・Cがシンメトリーに配置されており、黒っぽい色調で統一されたシャープな外観が特徴的です。
室町時代の住宅様式である書院造を参考にデザイン・設計された「觀海庵」があとから増築されています。

開館時間9:30~16:30(入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日木曜日(祝日と8月、2022年12月29日を除く)
展示替え期間
1月1日
冬季(詳細はホームページよりご確認ください)
入館料一般:1,100円
大高生:700円
小中生:500円
70歳以上:550円
住所〒377-0027 群馬県渋川市金井2855−1
公式サイトhttps://www.haramuseum.or.jp/jp/arc/
(2022年9月現在)

【静岡県】静岡県富士山世界遺産センター

2013年6月に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された「富士山」について学べる施設です。「JCDインターナショナルデザインアワード2018」大賞、「第37回ディスプレイ産業賞」大賞、「DSA日本空間デザイン賞2018」金賞、「第52回サインデザイン賞」金賞を受賞しています(※4)。

施設の建築設計は、建築分野のノーベル賞ともいわれるプリツカー建築賞を受賞した坂茂氏が手がけており、壁面は富士ヒノキで組み上げられ、池に映る富士山を逆さにしたような逆円錐形の外観をしています。

館内では、富士山を疑似登山できるエリアや、富士山の歴史や生態系などを学べるエリアもあります。企画展やイベントについては公式サイトをご確認ください。

開館時間通常:9:00~17:00
7・8月:9:00~18:00
※最終入館は閉館の30分前
休館日毎月第3火曜日
施設点検日(令和4年度:6/6~6/10、12/5~12/9)
年末(令和4年度:12/27~12/31)
入館料大人:300円
大学生以下の学生・70歳以上の方:無料
※企画展については、企画展によって料金が異なる
住所〒418-0067 静岡県富士宮市宮町5−12
公式サイトhttps://mtfuji-whc.jp/
(2022年9月現在)

【石川県】金沢21世紀美術館

現代美術を多数収蔵し、さまざまな展覧会やプログラムを展開している美術館です。プリツカー賞、日本建築学会賞作品賞(2度)、ヴェネチアビアンナーレ第9回 国際建築展 金獅子賞などさまざまな賞を受賞している共同設計事務所SANAA(妹島和世氏、西沢立衛氏)による設計で、代表作でもあります。

「まちに開かれた公園のような美術館」をめざすという建築コンセプトから、「多方向性=開かれた円形デザイン」「水平性=街のような広がりを生み出す、各施設の並置」「透明性=出会いと開放感の演出」に基づいてデザインされています。丸みのある特徴的な建物にはガラス製のアートサークルが用いられていて開放感があり、照明や調光で明るさも保たれています。

開館時間展覧会ゾーン:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
交流ゾーン:9:00~22:00(各施設の開室時間はそれぞれ異なる)
休館日展覧会ゾーン:月曜日(休日の場合は直後の平日)、年末年始
交流ゾーン:年末年始(各施設の休室日は展覧会ゾーンに準ずる)
入館料展覧会ゾーン:展覧会によって料金が異なる
交流ゾーン:無料
住所〒920-8509 石川県金沢市広坂1−2−1
公式サイトhttps://www.kanazawa21.jp/
(2022年9月現在)

【岐阜県】多治見市モザイクタイルミュージアム

施釉磁器モザイクタイルの情報や知識、技術が展示・公開されているミュージアムです。

設計デザインは建築家・藤森照信氏が手がけており、タイルの原料を掘り出す採土場「粘土山」をモチーフに設計されています。すり鉢状の緑の斜面から、土の壁がなだらかなカーブを描きながら立ち上がる外観が特徴的です。

藤森氏がセレクトしたモザイクタイルの世界が表現されている4階展示室では、床から天井まで白いタイルに覆われており、地元を中心に各地から収集されたモザイクタイル画を見ることができます。

開館時間9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日月曜日(休日の場合は翌平日)
※年末年始:12/29~1/3の間は休館
入館料個人:310円
※高校生以下:無料(学生証の提示が必要)
年間パスポート:1,020円
住所〒507-0901 岐阜県多治見市笠原町2082-5
公式サイトhttps://www.mosaictile-museum.jp/
(2022年9月現在)

【兵庫県】橋の科学館

20世紀最大とも呼ばれるつり橋「明石海峡大橋」の紹介をメインにしたサイエンスミュージアムです。「明石海峡大橋」は大手建設会社によりおよそ10年の期間を経て建設されました。この科学館では建設するにあたり集められた日本の橋梁技術を知ることができます

ケーブルの上を歩いて「橋の点検」ができる「360°VR体感コーナー」のほか、空中に設置されている長さ40mの風洞実験模型、3D立体映像による明石海峡大橋などの建設記録上映など、さまざまなかたちで海洋架橋技術の展示が行われています。

技術や外観デザインだけではなく、暮らしや地域をよりよくする「土木」を含む建設面から、広く知識を身につけることができます。

開館時間・休館日◆3月~7月19日、9月~11月
・9:15~17:00(入館は16:30まで)  
・休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日・繁忙期は除く)
※ゴールデンウィーク期間は無休  

