机の上はぐちゃぐちゃ、宿題や習い事に使う道具がすぐ出てこない……散らかり放題の子ども部屋、気になっていませんか? 片づけのスキルは、判断力、実行力など社会に出て役立つ力につながるものです。また、防災にも役立つ大切なスキルでもあります。夏休みは親子で片づけに取り組んで、心と空間を整えるチャンス。片づけの効果とそれを習慣づけるための方法を、整理収納アドバイザーの熊田明美さんに伺いました。
取材・文/FUTAKO企画
片づけのメリットとは
片づけのスキルが「将来役立つ力」に
もしも、「なぜ片づけが必要なの?」とお子さんに聞かれたら、どう答えるでしょうか。
「部屋がきれいになる」「時間の節約になる」「ストレスが減る」「(勉強や作業などの)やる気が出る」など、現在は小学5年生の家庭科でも「整理整頓」のカリキュラムがあるように、片づけの必要性は認められています。
そして、子どもにとっての片づけとは、「モノを分類し、決めた場所に戻す」経験を重ねることで、将来につながるさまざまな力を育む絶好の機会でもあるのです。
まず、限られた空間を有効活用するために物を減らし、いるモノ・いらないモノの取捨選択をすることで、判断力が身につきます。これは、成長したときに、進路や仕事など自分自身で何かを選択することにつながるものです。
そして、自分でモノの位置を決め、日常的に管理していくことで、自己管理能力が養われます。
さらに、いらなくなったモノを廃棄するときに自分の行動を振り返って、モノを大切にする気持ちも養われます。無駄遣いしないようにする金銭感覚も身につきます。
これらは、いずれも社会に出たときに必要になる大切な力です。保護者の方が関与しやすい小学生のうちに、お子さんが自分で片づけの習慣を身につけられるようにサポートしていくことは大事なことだと思います。
時間のある夏休みは片づけのチャンス
家にいる時間が増える夏休みは、モノの価値を見直す時間や作業時間が取れるので、親子で片づけに取り組むには絶好の機会です。
この時期に片づけ(整理収納)の仕組みを作ってしまえば、新学期が始まった後は、モノを定位置に戻すだけの短時間の作業で済むようになります。
ただし、まだ仕組みができていないのに、「今すぐ自分の部屋を片づけてきなさい」などとお子さんだけに任せてしまっては、うまくいかないもの。
これから紹介する方法を参考に、ぜひ親子一緒に片づけに取り組む時間を作っていただけたらと思います。
親子で片づけに取り組む際の準備

片づけの「目的」「ゴール」を決めておく
まずは取りかかる前に、「なぜ今やる必要があるのか」、片づけの目的をはっきりさせて、親子で共有しましょう。
・気持ちよく新学期をスタートさせるため
・モノを見つけやすくするため
・親子で作業できる夏休みの時間を有効活用するため……など、目的をしっかり説明しましょう。
お子さんが「それならやってみたい!」とわくわくするような提案をするのもよいと思います。
例えば、
・(ゲームやアニメのキャラクターなど)趣味のグッズを飾るコーナーを作ろう
・いらないものをリサイクルショップで売って、お小遣いにしよう
・片づけをテーマにした自由研究をしよう……といったことも、片づけの目的になり得るのではないかと思います
人は、「自分が納得できる目的」がないと行動につなげられないものです。保護者の方が一方的に「こうしよう」と決めてしまうのではなく、お子さんの意見も聞きながら、「納得し、行動したくなる目的」を一緒に考える姿勢がとても大切です。
また、目的だけでなく、片づけのゴールも決めておきましょう。
ゴールを決めずにスタートすると、どう整理していけばいいかわからなくなり、二度手間になってしまうこともあります。
片づけのゴールの例として
・自分の部屋で快適に勉強できる状態にする
・リラックスして落ちつける部屋にする
・よく眠れる部屋にする
・(習い事の道具など)必要なモノがすぐに取り出せる状態にする……など、各家庭によってさまざまなゴールが考えられると思います。今回の片づけはどんなゴールを目指すのか、整理をする前に決めておくとよいでしょう。
作業日までの準備
事前に片づけの目的とゴールの共有をしたうえで、作業日までに
・地域指定のゴミ袋
・リサイクルショップにすぐに持っていけるサイズの大きな袋やボックス
・付せん、ラベルシールなど(後述の②)などを準備しておきます。
現状のスペースに収納が不足している場合は収納場所の確保をしたり、カラーボックスやワゴンなどを準備したりする場合もあります。
片づけの作業は「仕分け」と「定位置」が大事

