【入学までに学習習慣を身につけたい!】遊びながら楽しく学ぶ、おすすめグッズとポイント

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【入学までに学習習慣を身につけたい!】遊びながら楽しく学ぶ、おすすめグッズとポイント

小学校入学を前に、「ちゃんと勉強できるだろうか?」「椅子に座って勉強できるかな?」などと、心配になる保護者も多いと思います。
今回は入学準備として、子どもが学習習慣を身につけるためにやっておきたいことを、教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。

目次

「勉強って楽しい!」と思えることが大事!

小学校入学を控えた親御さんからよく聞かれるのが、「入学までにひらがなはどこまでやっておけばよいでしょうか?」「全部読めたほうがよいですか?」「算数はいくつまで数えられたらよいでしょうか?」といったことなどです。

特に、入学説明会などで周りの方の話を聞いて、「うちの子は全然できてない。ひらがなも読めないし書けないし…」と不安になり、帰りに書店によってひらがなや算数のワークを購入し、家に帰って「さあ、勉強しよう。あという字はね…」となる方もいらっしゃいます。

ただ気をつけけたいのは、親がここまでできるようにとゴールを決めてスタートしようとすること。どうしても机と椅子でワークをする「お勉強スタイル」になってしまい、子どもは「勉強ってつまんない」「楽しくない」と、勉強が嫌いになってしまうことがあります。

まずは、「勉強って楽しい!」「おもしろい!」と思えるような方法で進めることが大切です。今はいろいろなグッズなどもありますので、そういった物も上手に活用してみましょう。

ひらがなは、カルタや積み木などのグッズで、楽しみながら!

「ひらがな」を覚えるのにオススメなのが、「ひらがなカルタ」や「ひらがな積み木」などです。積み木を並べたり積んだりして遊んでいるうちに、書かれている文字に興味をもったら、「それは、りなくんの“り”だよ」などと、子どもの名前に入っている文字などから教えていきましょう。自分の名前のほか、お母さんや友だちの名前でも遊べます。

遊びながらひらがなを覚えていったら、今度は書きたくなります。そういうときも、子どもの名前の文字や、かんたんな文字(し・い・こ、など)から教えていきます。あいうえお順にと、いきなり難しい「あ」から教えるのはNGです。

カタカナも同様の方法で教えてみましょう。

ひらがなが読めて、書けるようになると、漢字にも興味をもちます。自分の名前の漢字が読めるようになると、入学後にも助かります。

数は、お風呂算数がオススメ

算数も、遊びながら覚えていきましょう。オススメなのが、お風呂でいっしょにする「お風呂算数」です。

子どもの片手の指で「1・2・3・4・5」と親指から順番に数えます。小指から「5・4・3・2・1」と数えてみましょう。次は、両手を使って「1・2・3・4・5・6・7・8・9・10」と数えます。逆からも数えてみましょう。
慣れてきたら、2飛びで「2・4・6・8・10」と数えます。「10・8・6・4・2」と逆からもやってみましょう。
おうちの方の手を加えたり、両手・両足を使ったりして、数を増やして楽しみます。

数えることに慣れてきたら、おうちの方の手の何本かにタオルをかぶせて、「今、何本見えている?」と尋ねます。「3本」と答えたら、「じゃあ、隠れているのは何本?」と続けて尋ね、「2本」と答えたら、「アタリ!」と言ってほめます。

指の本数を変えながら繰り返し、慣れてきたら両手(10本)でもやってみましょう。
難しいのは、見えている指よりも隠れている指の数が多いときですが、何度か繰り返していくうちに、できるようになっていきます。

これは「数の合成・分解」という概念で、専門用語でいうと「補数」といい、子どもには、「10になるあいぼう」などと言ったりします。
これが瞬間的にわかるようになってくると、算数のたし算・引き算も楽にできるようになります。

ゲーム的に、お子さんとお父さんの対決で遊んでも楽しいです。たとえば、お母さんが「7」と言ったとき、どちらが早く「3」と答えられるか競争しながら遊びます。これならどこでもできて、親子で楽しむことができます。

数に興味がわいてきたお子さんには「100玉そろばん」もオススメです。棒に玉が10個ついたものが10本あり、1~100まで数えられて、いろいろな遊びが楽しめます。親子で遊びながら算数の実力がついていきます。

ひらがなやカタカナ、たし算・引き算などの「学習ポスター」などをリビングやトイレの壁などにはっておくのも、子どもの興味を引く方法としてオススメです。

平面パズル、立体パズルで遊んでいると、算数の図形問題が得意になります。

アナログ式の時計で、時間を意識する

アナログ式の時計もオススメです。子ども向けの知育時計だとわかりやすいですね。

たとえば、「あと○分で出かけるから、準備してね」と声をかけたり、「○時になったら教えてね」とお願いしたり、何かするときに「この針が○の数字にくるまで」などと時間を決めたり、活用の仕方はいろいろ。生活のなかや遊びに取り入れながら、時間を意識できるようになっていきます。