◆7月20日~31日、8月
・9:15~18:00(入館は17:30まで)
・休館日:なし

◆12月~2月  
・9:15~16:30(入館は16:00まで)
・休館日:毎週月曜日 (祝日の場合は翌日・繁忙期は除く)、12/29~1/3
入館料大人:310円
小・中学生:150円
優待(65歳以上):200円
住所〒655-0047 兵庫県神戸市垂水区東舞子町4-114
公式サイトhttps://www.hashinokagakukan.jp/
(2022年9月現在)

【香川県】直島(直島町)

現代アートの島として、アート・建築・プロジェクトなどのさまざまな取り組みを行っている地域です。直島・豊島(香川県)・犬島(岡山県)を舞台に(株)ベネッセホールディングスと(公財)福武財団が展開し、アート活動「ベネッセアートサイト直島」を展開しています。

建築家・安藤忠雄氏が設計した「地中美術館」「ベネッセハウス ミュージアム」「ANDO MUSEUM」、同氏とのコラボレーションによる美術館「李禹煥美術館」、アーティスト・大竹伸朗氏による「直島銭湯『I♥湯」」、建築家・西沢大良氏が手がけた「宮浦ギャラリー六区」、建築家・三分一博志氏による「The Naoshima Plan 『水」」「The Naoshima Plan 『住」」、共同設計事務所SANAA(妹島和世氏、西沢立衛氏)による「海の駅『なおしま』などを見ることができます。

また、空き家などを改修した空間そのものをアートにした活動「家プロジェクト」では、現代美術家・宮島達男氏の作品「角屋」のほか、「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」の7軒が公開されています。

開館時間施設によって異なる
休館日施設によって異なる
入館料施設によって異なる
所在地〒761-3110 香川県香川郡直島町2249-40(NPO法人直島町観光協会)
公式サイトhttps://naoshima.net/
(2022年9月現在)

建築教育を学べる子ども向け体験教室・教育塾3選

建築を学べる子ども向け体験教室・教育塾3選

「建築教育」に触れられる、子ども向けの体験教室などをご紹介します。

【無料・オンライン】ものづくり体験こどもカレッジ

「ものづくり体験こどもカレッジ」は修成建設専門学校が行っている体験講座で、「ものづくり体験こどもちゃんねる」では「お家で出来るものづくり」をテーマに、さまざまなものづくり体験動画を、動画配信サイトで無料公開しています。

ものづくり動画には、割りばしで作る橋や、一戸建ての家を模した貯金箱の作り方を紹介しているものがあります。部屋をデザインするために考えられたぬりえの配布のほか、紙の観葉植物やフォトフレームなどのインテリアグッズを作る工作動画などもあります。

おうちのデザインを考えたりできるなど体験内容はさまざまです。自宅にある道具や、100円ショップで手に入る資材を中心に取り組める点もオススメです。

YouTube:ものづくり体験 こどもカレッジちゃんねる

公式サイト:ものづくり体験こどもカレッジ

【無料/有料・オンライン】ケンチク脳®︎こどもデザインアートラボ

一級建築士の資格を所有するアートデザイナーがプロデュースする、小中学生のための建築アートデザインスクールです。オンライン体験型の学習では、建築士の先生といっしょにデザインを学習したり、模型を作るプログラムが用意されています。

そのほか、「庭デザイン」「お店デザイン」などのプログラムもあり、工作キットがついているものもあります。

なお動画配信サイトでは、「〇〇〇〇のペーパー模型づくり」「お店の看板デザインのペーパー模型づくり」など、親子で「住まいデザイン」を学び楽しめる動画を無料で公開しており、自宅で建築ペーパー模型の組み立てを楽しめます。

また、無料体験講座や半額体験講座も用意されているため、一度申し込みをする前に内容のイメージをしたい方などにオススメといえるでしょう。

YouTube:ケンチク脳 デザインアートラボ

公式サイト:ケンチク脳®︎こどもデザインアートラボ

【有料・オンライン/オフライン】こどものけんちくがっこう

子どもたちが、日常で何気なく接している建築物や住環境について、「ものづくり」を通して学べるプログラムを展開している団体です。本拠地は鹿児島県ですが、定期的にオンライン授業も行っています

オンライン授業では、コンクリートや木について学ぶ「建築基礎シリーズ」、著名な建築家や有名な建築物や建築運動について学ぶ「名家名作シリーズ」などがあり、工作キットもついています。

鹿児島大学での授業のほか、森や製材所、建設現場、名建築などの見学ツアーなどで構成され、4月~翌年1月まで定期的に開催される定期授業もあります。また、森林を学びの場とし、森の中で見つけた材料でツリーサークルを飾る課外授業などもあります。

公式サイト:こどものけんちくがっこう

「建築教育」を通して、子どもの可能性を広げよう

「建築教育」を通して、子どもの可能性を広げよう

建築には、建物や街づくりだけではなくアートやデザイン、STEAM教育などの要素も含まれており、これから注目の教育分野のひとつです。「建築教育」を通して、子どもの新しい可能性を広げられるかもしれません。興味のある保護者は、子どもといっしょに工作や建築物見学から始めてみてはいかがでしょうか。

【引用】
(※1)Arkki International Ltd.「About Arkki」
https://www.arkki.com/arkki/
(※2)⽂部科学省初等中等教育局教育課程課「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」https://www.mext.go.jp/content/20220518-mxt_new-cs01-000016477_00001.pdf

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