準備ができたら、いよいよ片づけ作業をスタート。下記の順で進めていきます。
1.引き出しや収納ケースのモノはいったん全部出す
2.いるモノ・いらないモノの仕分けをする
3.収納場所を決める
4.必要なモノだけ戻す
いるモノ・いらないモノの仕分け方
今あるモノを一覧できる状態にして、「必要なモノ」「ゴミとして処分するモノ」「人に譲るモノ」の3つに分類します。
3つのどれに分類するかは、できるだけお子さんの判断を尊重し、保護者の方はアドバイザーとしてそばで見てあげるとよいでしょう。
お子さんが「必要なモノ」と考えても、家庭内での適切な量をオーバーしてしまっては問題です。「ここに収まる分だけにしよう」などと声をかけて、限度を超えた分は処分する、別な場所に移動するなど、一緒に考えて決めます。
「ゴミとして処分するモノ」は、住んでいる地域の市区町村のルールに則って「普通ゴミ」「ミックスペーパー」「プラスチック資源」などに仕分けをして、ゴミ袋に入れましょう。リサイクルを実体験するよい機会になると思います。
「人に譲るモノ」も、「リサイクルショップに持っていくモノ」「親戚や知人に譲るモノ」「寄付するモノ」に分けて袋やボックスなどに入れ、それぞれすぐに持っていけるような状態にします。
整理整頓された状態を保つためのコツ
片づけの際に重要なのは、整理整頓された状態を継続できるような「仕組みを作る」ことです。学用品・本・おもちゃ・衣類など、カテゴリーごとにどこに置くか、「モノの定位置」をはっきりさせることで、お子さんが迷わず片づけられるようになります。
以下の例を参考に、ご家庭に合った仕組みを考えてみてください。
➀「モノの住所」を決める
「一番上の引き出しには筆記具やはさみなど文房具、二番目はシールやメモ帳」など、「モノの住所」を決めます。その場所からはみ出さずに収まるよう、余裕を持たせて収納することも大事です。特に文房具などの小物類は種類が多いので、お菓子の空き箱や収納ケースを利用するなど、使いやすさと見た目の楽しさも考えながら仕分けをするとよいと思います。
②ラベルをつける
引き出しや収納ボックスの、どこに何が入っているかが一目でわかるように、ラベルで内容がわかるようにしておくこともポイントです。ラベルは、タックシールやマスキングテープなど、100円ショップにあるもので十分。内容をできるだけ具体的に書いておくとよいでしょう。
収納場所にラベルを貼っておくことで、使ったモノを元の場所に戻しやすくなります。
③家族のものと区別する
お子さんにきょうだいがいる場合は、それぞれの引き出しやボックスにマークをつけたり色分けをしたりして、だれのモノかパッと区別ができるようにするとよいでしょう。
④定期的にリサイクルショップに行く日を決めて、家族の行事にする
子どもが出したモノの買い取り金額は子どもに還元します。それによってお子さんがモノを大事に扱うことを意識するようになり、達成感にもつながります。
⑤ライフスタイルやライフステージの変化に対応する
進級・進学や習い事の切り替えなど、生活の変化に対応して定期的に収納場所の見直しを行いましょう。子どもの成長に対応し、モノの管理が適切にできるようになり、快適に過ごせるようになります。
防災を意識した片づけを

夏休み明けの9月1日は「防災の日」。学校によっては引き取り訓練が行われるなど、いつも以上に防災を意識しやすい時期でもあります。
防災を意識した片づけや整理は、「命とモノはどちらが大切か」などと考えることでモノの判断基準が明確になります。
「片づけが必要な理由」の一つとして、下記のような災害時に起きることを話しておくことで、お子さんがイメージしやすくなり、よりしっかりと片づけの意識づけができるようになるでしょう。
大地震
モノの整理と把握は大事。きちんと防災備蓄品(水・食糧・衛生品・生活用品など)を管理していないと、いざというときに賞味期限切れや使用できない場合もあります。
火災
・【隣家で火災の場合】
廊下に段ボール・玄関に靴や傘が散乱しているとすぐに避難できない。
・【自宅での火災の場合】
消火器が取り出せないと初期消火できない→大規模火災につながる恐れ→多くの人に命の危険が及ぶことがある。
豪雨
・【浸水しやすい地域の場合】
レインコートと非常用持ち出し袋を出す、警戒レベルによって即行動できるようにする必要がある。
最後に

親自身、片づけが苦手な場合も
実は私自身も、以前は片づけが苦手でした。そんな親が自分のことは脇に置いて「片づけなさい」と言うばかりでは、子どもが片づけられるようにはなりません。
まずは、私自身が整理収納を体系的に学びました。
学んだ後は行動あるのみ、と自分自身が必要・不必要を判断できるものから整理していきました。子どもが家にいるときにブツブツ言いながら整理していると、自然と子どもも真似をするようになりました。
親が片づけている姿を見せることで、「片づけなさい」と言う以上に、子どもには効果があるのだと思っています。
片づけを行う際に見落としがちなポイント
家族構成、住居の形態、ライフスタイルや子ども自身のモノの持ち方などによって、片づけ(整理)は違うため、他人の家と比較しないことが大切です。
例として、近年は家の間取りもさまざまで、個室を設けず勉強部屋や寝室をきょうだいで一緒にしているお宅(子どもの年齢が上がったら個室を設けるお宅もあり)、廊下にブックコーナー(簡易図書館)を設けているお宅、リビングに子ども全員の勉強机を設置しているお宅、などがあります。
「どうすれば使いやすく片づいた状態を保てるか」の答えは、ご家庭の数と同じだけあると思います。
また、子どもの年齢によっても変化してきます。一度その場所で勉強すると決めても、成長した子どもが「こうしたい」と言いだしたら、変化に対応することも大切です。
人間はモノを使って生きていくので、整理や片づけは一生続きます。一生続くからこそ、早めに整理・片づけをして、快適な時間を増やすことが幸せへの近道だと考えています。
この記事の監修・執筆者
整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、クリンネスト実務士、クリンネスト2級認定講師、防災士、調理師などの資格を生かし、認定資格講座や講演、セミナー、雑誌・テレビなどでも活躍。
防災と整理収納の両面から快適で安心できる暮らしを提案。子どもが自ら机に向かう勉強部屋等子ども向けの整理実績豊富。また、防災備蓄や動線を考えた収納法など、オンライン個別アドバイス等も行う。
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