「なぞなぞ」で連想力を、「間違いさがし」でワーキングメモリーを鍛える

「なぞなぞ」や「間違いさがし」もぜひ、取り入れてみてください。

「なぞなぞ」は、問題から答えを想像したり、連想したりして考えていくなかで、文章理解力がアップし、ことばの連想力やイメージする力、表現力も豊かになります。

「間違いさがし」は、右の絵と左の絵を見比べて、違っている所をさがす遊びです。右の絵を見て一時的に記憶し、左の絵を見比べて間違いをさがすなかで、ワーキングメモリーが鍛えられます

【ワーキングメモリーとは?】

ワーキングメモリーは、情報を一時的に記憶しておく能力のこと。

何か作業をするときの作業台のようなものをイメージしてください。作業台の上に必要な物を並べて作業しますが、あれやこれや考えながら作業する場合、作業台が広ければ広いほど、必要な物を使いやすく広げて置くことができ、複雑な作業も効率よく進めることができます。逆に、作業台が狭いと、必要な物がきれいに置けなくて作業がしにくくなり、能率も上がりません。

小学4年生くらいになると、「852÷35」といった複雑な計算問題が出ます。
まず、「85」の中に、「35」がいくつあるか考えますが、「85」の中に「35」は「2つ」あるので、仮の商として「2」と書き、「35」と「2」をかけた数字「70」を「85」の下に書き、引き算をし…と複雑な計算をしていきます。

このとき、ワーキングメモリーの容量が少ないと、途中でなにをやっているのかわからなくなってしまい、「算数は難しい…」などと苦手意識が生まれてしまうことも。幼児期から、ワーキングメモリーを鍛えることはとても重要です。

読み聞かせで、本好きに!

読み聞かせは、ぜひやってほしいと思っていることです。

夜寝る前などと時間を決めて行いましょう。子どもは、お父さん・お母さんのぬくもりを感じながら読み聞かせをしてもらうことで、子どもは「愛されているな」「大切にされているな」と実感でき、すばらしいひとときを過ごします。

親子いっしょに本の世界を楽しむことで、「本って楽しいな」「本の世界はおもしろいな」と思い、「本好きになる」ということが多くあります。

本が好きになると自分でも読むようになり、それによって、語い力が上がり、文章読解力や表現力、考える力などもついてきます。いいことずくめです!

読み聞かせで気をつけたいポイントは、子どもの好みを尊重すること。
絵本などの物語が好きな子もいますが、図鑑などを好む子もいます。親が読み聞かせたい絵本を選んでもいいですが、そういうものばかりだと、読み聞かせの時間が苦痛になってしまうことも。好みに合わせることも大切です。

自然体験など、本物体験をたくさんする!

コロナ禍の影響もあり、実際に触れたり見たりする、本物に触れる機会が少なくなってきています。

いろいろな昆虫をタブレットなどで見たことはあっても、実際に触れたり捕まえたり、飼育したりしたことのある子は少ないと思います。植物も、実際に目にしてにおいをかいだり、触れたり、育ててみたりといった経験は少なくなっているようです。

自然体験は五感を刺激します。特に、「きれいだな」「不思議だな」といった感動を与えてくれ、そういった体験から、子どもたちの感性も磨かれていきます

自然体験だけでなく、本物の機関車に乗るとか星空を見るとか、いろいろな体験をしてほしいと思います。

図鑑を楽しむほど、知識も増える!

図鑑にもたくさん触れさせてあげてください。
図書館で何冊か借りて、じっくり見てから、気に入った物を買ってあげるのもよいと思います。
最近の図鑑は、写真やイラストなどのビジュアルもすばらしいですし、楽しいコラムがあったりなどして、楽しめる要素がいっぱいです。
最初は、写真を眺めるだけでも楽しく、興味をもったら解説の文章を読んでもいいでしょう。そうしていくことで、すきなものの知識や語い力も、ものすごく増えます。
知識が増えると、もっと知りたくなる、というよい循環が生まれます。

また、図鑑の買い方にもいろいろありますが、昆虫好きな子が1冊昆虫図鑑を持っていたとしたら、保護者の多くは、それとは違う種類の図鑑を買ってあげたいと思うのではないでしょうか。
でも、子どもが別の昆虫図鑑を欲しがったら、ぜひ2冊、3冊と買ってあげてください
そうすると子どもは、「この図鑑にはクワガタムシのことをこう書いてあったけれど、こっちの図鑑にはこう書いてある」などと、比べて読むようになります。違いを発見したり、比べたりすることが楽しくなり、より知識が深まっていきます。

好きなことに熱中=脳の性能がアップする!

