【怒涛の夏休みをどう乗り切る⁉】増える家事&育児の負担は「脳のコントロール」で軽くなる!/教育評論家監修

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【怒涛の夏休みをどう乗り切る⁉】増える家事&育児の負担は「脳のコントロール」で軽くなる!/教育評論家監修

夏休みに入り、子どもが家にいる時間が増えると、いっしょに過ごせてうれしい反面、普段よりも家事&育児の負担が増えることで子どもとも衝突したり、ストレスを抱えたりする保護者も少なくないでしょう。ここでは、教育評論家の親野智可等先生に、脳科学の視点を交えながら保護者が夏休みを少しでもラクに、そして親子で楽しく過ごせるようになる❝脳の使い方&コツ❞を教えていただきました。

取材・文/細川 麻衣子

目次

夏休みは保護者にとって普段以上に脳が疲れやすい時期

夏休みは保護者の方から「毎日イライラしてしまっている」「子どもに優しくできない」と悩む声を、普段より多く伺います。特に「せっかくの夏休みなのに、どうしてこんな気持ちになってしまうんだろう……」と、子どもや家族のために毎日を、より良く過ごそうと思うほど、気持ちが逆行する場合もあります。

実は、夏休みは保護者の脳に大きな負担がかかる時期なのです。

普段であれば学校や幼稚園、保育園が子どもの日常生活の多くを支える役割を担ってくれていますが、夏休みになると、その役割の多くを家庭が引き受けることになります。「朝ごはんのあとは何する?」「昼食はどうする?」「宿題はいつやらせよう」「ゲームはあと何分するの?」「勉強していないけれど、どう声をかけよう」など、常に保護者は気を張っている状態です。こうした子どもへの声かけや対応のひとつひとつは小さなことに感じますが、実は脳がすべて❝考え❞、❝判断❞、❝決断❞をしているのです。夏休みの保護者の脳は、一日中、この細かな意思決定を繰り返していることになります。

【怒涛の夏休みをどう乗り切る⁉】増える家事&育児の負担は「脳のコントロール」で軽くなる!/教育評論家監修

脳科学の視点からみると、物事を考えたり、判断したり、計画を立てたり、感情をコントロールしたりする働きを担っている前頭前野が、フル稼働している状態です。前頭前野のエネルギーが消費され過ぎてしまうと、些細なことでイライラしたり疲れやすい状態になってしまうのです。さらに、「片付けなさい」「宿題やったの?」などといった小さな衝突も増えます。すると危険やストレスを察知する脳の部位・扁桃体が働き続け、心も体も常に緊張した状態になってしまいます

また、子どもといっしょにいる時間が長くなることで、子どもの感情に影響を受ける機会も増えます。脳には、他者の行動や感情に反応するミラーニューロンと呼ばれる神経細胞がありますが、子どもが退屈してイライラしたり不機嫌だったり、反抗的な態度を取ったりしていると、その感情がこちらにも移るかのように、保護者の気持ちまでイライラしてしまうことがあるのです。

このように夏休みの保護者の心は、さまざまな点からイライラしやすく、ストレスが積み重なりやすい時期だと言えます。

ミラーニューロン:他者の行動を見たときに、自分が同じ行動をしているかのように反応する神経細胞のこと。

知っておくとラクになれる⁉「行動遺伝学」

保護者にとっては、疲れやすい状態が続く夏休みのあいだ、どうしてもつい「言うことを聞かない!」「わざとやっている⁉」「反抗⁉」「ちゃんとしつけなければ……」と思ってしまうかもしれません。

そこで、まず知っておいてほしいのが「行動遺伝学」で判明したことです。近年の研究によって、人の性格や行動には生まれ持った資質が大きく影響している、ということがわかってきました

例えば、片付けが苦手な子、何でも後回しにしやすい子、マイペースな子……こうした特徴は、子どもがわざと保護者を困らせようとしているわけでも、育て方やしつけ方が悪いからでもありません。❝生まれ付きの資質❞によるものが大きいのです。「また言うことを聞かない!」ではなく、「この子には、こういう特性があるんだな」と捉えてみると、保護者自身の心も少しラクになるのではないでしょうか。

だからといって、「生まれ持ったものだから、変えられない」ということではありません。大切なことは、子ども自身を無理にしつけたり叱ったりして変えようとするのではなく、その子が動きやすくなる方法を、保護者視点で何か工夫をプラスしてあげることなのです。

【子どもの状態/捉え方/工夫の例】

●散らかしっぱなし!
➡片付けが苦手なんだな
➡ワンタッチ収納にして子どもがひと目で片づけやすいように整える

●宿題を後回しにしがちで全然やらない!
➡もしかしたら宿題の量がハードル高めなのかも?!
➡「プリント1枚→1問だけやってみよう」と、スモールステップにして取り組みやすい環境設定に

