【治療費・お詫び】子どもが学校でケガをさせたら?

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こんにちは、現役小学校教諭の舟山由美子です。
エネルギーにあふれている子どもにとって、ケガはつきもの。
大きなケガをしたり、子ども同士のちょっとした小競り合いがケガにつながることもあります。
今回は、学校で起きるケガへの対応についてお話ししたいと思います。

目次

学校でのケガには、給付金制度が適用される場合も

学校のケガで多いのは すりきず・打撲・突き指などで、ケガが多い時間帯は、休み時間や体育の授業中です。

ケガをしたときは、保健室で手当をしてもらいますが、骨折や歯が欠けたときや、傷口がパックリと割れて縫わなければならないようなケガの場合は、病院に行って処置・治療をしてもらうことになります。頭を強く打ったという場合も、念のためCTを撮ってもらったりします。

病院で処置をしてもらうと治療費が発生しますが、こうした場合に備えて、日本の9割以上の学校が、日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」に加入しているそうです。これは国、学校の設置者(自治体)、保護者の三者負担による互助制度です。

例えば学校でケガをしたとき、そのケガが健康保険の適用範囲であって、治療費が一定額以上かかった場合は、その医療費の総額のうち4割が見舞金として支払われるというものです。

ただし、この給付金を受けるには、学校の管理下にある場合のケガに限られます。登下校のときのケガも保証されますが、たとえば学校で決められた通学路でない道でケガをすると、それが受けられないようなこともあります。また、こうしたケガに対する補償はケースバイケースであり、条例で定められた子どもの医療費助成などを受け、窓口負担がなかった場合の給付の有無なども、自治体によってそれぞれ異なる細則や書類申請があるようです。もしもの場合には、保健室の養護教諭とよく話し合い、確認してください。

完全には防げない、子ども同士のケガ

ケガの程度は小さくても、対応に配慮が必要なのが、子ども同士の接触やけんかによってケガをするケースです。こうしたことが起きた場合、まずケガの処置をした後、そのときの状況の聞き取り調査をします。本人だけでなく、周りにいた子どもたちからも話を聞きます。病院に行くようなケガの場合は、すぐに保護者に連絡して学校か病院に来ていただきます。治療にあたって保護者の了解が必要だからです。

一方、ケガをさせてしまったほうの子の保護者にも必ず経緯を伝えます。それは電話で話すことが多いのですが、私は子どもに「先生からおうちに電話しますが、その前に、必ず自分でしっかりお母さんお父さんに話しておきなさい」と言っています。

子どもに言わせるのは気の毒と思う方もいるかもしれませんが、親御さんが自分の子どもが誰かをケガさせた、という話を担任からいきなり聞かされたらどう思うでしょうか。驚くし、申し訳ないし、腹が立つし、担任と話をしながらでもそばに子どもがいたら、問いただしたくなってしまうのではないでしょうか。最初の情報は、まず自分の子どもから話を聞きたいというのが親心なのではないかと思います。

ですから子どもにも、「お母さんお父さんは、はじめは怒ると思うけど、自分の子どもから最初に聞きたいものなんだよ」と話します。これまでの経験で、こう話すと子どもは、ちゃんと自分で親に伝えています。担任が親御さんに電話した時点では、状況を冷静に伝えることができます。

また、学校からは、必ずケガをした子の家に対して、お詫びの電話を入れてください、と伝えます。これまでの経験上、ケガをさせた子に、電話や家に訪問するなどして謝ることで解決するケースがほとんどです。

保健室で処置できるのは、学校でのケガだけ

担任として思うのは、ケガをしないに越したことはないのですが、集団生活では、子どもはどうしてもケガをするものです。休み時間など見ていると、お互いよそ見をしながら走ってきてぶつかったりしています。不可抗力の場合も少なくありません。とてもおとなしい子が、まったく悪気なく、誰かをケガをさせてしまうこともあります。家庭でもケガはしてしまうもの。ましてや子どもが集まる学校は、さらにケガのリスクが高いということを心に置いて、ケガに対して神経質になりすぎないようにしていただければと思います。

また、どうしても保護者の皆さんにお伝えしておきたいことがあります。子どもが下校後、あるいは休日などにケガをしたとき、あるいは学校以外でのスポーツでの打撲や擦り傷のときなどに、「学校で診てもらいなさい」とか「学校で湿布を替えてもらいなさい」「保健室で絆創膏を貼ってもらいなさい」とお母さんお父さんから言われた、という子がいます。ごく一部ではありますが、わりと頻繁に子どもから聞くことです。

気持ちはわからないでもありませんが、これはマナー違反ではないかと思います。保健室は病院や治療院ではありません。保健室の養護教諭は、学校の管理下でのケガに対応しています。家庭でのケガは、家庭で対処していただくようお願いしたいと思います。

この記事の監修・執筆者

小学校教諭 舟山 由美子

ふなやま ゆみこ/東京都の現役小学校教諭。
長年の小学生の指導経験に基づいた、
教育・子育てアドバイスに定評がある。

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