図鑑の活用と同様に、好きなことに熱中し、深堀りさせてあげることが大事です。
子どもは、自分の好きなことを親が応援してくれることがうれしく、存分に学び・楽しむことができます。好きな分野ができることは自信にもつながり、ひいては自己肯定感もアップします。

また、好きなことに夢中になっているとき、脳内では「ドーパミン」という幸せホルモンが出ますドーパミンが出ることで脳の血流がアップし、それにより「ニューロン」という神経細胞どうしをつなぐ「シナプス」が増えます。このシナプスが増えれば増えるほど、脳の処理能力は高まるといわれています。
コンピューターのCPUのスペックが上がるのといっしょで、いわば脳の性能が上がるということ。

脳の性能が上がったところで、小学校に入学すると、より楽しく勉強に取り組めるようになります。
こういったことは、のちのち学習面での伸びにつながってきますので、広い意味での入学準備と捉えてもよいでしょう。

親の対応は、「肯定的なことば」と「共感」がポイント

否定的なことばを避け、肯定的なことばを!

子どもに対しては、否定的なことばを極力控えましょう
「そうじゃないでしょう。こうでしょう」「もっとていねいにやらなきゃダメ」といった否定的なことばでとがめられたとき、子どもは嫌な気持ちだったり不愉快な思いをしたりして、心の窓を閉じてしまいます。それ以上、親のことばを聞きたくないと思い、「ぼくのことが嫌いなのかな?」と感じてしまったりすることも。

イソップ童話に「すっぱいブドウ」というお話があります。
ある日、おいしそうなブドウを見つけたキツネは、それを取ろうとしますが、何度ジャンプしても取ることができずにあきらめますが、最後に「あのブドウはすっぱいからいらない」と言うのです。
なぜそう言ったのでしょうか? それは、そのまま引き下がってしまうと、自分のプライドが傷つくから。そこで、ブドウの価値を下げることで、自分のプライドを守ろうとしたのです。

同じようなことをわたしたちも無意識に行っていて、これを「すっぱいブドウ効果」といいます。

お母さんに「勉強しなきゃダメでしょう」と言われると、「お母さんは、なんで勉強勉強って言うんだろう。勉強より大事なことがあるよ。健康とか友達とか…」と、勉強の価値を下げることで自分のプライドを守ろうとします。

「なんで片づけないの! ダメでしょう」と言われると、「お母さん、片づけ片づけってうるさい! 片づけより大事なことがあるでしょう」と片づけの価値を下げて、自分のプライドを守ろうとします。

親が否定的なことばで叱ったとき、子どもは気づかないうちに自分を守ろうとして、それを価値の低いこととして位置づけようとするのです。
ですから、親は否定的なことばをやめて、肯定的なことばを増やすことが大切なのです。「がんばっているね、ママうれしいな」「できたね、上手だね」と、肯定的なことばをたくさん使いましょう。

子どもをよく観察し、「部分」をほめる!

ほめることばがワンパターンになってしまう、という方もいらっしゃいますが、子どもをよく観察してみれば、ほめる要素は見つかります。
ポイントは、「部分」をほめることです。

文字を書いたとき、全体的にみると、気になるところがあるかもしれませんが、部分を見れば、「この字、大きく書けたね」とか、「右払いがすごくきれいだね」などと、ほめるところが見つかります
直させたいところがあった場合も順番が大事。まずは部分をたくさんほめてから、最後に「ここだけちょっと書いてみようか」という感じです。
いきなり直させるのはNGです。

また、子どもに対しては、共感的な対応を心がけましょう
子どもが「きょうは疲れたから、やりたくない」という日もあるかもしれません。つい、「何言っているの、やらなきゃダメよ」と言いたくなりますが、ぐっとこらえて「そうだね、きょうは○○したから疲れたね」と共感してあげてください。
そうすると、子どもは「自分の気持ちをわかってくれた!」とうれしくなります。

そして、少し休んでから、「半分だけやってみようか」とか、「お母さんといっしょにやろうか」とハードルを下げて、声をかけてみましょう。「1問だけやってみる?」と言ってもいいかもしれません。1問だけと思ってやり始めても、いざ始めるとエンジンがかかることもあります。
子どもがやっている横で親も、いっしょに本を読んだり、書き物をしたり、仕事をしたりしてもいいでしょう。そういった雰囲気作りも大事です。

子どものレベルとペースに合わせてやることも、習慣づけるためには大事なポイントです。
先にゴールを決めて「ここまでやらなきゃ…」と思って、勝手にレベルを上げたり、ペースアップしたりするのは絶対に避けたいところ。子どもが、「勉強って楽しいな」と思えることを最優先して、やりたくなる環境づくりをしていきましょう。

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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