●ゲームやYouTubeばっかり!(怒)
➡好きな事への集中力はすごくあるな…、切り上げるタイミングがわからないのかな
➡始めるときに「○○ができたら終わる」など終わるタイミングを自分できめる/どんなゲームなの?と興味を示してみる

保護者からみるといっけん腹が立つ行動に見えていることも、実はその子に合った環境や仕組みを保護者が整えることで、子ども自身が自分で動けるようになることはたくさんあります

「行動遺伝学」の発見を理解することで、子どもの困った“表れ”は子どものせいでも親のせいでもないことがわかります。ですから、子どもを責める必要も親自身を責める必要もないのです。大事なのは子どもがやりやすいように工夫してあげることです。

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保護者自身、自分の脳を上手にだます3つの方法

夏休みを乗り切るために、「行動遺伝学」の知見に加えて「脳科学」の知見も取り入れてみることをオススメします。

それは、脳はとても優秀な反面、意外と❝(自分自身の行動や言動に)だまされやすい❞という性質があるということです。

イライラしたり明るい気分になれないときでも、脳をだます行動・言動を実践することで、自分の脳がいい状態になってくるのです。私がおすすめしたいのは次の3つです。

【保護者自身の脳をだます! 3つの方法】

●❝ゆっくり吐く❞深呼吸
息を吐く時間を長くすると、副交感神経が働きやすくなり、心と体がリラックスした状態へ切り替わります。できればイライラしたときだけではなく、朝起きたときや家事の合間など、普段から深呼吸を習慣にしておくと、気持ちを切り替えやすくなります。

●❝強制スマイル❞で脳を勘違いさせる
気分が乗らなくても、口角を少し上げて笑顔をつくってみてください。すると脳は「今、自分は楽しいんだ」「幸せなんだ」と受け止め、心を前向きにするセロトニンというホルモンの分泌が促されます。つまり「楽しいから笑う」でなく、「笑うから楽しくなる」ということなのです。

●自分に優しい言葉をかける
「大丈夫」「落ち着こう」「何とかなる」など、安心できたり勇気づけられたりする言葉を、自分にかけてみてください。声に出しても、心の中でつぶやくだけでも構いません。自分が発した言葉は、自分の脳がいちばんよく聞いています。前向きな言葉を繰り返すことで、脳は安心し「大丈夫」と本当に感じはじめ、おのずとポジティブな気持ちになっていくのです。

【怒涛の夏休みをどう乗り切る⁉】増える家事&育児の負担は「脳のコントロール」で軽くなる!/教育評論家監修

脳科学の視点からこれらは証明されています。自分自身に元気が無いときは、脳を❝だます❞キッカケとなる行動・言動をとると、元気を取り戻せるかもしれません。長い夏休みを穏やかに過ごすための、メンタルケアのひとつとしてやってみてください。

親子で笑い合う時間が最高の❝脳リセット❞3つの方法

ミラーニューロンについてお伝えしましたが、まさに親子で笑い合うことは、ミラーニューロンの話に通じていて、お互い良いこと尽くしです。笑うと自然に呼吸が深くなり、自律神経が整いやすくなります。また脳がポジティブな状態だと受け止め、ネガティブな気持ちがあったとしてもリセットされやすくなるのです。例えば、こんな親子遊びがおすすめです。

【❝イライラ脳リセット❞3つの方法】

●親子で❝変顔大会❞
「どっちがおもしろい顔できるかな?」と、親子で変顔を見せ合ってみましょう。思わず笑ってしまう時間が、親にも子どもにも心の余裕をつくってくれます。笑顔をつくったり実際に笑うことで、脳は❝楽しい❞と反応して気持ちの切り替えにつながります。

●❝犬語❞でケンカ
あえて人の言葉を使わず「ワン(怒)」「ワンワン(怒)」と、犬同士の会話のようにケンカをしてみます。意味のある言葉を使わないので、お互いを傷つけることなく、ストレスだけを純粋に発散できます。一通り終わる頃には「何をやっているんだろう……」と、笑ってしまうことも。

●親子で❝じゃれつき遊び❞
人間ジャングルジム、足裏飛行機、足相撲など……スキンシップを伴う遊びは、親子の安心感・信頼感につながるオキシトシンを分泌するので、穏やかな状態になれます。

【怒涛の夏休みをどう乗り切る⁉】増える家事&育児の負担は「脳のコントロール」で軽くなる!/教育評論家監修

このように少し意識を向ければ、親子で脳を元気にしながら夏休みを楽しく&ラクに過ごせるのではないでしょうか。

夏休みは、子どもにとっても保護者にとっても、いつもとは違う毎日が続く特別な期間です。疲れたりイライラしたりするのはごく自然なことなので、気を落とし過ぎず、まずは深呼吸をして保護者自身の脳を休ませてあげてください。そのあと、親子で笑い合う時間を少しでも作ることが出来たら、きっと❝いつもよりちょっとラクで楽しい夏休み❞を過ごせるかもしれません。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、X、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
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